ロサンゼルス生活138日目

学校もなく、出かける予定もなく、自宅にいる日々が続いている。こういう時期もいいだろう。私は外にいても家にいても楽しむことができる。

昨日は久し振りに映画を観た。『ディア・ハンター』。1979年のアカデミー賞5部門を受賞。ベトナム戦争を扱った作品としては、最も著名な作品かもしれない。監督はマイケル・チミノ。主演はロバート・デ・ニーロ。

作品の舞台はペンシルバニア州・ピッツバーグ。時期としては1960年代後半から70年代前半頃なのだろうか。簡潔に言うならば、明るく朗らかだったアメリカの若者たちが、ベトナム戦争に行ったことで、人間性や人生を大きく変えられてしまう、という物語。

尺がとにかく長い作品。約3時間ある。冒頭の一時間はピッツバーグ。地元。主人公たちの若者らしい姿が描かれる。中盤は戦地。そこで強烈な体験をする。後半は再びピッツバーグ。戦争から戻り、変化した姿が描かれる。

この映画の中でなんといっても強烈なシーンはロシアンルーレット。拳銃に一発だけ弾を込め、こめかみに当てて引き金を引く。捕虜としてとらえられた主人公たちは、このロシアンルーレットを敵軍から強要される。有名なシーン。過去にも観たことがある。何度観ても恐ろしい。

そして最後のクライマクスもまたロシアンルーレット。このシーンもまた強烈である。どこまでいってもこの映画にはロシアンルーレットが付き纏う。戦地での体験というよりは、このロシアンルーレットの体験が、主人公たちの精神に大きな影響を与えているように作品は描かれている。

題名の『ディア・ハンター』。ディア・ハンターとは鹿狩りの名手のことを指すらしい。そう主人公たちの趣味は鹿狩りだった。鹿狩りには銃が使われる。戦争に行く前の主人公はためらいなく鹿に銃を放っていた。しかし戻ってからはそれができない。ベトナムで自身が鹿になったからだろう。

監督のこの作品に関する言葉をネットで読んだ。「考えを主張するための映画はつくらない。人々の人生を語るための映画をつくる」。

映画で描かれていることは、ベトナム戦争でのひとつの現実としてあったことなのだろうか。完全にその通りではなかったとしても、これに近しいことがあったということなのだろうか。

戦争というのは終わったから終わりではないらしい。終わったあとも人々の心に大きな影響を与えるものらしい。戦争を知らない私には、ただただ情報を得て、想像をすることしかできない。

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