アビームコンサルティング・ファイザー・FiNC Technologiesの3社共催 「コロナ禍における健康管理・健康経営について」ウェビナーを開催!
<開催概要>
日時:2020年10月21日 (水) 17:00~18:00
形態:Zoomでのオンライン開催
定員:最大100名
参加費:無料
『ABeam Business Athlete®』が実現する健康経営 With/After COVID-19にてパフォーマンスを向上させる働き方
アビームコンサルティング株式会社 岩井 かおり氏
アビームコンサルティング株式会社 北林 愛里氏
(岩井氏)
みなさまこんにちは。本日は『ABeam Business Athlete®』が実現する健康経営 With/After COVID-19にてパフォーマンスを向上させる働き方と題しまして、アビームビジネスコンサルティングの働き方改革、そして健康経営の取り組みについてご紹介をさせていただきます。
スピーカーですが、私はアビームコンサルティングの岩井と申します。IT コンサルティング部門にてプロジェクトや組織運営に携わるのと並行しまして、Chief Workstyle Innovation Officerとして全社の働き方改革推進を担っております。途中バトンタッチをして具体的取り組みのご紹介をさせていただくのは、アビームコンサルティングの北林です。北林は会計領域のコンサルタントとしてプロジェクトに従事しながら、健康経営ソリューションの開発や提供のリード、社内の健康経営InitiativesであるWell-Being Initiativesの推進を担当しています。本日はこの2名でお話をさせていただきます。
内容に入る前にまずは弊社のご紹介をさせてください。アビームコンサルティングは1981年設立の総合コンサルティングファームです。マネジメントコンサルティング、ビジネスプロセスコンサルティング、ITコンサルティングと、幅広く様々な業種業界のお客様へサービスを提供させて頂いております。
現在従業員は約7,000名ほどですが、社員一人ひとりが健康でイキイキと働き、しっかりと成果を出し続けるということが非常に重要なことから、以前から働き方改革や健康経営に経営戦略として取り組んでおります。
まずは弊社の働き方改革ワークスタイルイノベーションの全体像について触れさせていただきます。私たちはこの変化の大きな時代にお客様の変革、そして社会の持続的な成長へ貢献できるコンサルティング会社であり続けるために、一人ひとりがどうあるべきかというところからこの働き方改革をスタートさせています。一人ひとりがイキイキと働き、しっかりと成果を発揮できるプロフェッショナルとして、品質・生産性・創造性を徹底的に高めていく。そして多様な価値観・経験・視点を取り込んで自らをバージョンアップしていく。社会課題を自分事として捉え、新しい価値を創り出していく。こういった姿を目指して4つのInitiativesを通じて、制度や環境、行動、様式などの変革を推進しております。この4つのInitiativesであるSmart Work、Diversity&Inclushion、Well-Being、Social Contributionは、それぞれのテーマを掲げ活動を推進していますが、共通のビジョンとしてABeam Business Athlete®という言葉を掲げています。これはプロフェッショナルとして自らのコンディションを整え、個人としてそしてチームとして徹底的に提供価値拡大を追求する姿をビジネス界におけるアスリートになぞらえたものとなっています。今日はこの中でも健康経営をテーマに掲げている「Well-Being」を中心にお話を進めていきます。
アビームでは、2017年に健康経営宣言を設定しました。そして経営戦略の重要な柱の一つとして社員のパフォーマンス向上に取り組んできました。推進体制としては、企画運営に携わる現場のコンサルタント、そして産業医や保健師が一体となったWell-Being Initiativesを中心に、人事ユニットや健康保健組合とも共同で施策の検討、推進などを行っています。経営サイドもしっかりとコミットするという形で全社の活動として進めており、ホワイト500※[1]の認定も3年連続で取得しています。私たちの健康経営では社員の頭、身体、心のコンディションを整えることが、個々人そしてチームのパフォーマンスを向上させる、そしてそれが会社としての成長やお客様への提供価値向上につながると考えています。具体的には脳活を中心に睡眠、食事、運動の観点からコンディションを整え、パフォーマンスを向上させるための活動に取り組んでまいりました。