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SIONと福山雅治

 福山さんの曲を、新しい視点で聴くシリーズ①

 この記事では、福山さんの音楽を語る上で欠かせない存在であるSIONさんを紹介します。

 SIONさんは山口県出身のシンガーソングライター。聴く人に寄り添い勇気づけるような、強く優しい楽曲を多く産み出しています。Twitterを見れば優しいお人柄がわかると思うので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

 福山さんは長年にわたりSIONさんへの憧れを公言しています。長崎から東京に出てきたときはSIONさんの『街は今日も雨さ』の歌詞が東京のイメージとなっていたのは有名な話です。

とりあえずは食う事さ
新聞の広告で仕事をひろった
朝から晩まで指紋がすりきれるほど
皿を洗いつづけてたったの3200円

出典、『街は今日も雨さ』

 
 ここにある3200円を超える給料をいきなりバイトで手にした際の微笑ましいエピソードは今でもラジオなどで語られています。

 そして、福山さんはSIONさんの楽曲を多くカバーしています。CDになっている音源としては以下の3曲があります。

 『SORRY BABY』


シングル『IT'S ONLY LOVE/SORRY BABY』(1994)収録

 『ノスタルジア』


コンピレーションアルバム『岡本おさみ アコースティックパーティー with 吉川忠英』(2003)収録

 『12月』


弾き語りカバーアルバム『魂リク』(2015)収録


 
 『SORRY BABY』はアルバム『Calling』初回盤のボーナスディスクや初期のベストアルバムにも収録されています。シングルはCMソングに採用されてミリオンヒットとなりました。

 
 その他に、ラジオでは『がんばれがんばれ』『街は今日も雨さ』なども弾き語りしました。SIONさんの曲を直接は知らなくても、聴いたことがある方は多いのではないでしょうか。

 そして2005年には「SIONと福山雅治」の名義でシングル『たまには自分を褒めてやろう』をリリースしています。

 このコラボについて、SIONさんはインタビューでこう振り返っていました。

 

16、7年前だったかスタジオで福山雅治がリハーサルかなんかをやってたようで、そこに前に福山を担当してたプロデューサーが顔を出したら、福山が“今SIONさんレーベルないんだよね。俺、何でもやるから一緒にやってあげてよ”って言ってくれたことがあって。福山、いい奴でしょ? それでシングル(2005年6月発表の「たまには自分を褒めてやろう」)を一緒にやって、『東京ノクターン』(2005年6月発表)っていう気に入っているアルバムもできた。

出典、OKMusic

 

 つい最近のインタビューですが、当時の貴重な裏話が語られています。この曲はとても優しい愛に溢れた楽曲です。疲れた人、耐えてる人、頑張ってる人、報われない人、みんなを包んでくれます。作詞作曲はSIONさんで編曲は福山さん。お互いの信頼感が強く感じられるハートフルなアレンジです。

 これを読んでいる今、何かに悩んでいたりうまく行かないことがある方は、きっと元気をもらえます。

 c/wの『曇り空、ふたりで』もまさに今こそ聴いてほしい楽曲です。SIONさんの行き場のない切なさ、福山さんの優しいギターアレンジ。こちらも誰かの心を包む歌です。

 続いて2010年、『石塊のプライド』という曲でお二人は再びコラボします。この曲ではSIONさんが作詞、福山さんが作曲で、それぞれのアルバムにそれぞれの歌唱バージョンが収録されました。

 『燦々と』に収録されたSIONさんバージョンは力強く、魂が聞こえます。

 『THE BEST BANG!!』に収録された福山さんバージョンは優しく爽やかです。

 同じ曲なのに全く違います。本当に音楽って面白いです。聴きくらべると楽しいです。

 その後、福山さん主演の大河ドラマ『龍馬伝』にSIONさんが参加したのも話題になりました。この作品の打ち上げでもお二人で演奏し盛り上がったようです。

 SIONさんの曲を聴けば、福山さんがどんなことを感じて生きてきたか、どんなことに影響されたかがわかります。ここからはSIONさんをまだ聴いたことがない方におすすめの作品を紹介します。

 SIONさんの歴史をざっくり知りたい方は2016年発売のベスト盤『30th milestone』がおすすめです。福山さんが特に愛聴していた初期の楽曲や、『たまには自分の褒めてやろう』のソロバージョン、後期の代表曲であろう『マイナスを脱ぎ捨てる』など聴きやすい曲が揃っています。


 初期の曲を中心に聴きたい方は『俺の声』というベスト盤もあります。福山さんがカバーした曲は全て収録されてるので、聴きくらべをしたい方はこちらがおすすめです。

 もし若き日の福山さんと同じ気分になりたいなら、1st『SION』や2nd『春夏秋冬』を聴きながら新宿や拝島を散歩してみるのもおすすめです。


 最後に…

 SIONさんと福山さんの音楽的な繋がり、それは楽曲の奥にある「優しさ」ではないかと思います。どちらの楽曲も強く訴えるもの、負けたくない想い、恋愛の喜びや悲しさ等の様々な表現がありますが、結果的には暖かい気持ちになることが私は多いです。


 面白いエピソードがあります。2009年に発売された別冊カドカワの福山さん特集で、ゆかりのある方々に福山さんの好きな曲をあげてもらうコーナーがありました。SIONさんは『ひまわり』をあげていました。理由は「なんか好きです」となんだかとてもSIONさんらしいです。

 私はなんだか嬉しくなってしまいました。福山さんにも様々なジャンルの曲がありますが、ロックな曲でも王道バラードでもなく、シンプルで暖かみのあるサウンドの『ひまわり』なんですね。ある意味、この選曲がSIONさんと福山さんの関係性を表している気がしました。

 SIONさんが長年可愛がっていた、猫のたまごちゃんと出会ったのも、福山さんと新宿で対談した日の帰りだそうです。何かと縁のあるお二人が、また楽曲やステージで共演するのを楽しみにしています。


 P.S. SIONさんの最新アルバム『like this, too』も絶賛発売中です。

 更なる余談ですが、SIONさんのCDは発売から数年経つと入手困難になる作品もあります。興味のある方は早めに手にされると良いかと思います。


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