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終わりのない洗い物など、この世にはない。


 家事にはきっと誰でも種類によって得意不得意がある。

全てが不得意な人もいれば、専業主婦(主夫)の方であれば、全てをそつなくこなしている方もいるのかもしれない。

私にとって家事全般の中で最強のラスボスといえば、キッチンの洗い物になる。

作る、食べるはとても好きなんだけど、昔から洗い物だけは嫌いで、こればっかりは何歳になっても変わらぬまま。

キッチンのシンクに多くの食器類や、大きな使用済みのフライパンや鍋などが山積みになっている絵を頭の中で想像するだけで、気分は落ち込み、いっそ全部そのまま捨ててしまいたいような気持ちになってしまうのである。

しかし当然ながら、世の中の夫婦の中には臨機応変に家事をこなさなくてはいけない時間というのが度々訪れるのだ。

夕飯を終え、子供を風呂に入れて寝かせている時に、あまりの小さな子供の体温の高さに、ついつい湯たんぽ状態になってしまい、一気に眠気に襲われてそのまま朝を迎えてしまうような夫婦あるあるが妻に訪れてしまった場合、朝までキッチンがそのままだったとしたら。

私がそのキッチンを見て見ぬふりをして、そのまま朝を迎えるなんて簡単な事だ。

だが朝にそのキッチンを見た時の妻の唖然とした表情、静かに燃え上がる怒り、呆れて目も合わせてくれない不満の色。

それを想像した時、私の葛藤は始まる。

お前はどちらが嫌だ?

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