2017年にこの活動を開始しておりますが、それ以来様々な施策を実施してきています。活用開始当初は「健康経営とは」「コンディションとパフォーマンスの関係とは」といった認知度の向上から取り組み始めました。活動が進むにつれ様々なプログラムやイベントへの参加者も増えました。この後ご紹介させていただきますBusiness Athlete Conditioning Level (BACL) というものがあるのですが、これも定期的な取り組みとして定着してきました。ここから先はコンディションとパフォーマンスの関連性、可視化によって行動変容を起こしていく取り組みについて北林よりご紹介させていただきます。
(北林氏)
まず、アビームが提案するDigital Well-Beingのスキームについてご説明させていただきます。
こちらはアビーム社内で実践しており、またクライアント向けにも提供しているスキームですが、社員のコンディションと企業のパフォーマンスを繋げて次世代の健康経営を実践していくスキームとなります。具体的には、社員の自律的なコンディショニングを促すConditioningアプリ、またDigital Cockpitでは社員のデータと企業が持つデータを繋げデータドリブンで健康経営効果を見える化しています。全体像としては、ヘルスケアの事業を展開されている企業のデバイスやアプリのデータを組み合わせてエコシステムとして展開しています。リモートワークでは、社員の状況を把握しにくくなったというお声をよく伺いますが、弊社ではこの取り組みをコロナ以前から継続して行っており、緊急事態宣言以降にもスムーズに社員の状況を把握するのに役立ちました。Conditioningアプリとして社内で独自に構築しているのが、Business Athlete Conditioning Level略してBACLアプリと呼んでおります。健康習慣についてのアンケート回答をもとに、コンディション指標、パフォーマンス指標を数値化し、さらにはアドバイスを提供することで自律的にコンディション作りを行ってもらうための仕組みとなっております。脳科学アプローチで取り組んでおりまして、脳科学者の枝川先生にアドバイザーとしてご助言をいただいております。
ここからDigital Cockpitで見える化してきた結果の一部をご紹介させていただきます。まずはコンディションとパフォーマンスの関係性として、横軸に体調(10段階評価)、縦軸に仕事の出来の自己評価をプロットいたしました。きれいに右肩上がりになっており、コンディション(体調)向上することがパフォーマンス向上のカギになることが分かるかと思います。その中でも体調が悪い層について具体的にどういうところが問題なのかということを掘り下げてみていきます。社員の困っている症状ごとの保持割合(その症状を感じる社員の割合)について、緊急事態宣言前(2020年1月)、宣言中(2020年4月)、宣言後(2020年7月)の推移をグラフ化いたしました。こちらのデータは、4月は全社に対して実施した緊急事態宣言中の働き方とコンディションに関するアンケート、1月と7月はBACLによるものとなります。一番症状として顕著なのは肩こりで右肩上がりに保持割合が増加しております。在宅が始まって以来、ストレッチや筋トレ動画の提供、運動に関するTipsを継続的に配信し、さらにヘルスケアアプリの提供も行っております。続いて眼精疲労、疲労、頭痛、不眠を感じる社員の割合は、4月に一度下がりましたが、在宅が長期化するにつれて増加してきているということが見てとれます。オンライン化の疲れというのが出ているのではないかと考えておりますが、現在もBACLによるデータ取得は継続的に行っており、今後このような状況が長期化するにつれて傾向が変わってくる可能性もあるので、その都度対応は見直していきたいと考えております。
ここからはパフォーマンスと幸福度について見ていきます。仕事の出来の自己評価と幸福度の時系列での推移を見ると、どちらも緩やかに向上傾向になっていることが見てとれます。在宅になってパフォーマンスや幸福度低下の懸念がありましたが、結果は全体的な傾向としては落ちていないということになります。しかし同じ社員の前後比較の分布を見ると、向上している群と低下している群の二極化が起こっていることが見えてきています。横軸に平常時の幸福度の点数、縦軸に緊急事態宣言下の幸福度のデータをプロットした場合、45度線に位置すると変化がないということになりますが、45度線より下の部分に位置する群は平常時よりも幸福度が低下していると答えた群になります。そういった群が具体的にどういうセグメントなのかというのを明確にし、適切な施策を検討して、適切なメッセージを発信していくことが必要であると考え、実施をしております。セグメントの例としては、睡眠満足度が低い群、在宅ワークでの物理的な環境が整っていない群が顕著に下がっておりますので、睡眠対策についてはコロナ前から取り組んでいる睡眠の可視化デバイスの提供や、健保と連動して効果的な睡眠に関する動画とTips配信などを行っております。在宅環境対策としては、健保ポイントで購入できるバランスボール、高機能クッションなどのグッズの紹介を行っております。
