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ARBと福山雅治 石橋凌さん、白浜久さんからの多大なる影響

 福山さんの曲を、新しい視点で聴くシリーズ②

 今回紹介するのは、福山さんがリスペクトするバントとしてよく名前のあがるARB(A.R.B)です。

 ARBは俳優でもおなじみの石橋凌さんを中心としたロックバンドです。ARBの特徴は、ワークソングをテーマとした社会的な作風と、メンバー交代が多く、様々な化学反応から生まれた幅広い音楽性が魅力です。

 中でもギタリストは田中一郎さん→斉藤光浩さん→白浜久さん→内藤幸也さんと移り変わり、それぞれにサウンドも個性があることから「第~期」と表現されたりします。

 そして、福山さんが1990年に発売した1stアルバム『伝言』は3代目ギタリスト、白浜久さんのプロデュースで製作されています。

 別記事にも書きましたが、白浜さんに楽曲提供を依頼したのは福山さん本人の希望だそうです。

 楽曲は福山さんの書いた詩の断片を、白浜さんと共に形にしていったとインタビューにありました。当時スタッフから「何が言いたいかわからない」と言われていた言葉たちを、白浜さんは「何かある」と思い採用したそうです。

 『伝言』は哀しみや影を感じる作風になっていると感じます。サウンドは明るいのだけど、なんだか迷いがあるような。その答え合わせが最新アルバム『AKIRA』であり、『伝言』がお父さんが亡くなって数年後の作品であることを知ると新たな発見があるはずです。

 ※『AKIRA』…福山さんが高校生の頃に亡くなった父親の名前を冠した2020年発売のアルバム。

 白浜久さんが参加していた頃のARBに『灰色の水曜日』という曲があります。女子高生の自殺がテーマらしく、何か世間に問うような、どこか寂しげなサウンドが特徴です。他にも近いテイストの曲はいくつかあり、もちろん明る目のロックもありました。こういう曲を福山さんが聴き、白浜さんに楽曲提供を依頼したのであれば、ただ単に「めんたいロックが好き」というだけでなく、作りたかった『伝言』のイメージに、白浜さんがピッタリだったのかなと感じます。

 続いて、数年後にドラマ『あしたがあるから』で福山さんは石橋凌さんと共演します。そもそもドラマ出演の大きな要因に、「石橋凌さんがいたから」というのは本人もあげており、CDデビューに続き、ここでもARBに動かされています。石橋さんとは、この共演をきっかけに大河ドラマで再会したり、石橋さんのソロアルバムに参加するなど交流は続きました。

 ここで時代は遡り、白浜さん加入前のARBに『砂丘 1945年』というアルバムがあります。福山さんがラジオで何度も弾き語りカバーをし、石橋さんのソロアルバムでも競演した『AFTER'45』が収録された作品です。

 注目はジャケットです。写真家・植田正治先生が撮影した砂丘の写真。福山さんのある作品が浮かびます。そう『HELLO』です。

 ミュージシャンが好きなアーティストのジャケット写真をオマージュするのは珍しくありません。憧れの作品に近いイメージでリスペクトを表現することもできます。

 『HELLO』は福山さんのシングルでは2番目の売上を誇るビッグヒットになりました。ARBや植田先生への愛が詰まったシングルが多くの人に愛されたことは、福山さんからしても嬉しい出来事だったのではないでしょうか。

 そう、実は福山さんはむちゃくちゃ好きなアーティストへのリスペクトを表現する方なんです。『砂丘 1945年』にも『HELLO』を思わせるサウンドの曲があり、両方のファンは嬉しく感じるかもしれません。

 白浜久さんと出逢い、自らの表現を始めた

 石橋凌さんと出逢い、俳優としての道が開いた

 そう考えればARBはやはり福山さんの活動に欠かせないバンドであり、ARBを聴けば、福山さんの心境に近づけるわけです。

 そして、石橋凌さんの『表現者』というソロアルバムに福山さんが参加した際に、石橋さんはこうコメントしています。


今回のレコーディングへの参加と思い溢れるパフォーマンスに、心から感謝しています。と、同時に又、強く縁(えにし)を感じています。
ありがとう!
AFTER 1945俺達は生まれ 狭い街角で出会った………。

出典、音楽ナタリー



 コメントの一部だけ抜粋しました。かつてはファンの立場だった福山さんが憧れの曲で共演するなんて、見ているこちらも嬉しくなりました。出逢いを大切にするお二方の絆も感じ取れますね。

 『表現者』はARB時代のセルフカバーと新曲で構成されています。ボーナスディスクでは『AFTER'45』に福山さんがギターとコーラスで参加しているので、まだの方はぜひ聴いてみてください。

 ARBを初めて聴く方へのおすすめは、ベストアルバムでしょうか。『ARB COMPLETE BEST 1978-1990 魂』という作品はサブスクにもあるので聴きやすいです。『AFTER'45』はもちろん、福山さんが以前ラジオでカバーしていた『淋しい街から』『さらば相棒』『HOLIDAY』も全て入ってます。時期により楽曲スタイルも違うので、まんべんなく代表曲から聴けるベストは入門にはぴったりかと思います。

 オリジナル盤では、先にあげた『砂丘 1945年』も良いですし、それ以降の白浜さんの参加した4作品は、『伝言』ファンにはマストアイテムかもしれません。

 迷う方は福山さんが大好きだと公言されているライブアルバム『ARB LIVE/魂こがして』もおすすめです。学生時代にほとんどの曲をコピーしていたようですし、代表曲も多いのでよければぜひ。ちなみに福山さんの『魂のラジオ』もこの魂から来ていたりするんでしょうか。

 もしARBファンの方でまだ『伝言』を聴いてない方は、ぜひチェックしてみてください。白浜さんの激しいギタープレイも堪能できますよ。

 それにしても、もう発売から30年以上になる『伝言』。今の音質で蘇るリマスター盤。そろそろ発売してほしいですね!



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