「なぜ反社と付き合ってはいけないか?」 は、安倍さんと萩生田さんが身をもって教えてくれている件

いわゆる旧統一教会(統一家庭連合)に関する問題が、日本で大きな話題となっています。
その中の論点の1つとして「旧統一教会は反社会的団体なのだから、政治家が付き合うのは相応しくないよね」というものがあります。

これに対しては、「信教の自由に反する」とか「政治家にそこまで潔白性を求めるべきではない」とか色んな反論があると思います。
ただそんな難しい話をしなくても、「なぜ有名人が反社的団体と付き合っていけないのか?」について、当事者である安倍さんや萩生田さんの事件が如実に教訓を示してくれていると思います。
今回は、そのことについて少しまとめてみます。

※上記について、「『反社会的団体』の定義が明確でない」という意見があると思います(自民党の杉田水脈議員も似たようなことを言っていました)が、ここでは「反社」=「社会で多くのトラブルを引き起こしている団体」という認識で話を進めます。

1.そもそも自分の身が危ない -安倍さんのケース-

有名人が反社と付き合うことがよくない理由として、『広告塔として利用される』とか、『団体にお墨付きを与えてトラブル被害を拡大させる』ということが言われます。
考えてみるとこれらの論って、反社と付き合うことで社会的にどんなダメージがあるかを言っているに過ぎず、関わった有名人自身に及ぶダメージの話をしていないんですよね。ですからあくまで副次的な理由だと思います。
例えば、反社と付き合っている有名人自身が非常に倫理感の低い人で、『社会に及ぼす害悪』よりも『自身の利益』を優先させる場合は、こんな理屈を言っても全く聞く耳を持たないと思います。

やはり一番大きいのは「反社と関係を持った有名人自身に直接的に身の危険が及ぶリスクがある」ということだと思います。

そもそも反社というのは多くのトラブルを抱えているわけで、その団体の活動の裏に多くの被害者がいて、その方々の恨み辛みが常に渦巻いているという構造にあります。その団体と安易に関係を持つということは、その恨み辛みの連鎖構造の中に自分の身を置くということであり、必然的にトラブルに巻き込まれやすくなることは想像に難くありません。
ましてや有名人であれば、一般人よりも目立つわけですから組織に恨みを持っている人の標的にされやすいのは明らかです。

今回の山上容疑者も、安倍さんが韓鶴子総裁への敬意を表したメッセージ動画を見た結果、安倍さんへの殺意を強くした旨の供述を行っており、安倍さんがトラブル団体に動画を送るほど親密な関係に至らなければ山上容疑者のターゲットにはならなかった(=殺害されることもなかった)といえると思います

色んな難しい話を抜きにしても、「自分の身を守るという安全第一の観点においても、有名人が反社と安易に付き合うべきではない」という基本的な教訓を安倍さん銃撃事件は教えてくれていると思います。

2. 気がついた時は抜けられない -萩生田さんのケース-

(1)萩生田さんの情報まとめ

連日ワイドショーを賑わせている萩生田さんのケースも、多くの示唆に富んでいると思います。
少し情報が錯綜しているように感じますので、萩生田さんと統一との関係について少しまとめてみます。

  • <萩生田さんと統一との関係まとめ>
    [1]もともと萩生田さんは統一家庭連合との根深い関係が囁かれていた大物議員の1人だった。
    [2]先日の参議員選挙でタレント候補である生稲氏と統一教会の施設で講演を行っていたことが発覚した。
    [3]その他にも、萩生田さんが民主党政権下(萩生田さんの浪人時代)に統一との関係を深めたこと、頻繁に教会を訪問して講演やイベント参加を行っていたことが、週刊誌などで報道された。
    [4]萩生田さん自身は、上記[3]の週刊誌報道は基本的に否定しつつ、上記[2]の生稲さんとの一件は認めたうえで「旧統一教会との明確な認識はなかった」旨の発言を行った。
    [5]今後の関係を最初に問われた8月18日の時点で「適切な対応をしていきたい」と話し、今後も関係を続けるのでは?との疑念の声が相次いだ。

個人的には、萩生田さんは統一との関係について多くの点で白を切っていると感じていますが、一番の問題は上記[5]のように、簡単に「統一との関係を切る」と言えなかった点にこそあります

(2)なぜ萩生田さんは、「関係を切る」と言えなかったのか。

そもそも反社というのは、違法行為を組織的に行っていたり多くの被害者を生んでいたりしていることもあり、基本的に後ろ暗い集団であり、表では言えないような秘密や暗部を多く持っているといえます。
その集団と深い関係を持つことは、ある意味では組織の秘密を共有する存在となります。その人が構成員である間は秘密の共有者として強い結束が生まれますが、組織から離れようとする途端に今までの同志が危険な情報を知っている敵と化します。だからこそ、反社組織というのは組織を裏切る不義理に対して非常に厳しい態度で挑むのです。
その他、反社組織は構成員の色んな弱みを握ったり、組織から抜ける際に非常に厳しいけじめをつけさせる(例:ヤクザが指を詰める)等して、辞めるハードルを極端に上げています。

こういった反社組織の体質を考えると、萩生田さんが統一との関係を切ることに後ろ向きであったのはむしろ自然だといえます。自民党の選挙運動員や秘書に多数入り込んでいると言われる統一信者を通じて得られたスキャンダルや機密情報をバラされる(=報復を受ける)ことを恐れて、萩生田さんが関係の見直しになかなか踏み込めなかったのは明らかだと思います。

安倍さんの後継者候補とまで言われた超大物議員である萩生田さんでさえ統一の前ではこんなにビクビクして顔色を伺わなければいけない点に、反社と関わることの危険性が如実に表れていると思います。気がついた時には深い関係となり簡単に抜けられなくなる(まるでドラッグみたいですが)、だからこそ最初から安易に反社と関係を持つべきではないのです。

3.まとめ

『なぜ反社と付き合ってはいけないの?』
子供にそう問われた時は、「自分の身を守るためだよ(=安倍さんのケース)」、それから「気がついた時に抜けられなくなるからだよ(=萩生田さんのケース)」と答えるようにしたいと思います。
小学校の教科書に載せたいくらいに典型的な教訓を、自民党の2人のおじさん(1人は故人ですが)が教えてくれています。



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