続いて、所属するチームに対しての評価について、緊急事態宣言前(1月)、宣言中(4月)、宣言後(7月)の推移をグラフ化いたしました。緊急事態宣言前後を通じてチームのパフォーマンス、計画進捗度、コミュニケーションが右肩上がりの傾向にあります。在宅になってコミュニケーションに課題があるのではないかと考えておりましたが、在宅ならではの工夫をすることで適応できていっているのではないかと考えております。
(岩井氏)
Web会議やチャットはもともと多くの社員が利用していたということはありますが、ツールの浸透や活用、そこからの効率化を素早く進められたと考えております。Tipsを共有するなど、活発により良いやり方を共有するということで効率化に繋げられていると感じています。
(北林氏)
続いてチームのパフォーマンス、計画進捗度、コミュニケーションについて、在宅日数ごとの評価をプロットしました。いずれも評価が最も高いのは在宅勤務週4日=週1日出社している場合で、毎日出社している場合よりも評価が高い、あるいはほぼ同じという結果になっています。
(岩井氏)
こういった結果を加味し、私たちは完全在宅か出社かという二者択一ではなく、状況に応じて自律的に判断して働く場所を選択することができる働き方にシフトしていくということを検討しています。
改めてになりますが、アビームでは働き方改革により個人として、チームとしての力を最大限発揮し、お客様そして社会への提供価値を最大化するということを目指しております。健康経営はその中でもプロフェッショナルとして自らのコンディションを整え、パフォーマンスを最大化することで、しっかりと成果を出していくための取り組みであり、私たちはそれをデータとして可視化し、個人の行動変容と会社全体のパフォーマンス向上につなげていているということをここまでご紹介させていただきました。私たちは何年も前から働き方改革に取り組んできましたが、コロナはこの変革をさらに後押しする物になりました。私たちはこの機に変革をさらに推し進め、ビジネスアスリートワークスタイル3.0という新しい働き方を打ち出しました。提供価値向上や成果これを今まで以上に意識するということを前提に、働き方により柔軟性を持たせ社員一人ひとりが自律的に選択できるようにしていきます。具体的な施策としましてはこちらに記載のように、時間や場所にとらわれない働き方としてフルフレックス制度やリモート社員制度の導入、そして新しい働き方のお客様との共創、リモートでも生産性を高められるようなツールや仕組みの提供、そして意識改革を促すための行動原則改訂や評価制度の見直しなどといったことを進めております。健康経営の観点では脳活を中心に、コロナ禍でも持続的に成長していくためのレジリエンスに、これまで以上にフォーカスを当てて取り組んでいきます。ここまでアビームの健康経営、働き方改革についてご紹介させていただきました。この活動はCEO自ら重要な経営戦略として発信し続けるというトップダウンと、現場メンバーの変えたい、変わりたいという強い意志のボトムアップの両面で推進しております。この両輪が噛み合っているからこそ、継続的な活動として進めることができ成果につながっているのだと考えております。会社によって状況は様々だと思いますが、ここまでの話が少しでも皆様の健康経営を進める上での一助となりましたら幸いです。ご清聴ありがとうございました。
※[1] 特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を、経済産業省と経済界・医療関係団体・自治体のリーダーから構成される日本健康会議が選定し顕彰する制度。「健康経営優良法人」の中で上位500法人のみの認定される通称が「ホワイト500」。
コロナ禍の対応と、今後の人事マネジメント・健康経営の取り組み
ファイザー株式会社 相原 修氏
(相原氏)
コロナ禍の対応とAfterコロナについて、人事マネジメントや健康経営としてどのように取り組むかを事業会社の立場でご説明いたします。
