ロサンゼルス生活88日目-89日目

体調がよろしくない。なにか変なものでも食べたのだろうか。ここ何日か腹が下り続けている。いったい私はいつまで下り続けるのだろうか。基本的に私は体が強い。しかしながら弱点はある。胃腸である。ちょっとしたことですぐに下す。そろそろおさまって欲しいものである。

サンタモニカカレッジがスタートして何日かが経過している。宿題もあったりでそんなに楽でもない。学校の授業でドリー・パートンというアメリカの歌手を扱っている。この名前は聞いたことがなかったのだが、調べてみるとかなり有名な歌を歌っている歌手であった。

例えば『I will always love you』。ホイットニー・ヒューストンのカバーではあるが、映画『ボディーガード』の主題歌になった曲である。この曲をつくったのがドリー・パートン。あとは『9 to 5』。この曲もかなりの有名曲である。ちゃんと聞いてみるとどちらも素晴らしい曲である。ひょいと出かけてみれば、普段は見落としていたすばらしい何かに気付いたりもするものである。

同じ授業の宿題の課題で「あなたの好きな歌手もしくは音楽グループとその曲を教えてください」というものがあった。こういうの困るのである。好きなミュージシャンなんてたくさんいるのだ。誰が一番かなんて選ぶことはできない。まあしかし書くより仕方がない。日本のミュージシャンを書いてもどうせ知らないだろうと思い、私は「ザ・ビートルズ」と書いた。

実際私はビートルズが好きだ。基本的にバンドというのは、それぞれがそれぞれのスキルを特化させているパターンが多いのではないかと思う。いい曲を作ることができる人がいて、歌の上手い人がいて、ひとつの楽器に特化した人がいる。日本のバンドなんてほとんどはこのパターンだろう。また作詞作曲と歌はひとりが兼任しているパターンが多い。つまりは誰かひとりの才能に寄りかかりがち。

しかしビートルズは違う。全員が作詞作曲をして、全員が歌い、そして全員が楽器を演奏する(しかも色々な)。こういうバンドってあまりない。また楽曲はバラエティが豊富。クラシカルなロックンロールもあれば、ポップなバラードもありつつ、またすごく実験的な曲もある。しかしどれもまたオリジナリティに溢れている。

そして活動期間を通じての変化が凄まじい。初期はアイドルバンドだったが、後期は完全に玄人も唸らせるロック職人になっている。全員が音楽をトータルで見る力があるので、バンドとしてのレベルアップが速いスピードで進んだのではないだろうか。

ビートルズの中で一曲を選ぶことも困難であったが、私は『オクトパス・ガーデン』を選んだ。作詞作曲はドラムのリンゴ・スター。ボーカルもリンゴスターである。リンゴがビートルズ時代に作った曲はそれほど多くない。つまりソングライターとしての彼は、メンバーの中でそれほど目立つものがなかったのだと思われる。

しかしである。しかしそれなのにこのクオリティである。私は控えめで堅実なリンゴ・スターの、この明るい楽曲が大好きである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?