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剣道 本番初の一本

中学一年生の時から剣道部に所属し剣道を始めた私。大会には出場するも一本も取ったことがなかった。

そして一年生最後の、部活内での試合が行われた。相手は強い人ばかり。この技を使いたい!というのはあったものの、一発目からそれを使うわけにもいかず、タイミングがつかめない。「いつ打つべきかわからないよ!打ったら逆に取られちゃいそうだし・・・。でも打たないと・・・。」三回目の試合ではもうその思いしかなかった。「今打とうとしたんだよ!」そういう言い訳を頭の中でつぶやいていた。

しっかりとした攻めもできず、ただただ取られているようにしか見えない私。これじゃただのボロ負けとしか言いようがないと私は思った。「あの子何もしないでただ打たれてるだけじゃん。」そう観客の人には思われているんじゃないかとも思った。だが仕方がなかった。なにしろ自分がそれを認めているのだから。

そしてついに今回の大会での私が挑む最後の試合がやってきた。この相手ならやってみたい技も使えそうだと思ってはいた。しかし、先ほどから負けてばかりの私に、「今日最後の試合だ。」という自覚はなかった。

そして試合が始まった。相手が面を打ってくる。それを私は防ぐ・・・そんなこんなして相手に一本取られてしまった。しかし、今回は三本勝負。まだチャンスはあることを、自分に言い聞かせた。

また相手が打ってくる。「そろそろあの技を使わないと。」そう思ったような気がする。手が勝手に動いた気がする。わからない。あの時の感覚をよく思い出せない。だが、確かに私は打った。相手が打ってきた時、私は確かに打ち抜けた。

白い旗が上がっている。「今打ったのは私。じゃあ、白って私?今の入ったの!?」入ったようなのだ。今の打ちが。正直、審判の見間違いで本当は入ってなかったんじゃないか、と考えたりもした。しっかりと入った気がしなかったのだ。しかし、審判がそう判断したのである。私の打ちが入ったのだと。

この試合は引き分けで終わり、私は今までの試合本番で初めての一本を決めることができた。先生や先輩にも褒められ、うれしく思った。

記念すべき本番初の一本。                      先輩に自分の取った姿を見せることができてよかったと、そう思っている。

 


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