まずファイザー株式会社のご紹介をさせていただきます。弊社は製薬メーカーでして、直近ではコロナウィルスのワクチン開発にも取り組んでおります。本社はアメリカニューヨークにあり、設立は1849年でして日本でいうと江戸時代であり、1953年のペリー来航の少し前になります。日本でも1953年に設立し、工場を愛知県に持ち現在社員約4,500人で、67年間しっかりと根を下ろしてビジネスを行っております。では我々がどんなことをしてきたかということをまずは制度面から見ていきたいと思います。
基本的な考え方から入らせて頂きますが、ウィズコロナとアフターコロナを分けて考えております。現在ウィズコロナの時代は社員の安全確保、感染防止を最も重視し対応しております。しかしこれは一時的な状態ですので、このコロナ対応のために制度改定は行わない考えです。一方でアフターコロナの時代にはコロナ以前に戻ることはなく、アビーム様のお話しにもございましたが、かなり働き方や環境が変わると考えておりますので、こちらの動きを見据えて制度を検討していくことが基本的な考え方です。
ではウィズコロナの時代に制度面を変えずにどういう対応をしたかということですが、制度を柔軟に拡大して適用するということが基本的な考え方です。例えば弊社はもともと在宅勤務やフルフレックスを推進しておりました。但しこれは正社員のみに適用しておりましたが、従業員全体の安全を第一に考えると正社員だけでは全く意味がないので、契約社員や派遣社員、またオンサイトの業務委託者等といったすべての方に3月から適用を拡大しました。また在宅勤務の日数について管理職は従来から制限がございませんでした。一方で一般社員は8日/月に制限をしておりましたが、これを解除して無制限に利用できるようにしております。緊急事態宣言前の2月末から実際に在宅勤務を原則としておりまして、緊急事態宣言が明けて少しずつ緩めておりますが、現在上限20%まで出勤可として運用しておりますが、実際には5%程度しか出勤してない状態です。安全、感染防止第一ということを徹底できているのではないかと思っております。その他の制度面の対応としては、休暇の利用事由の緩和を行いました。緊急事態宣言当時、学校が閉鎖されて子供が家にいて対応に苦慮しているという声がございましたので、特別休暇の提供を行うのではなく元々制度として存在するファミリーサポート休暇やチャイルドケア休暇について、病気の際だけでなく育児の際にも利用できるよう利用事由を拡大しました。またそれぞれの制度には、例えば育児休暇はいつまでというように期限がありますが、一時的にそれらの制限を変え、育児休業であれば在宅勤務を継続する期間が終わるまでは続けて良いとしたり、またリフレッシュ休暇は勤続10年などのタイミングで付与されますが、今年は取得しにくいということがあるので取得期限を来年末まで延長したり、結婚休暇の取得期限延長などを行いました。加えて在宅勤務が円滑に運用された背景としては、元々柔軟な働き方や在宅勤務の制度は充実しており実際に利用されていたということがございます。
今後アフターコロナにどう対応するかということですが、アビーム様の結論にもございましたが我々もコロナ以前に戻ることはない、一方で在宅勤務のみになることもないということを想定しております。比率はわかりませんが、在宅勤務とオフィス勤務のハイブリッド型になり個人が柔軟に選択できる形を想定しています。そうすると例えば通勤手当をどうするかであったり、在宅勤務は本来どういう形が望ましいのか、どういった時にオフィスに来る必要があるのかなどということが検討課題としてございます。
2月末から原則在宅勤務としていますが、どのような効果と課題がでているかサーベイを行い状況把握に努めております。まず在宅勤務に関するサーベイを4月と8月の2回行いました。今後定期的に行って行く予定です。結果としてどんな効果があったかというと、一番多かったのは移動時間の削減などの時間面のメリットが一番多かったです。その他では、健康面(通勤が不要のため疲労が軽減できるなど)、金銭面(ランチ代・服飾代の節約など)、心理面(集中しやすいなど)という声がポジティブ面としてございました。やはり通勤時間の削減やプライベートの時間の確保などの効果が大きかったです。一方でどんな課題があるかというと一番大きいのは、仕事はちゃんとでき会議も議論もできるのですが、人間関係はだんだん希薄になってきて、業務上の関わりあいがある人としか話さないとか、雑談の時間が全くないということがあります。そして健康面(通勤がないことによる運動不足、体重増加など)が課題にあげられております。また心理面としてストレスや孤独感を感じるという声も非常に大きかったです。