【小説】豊と正の、珍道中7

ー老人と子供との別れ・次の街へー

 
子供と爺さんは、豊と正を駅まで見送り、
「麦わら帽子は落ちていたやつだが、正直200円出してくれて奇特な奴だと思っとるよ。まあこん棒とムチが200円と思えばいいじゃろ…達者でな!」
「爺さん…最初はどんな人かと思えばいい方だと思ったよ、こん棒とムチをくれて駅まで見送りに来てくれるなんて」
そう言うと徳金海岸駅に着いた。
「お主ら次はどこに行くかの?…」
「近局区に行こうと思ってます。お金を都会で稼ごうと、思ってます」
「そうか…ワシらが金を渡すわけにはいかないしな…まあ頑張ってくれ…」
そう言うと爺さんは手をヒラヒラして、踊り始めた、子どもはコサックダンスを始めた。
「爺さんとあの子供はいい人だか変人だか、わからないな…まあ…ここに長居しないほうがいいだろ…」
正はそう言うと徳金海岸駅でキップを買い、知らないフリして豊と一緒に改札口を通り電車に乗った。電車から、夜行列車に乗り換えて、駅で買った弁当を食べて、景色を見ながら話し始めた。
「なあ豊、お前も少しは出来るようになったとは思うけど、まだまだ人として、頼りにはならないな…まあ都会でバイトする前に、まだある金で本買って勉強したらどうだ、オレお前に一番ためになる本選んでやるからバイトする前に読書でもしてろ…どうせお前の事だ…くだらんギャグマンガばかり読んでただろ…もっとためになる本やるから、ホテルで読めばいいだろ」
正は近局駅で本を買い豊に渡した。それは空手の本とタウンワークだった。近局駅に着いた。
「これが都会か…」
「おい豊上を見て歩くな…田舎者だとわかってスリに合うぞ!」
二人は近局区の街を歩いてホテルを探した。
 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?