それからずっと家で仕事をしているが故に公私の区別が付きにくいということがありました。これは例えば仕事をして19時くらいに家で夕飯を食べるけれど、仕事に戻りやすいのでまた仕事に戻ってしまうことであったり、集中しすぎてしまうという声が多かったです。纏めますと、人間関係が希薄になる、健康面、ストレスが溜まりやすい、この辺りが課題ということが見えてきました。加えて、健康面でのサーベイも行っております。2020年7月に実施したもので、健康に関する部分を取り上げました。半数以上の方が体重が増えたと回答されました。また飲酒量は増えた方も減った方もいましたが、トータルで見るとあまり変わらないという結論でした。そして首とか肩のこりや痛み、腰痛が影響としてでております。このように一定の健康への影響がでてきていると感じております。
これらを踏まえて、どのような対応をとってきたかをご紹介させていただきます。まず1つ目に健康面については、オフィス人間工学ソリューションをe-learnigとして提供しました。回答をすると診断結果が出て改善点をアドバイスしてくれます。例えば姿勢やキーボードの位置について自宅だと椅子と机の高さが適切ではなく肘が下がってしまって疲れやすいということがあったり、姿勢が悪くなりやすいという診断があり改善のアドバイスをもらえます。今まで自宅で仕事をする人はいましたが、あくまで短時間でオフィスがメインという形でした。これが自宅がメインになってくると必ずしも働く環境としては望ましくはない場合もあります。そのため2つ目としては、パソコン周辺機器購入の補助を行いました。モニターや高性能イヤホンの購入が多かったようです。3つ目はエンジョイ・ニューノーマルイニシアティブという在宅勤務支援プログラムにも力を入れました。いくつかの分野で行いましたが、この中の1つが健康運動関連です。本日主催されているFiNC様のオンラインウェルネスタイム(オンラインフィットネスの動画配信)を、月~金曜の15時から15分間で簡単なリフレッシュ、肩こり、腰痛対策の動画を提供しました。また運動不足になる一方でスポーツクラブへ行くのは怖いという声がありますので、スポーツクラブと提携しオンラインのライブストリームを法人価格で安価に提供しました。これはZoomを利用し双方向のコミュニケーションが取れ、実際にジムに行っているような体験ができます。そしてデジタルウェルネスプログラムという、ウェアラブルと体組成計をパイロットに参加した社員に無料配布し、FiNC様の健康アプリを介した健康維持と改善プログラムを実施しているところです。現在検証中で約500名弱が参加してますので、効果が出るようであれば本格展開を検討していくことになります。
コミュニケーション面も大きな課題でして、ここに対しては色々なコミュニケーションを取るということで力を入れものの1つとしてトップメッセージがございます。eメールも出しましたが、それ以上にビデオメッセージに力を入れ発信いたしました。グローバルのCEOや役員が本社からのメッセージを出し、日本でも社長メッセージの発信を何度も繰り返し行い、コロナへの対応や社員へのメッセージを発信しました。またリモートになるとコミュニケーションが希薄になりますので、各部署で工夫しながら対応をしています。タウンホールミーティング、部やチームごとのミーティングを行いましたが、通常のミーティングですとビジネスの会話のみになってしまいますので、それに留まらないよう工夫を行っております。例えばミーティング開始時に15分ぐらい簡単に、最近こんなことしているであったり、マイブームの話をする時間作ったりしております。中にはミーティングに早めに入ってきて雑談を行う方もいます。また会議によっては聞くだけになってしまうので、小さいグループにわかれ全員が話せる機会を設けるなど行っております。また皆さんもされているかと思いますがweb飲み会も行っており、人事総務部門では毎月タウンホールミーティングを行い、希望者はweb飲み会を行っております。先ほどもお話ししたエンジョイニューノーマルイニシアティブでは情報交換、意見交換の場も設けておりまして、大きく2つのカテゴリーに分かれております。1つは誰でも参加できるプログラムで、例えば家族がいる中での在宅勤務をどのように行うか情報交換をしたりしています。2つ目は部下ありマネージャー向けで、部下との1on1ミーティングをリモートでどのように行っているか情報交換を行いました。
メンタル面ではEAPを提供し、外部の専門家によるカウンセリングサービスを強化したり、社内カウンセラーから心の健康やコロナ対策の情報発信を行いました。それからストレスチェックの結果を部署ごとに活用したりしています。また社員の声を聞く中で自己啓発を行いたいという声も多かったので、エンジョイニューノーマルイニシアティブの一環としてオンラインプログラムの提供を行いました。外部の情勢を知ることは重要なため、時事トピック経営者インタビューなどといったコンテンツを500名弱の社員に提供しました。
最後に、こういった取組みを行う中である程度機能し生産性が高まる部分がある一方で、見えてきた課題もあります。大きく2つあり、1つ目はメンタルやモチベーションのマネジメントの問題です。個人での仕事の生産性は高まるけれど、繋がりは薄まり孤立感を感じるであったり、業務とプライベートの境界があいまいになって来る。それからこの環境下厳しい時やちょっと困っている時でも話す場がない、一方上司の立場では部下の状況を把握しきれないという意味でメンタルやモチベーション面が課題としてあります。2つ目はイノベーション力やチームパフォーマンスが中長期的に低下する懸念を感じております。新しいことをする時に普段の何気ない雑談やオープンで自由な議論が重要であり、それらを通じて新たな刺激があったりヒントに接する機会がありますが、リモートだとこれらが減少してしまうためこの状態が続きすぎるとイノベーションを生み出す力に影響するなと感じております。またこのリモートであるが故に仕事はできるけれど、一方でチームとしての一体感がだんだん希薄しないかなという懸念を持っております。今のところはまだ知ってる社員同士でありますし、もともとの繋がりがあるため問題はあまり顕在化していませんが、この状態が半年、1年と続くとしたらだんだん問題は大きくなっていきます。特に新しい社員にとってはうまくなじめないということも起きてくるかもしれません。そうすると個人としてはパフォーマンスが高くてもチーム全体として落ちてくるのではないかと思います。これに対する答えを持ち合わせているわけでありませんが、方向性としては次のようなことを考えております。前提としまして先ほども申し上げました通り、我々はアフターコロナでは(出社と在宅の)ハイブリッドになることを想定しております。個人として集中しやすかったり通勤の時間がなくなるため生産性が高まったり、本人が選べる柔軟な働き方を行いやすいというメリットがあります。これらを維持した上で課題にどう対応するか言うと、メンタルヘルス、エンゲージメントマネジメントについては、リモートの環境下で新しいセルフケア、ラインケアをどう探っていくかということがあります。またミーティングのルールを見直すことで解消できることはあるかと思います。例えばビデオ会議については顔を見せるのと音声のみのでは距離感がかなり変わってきます。それから心理的安全性、つまり何でも話せる場を意図的に作ることが重要かと思っております。またイノベーションやチームパフォーマンスでは、意識的な雑談や交流の場をいかに作っていくかが大事だと思っております。(出社と在宅の)ハイブリッドになってくると、自宅で仕事はできる一方で、オフィスにいる時は何をするのか、どういう働き方をするのかを模索することが大事です。またリモートでも雑談の場をうまく作り出すための工夫や、新しいシステムやアプリを使いこなしていく覚悟が必要かと思っております。この方向性でより効果的、柔軟でみんなが生き生きと働けるハイブリッドな形を模索していきたいと思っております。私からの情報共有は以上となります、ありがとうございました。
パネルディスカッション
(ファイザー・アビームコンサルティング・FiNC Technologies)
(長田)
ここからはパネルディスカッション形式で進めていきたいと思います。まずコロナ禍で非常にスピーディーに判断を下されていると感じましたが、意思決定のポイントはどういった点になりますでしょうか?
(岩井氏)
意思決定ということでいますともともとも全社の方向性としてリモートワークを取り入れる動きがあったということ、それから例えばリモートワークに必要なペーパーレスなどの活動ももともと大きな動きとしてあったということがあります。そのためもともと大きな素地ができているところに、今回コロナによって強制的に全員が在宅になるという状況が後押しする形になったため、待ったなしということでスピード感を持ってできたというのはあります。また将来の絵として大きな絵を描くということは行いつつも、先ほども命を守るという言葉が出てきましたが今回のコロナは将来の絵とは別に、事業継続性や命を守るという視点で出社率などはスピード感を持った意思決定をするという2つの軸で動いておりました。
(長田)
ありがとうございます。北林様から見て、経営陣の素早い動きはどのように見られておりましたか?
(北林氏)
経営陣からのメッセージは定期的には配信されるようになってまして、一番顕著だったのは社長の鴨居が社内のコミュニケーショツールに、自粛期間の過ごし方のイメージビデオを配信したことで社員の中でも話題になって、ちょっと現場がほっこりするということがありました。一方でこういった考え方で次の働き方を進めているというようなメッセージも定期的に出ているで、スピーディーな対応は社員全体に伝わっているかと思います。
(長田)
ありがとうございます。相原様からはスピーディーな判断ということでコメントございますでしょうか。
(相原氏)
岩井様も仰られていましたが我々ももともと働き方改革を進めていたり、会社自体もビジネス上の変化が速いので社員が慣れているということもありましたが、 一方で2~3月は誰もコロナのことを理解していなかった中で社員を守るなどの方針をはっきりと決めたこと、また医療機関を訪問する際に先生方に絶対にうつしてはならないということはクリアにマネジメント間では合意ができたこと、ビジネスを継続し薬を提供し続けることの3点がベースとなりました。その中で答えが分からない状況だったため逆にどんどんやりやすいということがありました。しっかり検討して完璧なものを出す状況ではなくて、むしろを思いついたことをどんどん小さく試していく、それが効きそうでしたら取組みを広げる、そうでなかったら引っ込めて次の取組みを行う。その中でサーベイや社員の声を聞きながらアジャストしていったため、むしろ分からないがためにスピードを上げて取り組むことができました。
(長田)
健康施策に関する投資対効果はどのようにお考えでしょうか?
(相原氏)
正確な投資対効果を見るのは難しいと思ってましてそこまでの中間の位置づけとして見ていたもの1つは施策への参加率があります。もう1つはアンケートによる社員からのフィードバックを注視しており、そのフィードバックを見ながら判断をしておりました。それが健康やビジネスにどう役立つのかということはもう少し先の話しだと思っており、今すぐに明らかにすることは難しいと感じております。但し、社員が積極的に参加するとか、ポジティブな声があるということは感じております。またハイブリッドな働き方として、先ほどアビーム様が在宅勤務週4日=週1日という1つの答えを出してくださったので、直観的に感じていたことは正しかったとのではないかと感じています。
(長田)
アビーム様は投資対効果へのお考えはいかがでしょうか。
(岩井氏)
リモートワークということにフォーカスして申し上げますと、もともと私たちの仕事はお客様先に行くなどリモートワークを行っていて、PC端末を持ち運びできるような状態になっていましたので何か投資をしたかと言うとあんまりそういったことはなかったです。もともとの大きなプロセス改革の流れとして行っていましたが、コロナ対策として行ったということは少ないので投資対効果を測りにくいということはあります。一方で健康経営の観点で言うと、会社のパフォーマンスがどのようになるのかというシミュレーションはしたことがありますので、北林から説明をさせていただければと思います。
(北林氏)
BACLの取組みを継続的に行うことで、コンディションが上がった分がどれくらいの金銭的な価値を生んでいるかということは、独自基準になりますが金額換算してその効果を検証しています。
(長田)
北林様にお伺いしたいのですが、おそらく北林様の周囲の方々の反応が一般的な従業員の方々の反応だと思うのですが、皆様の取組みに対する反応はいかがですか?
(北林氏)
周りの声としては、ワークスタイル3.0が出たということが日常の会話でも出てきます。ではどのように働きたいかということはBACLの中でも意見を言える項目を作っており、また人によって働く環境や家庭環境が異なるため、岩井も申し上げておりましたが画一的にならないという会社としての方針に繋がっていると感じています。
(長田)
ありがとうございます。皆様のお話しをお伺いしていて、例えば家族がいる中での在宅勤務ですと会議中に子供が入ってきてしまうこともありますが、そういったことが子供がいる方にとって「会議を中断させてしまっているのではないか」というプレッシャーになってしまうのではなく、全員でそれを許容することができ、一方でパフォーマンスも落とさずに業務を行うということが日本全体でできていければ良いのではないかと感じました。
本日は貴重なお話しをありがとうございました。
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