部分冠詞と不定冠詞の使い分け

最初に以下の( )に部分冠詞か不定冠詞をいれてください。

1、Il y a ( ) voiture. (車が一台あります)

2、Je bois ( ) lait. (牛乳を飲みます)

3、( ) fromage, s'il vous plaît. (チーズ丸ごと1つください)

4、Je veux faire ( ) shopping. (ショッピングしたい)

5、Il a acheté ( ) pain. (彼はパンを買いました)

6、Je mange ( ) croissant chaque matin. (毎朝、クロワッサンを食べます)

いかがでしたか?

それでは解答です。

1、Il y a (une) voiture. (車が一台あります)

2、Je bois (du) lait. (牛乳を飲みます)

3、(Un) fromage, s'il vous plaît. (チーズ丸ごと1つください)

4、Je veux faire (du) shopping. (ショッピングしたい)

5、Il a acheté (du) pain. (彼はパンを買いました)

6、Je mange (un) croissant chaque matin. (毎朝、クロワッサンを食べます)

1、Il y a (une) voiture. (車が一台あります)

"Il y a"は後ろに来る名詞の存在を表す表現です。"Il y a"の後ろには基本的に部分冠詞か不定冠詞がきます。この場合、voitureは可算名詞の女性単数形なので不定冠詞のUneを使います。

2、Je bois (du) lait. (牛乳を飲みます)


boire, manger, acheter, avoirなど具体的な行動が伴う動詞には基本的に部分冠詞か不定冠詞を使います。Laitは不可算名詞の男性形なので部分冠詞のDuを使います。

3、(Un) fromage, s'il vous plaît. (チーズ丸ごと1つください)


フランスではチーズは基本的に円形の丸いもので、買うときや食べるときはそこから切り分けます。したがって、チーズ1つ、2つという概念は存在せず、肉のように○○グラムと量で表します。したがって、チーズはフランス語では不可算名詞です。したがって、例えばチーズを食べるというときは"Je mange DU fromage"といいます。

しかしながら、お店でチーズを切らずに丸々1つほしい場合は丸々1つと数で表しているので不定冠詞をつかいます。

飲み物も同様で、例えばカフェでコーヒー1杯くださいという場合は量ではなく数で表しているので"Un café s'il vous plaît"といいます。

お店などで「チーズを500グラムほしい」といいたい場合は"Je voudrais 500gr de ce fromage"といいます。

肉の場合は「丸焼き」という意味になります。
J'ai mangé un cochon/ porc braisé à la bière magnifique.
J'ai mangé un poulet entier.
J'ai mangé un poulet à la broche.
(鳥丸々1羽の串焼きを食べた)
* On tue des cochons X porcs

4、Je veux faire (du) shopping. (ショッピングしたい)


動詞Faireを用いて「○○する」という熟語にはそれが趣味や学問を表す場合には部分冠詞を用います。したがって、この場合はshopping男性名詞なので部分冠詞のDuを使います。

Faire du vélo (サイクリングする)、Faire du ski (スキーをする)、Faire du piano (ピアノを弾く)

一方でそれが家事を表す場合は定冠詞を使います。

Faire la cuisine (料理する)、Faire la lessive (洗濯する)

また、Faire du shopping以外にFaire les coursesで買い物をするという表現がありますが、こちらの場合は日用品を買うという意味で家事としての買い物のニュアンスが強いです。

5、Il a acheté (du) pain. (彼はパンを買いました)


パンもチーズと同じでフランスでは大きなパンなので買うときや食べるときはそこから切り分けます。したがって、パン1つ、2つという概念は存在せず、チーズのように○○グラムと量で表します。したがって、パンはフランス語では不可算名詞です。

また、Acheterは「買う」という具体的な行動を伴う動詞なので後ろに来る名詞には部分冠詞か不定冠詞がきます。したがって、この場合は部分冠詞のDuがきます。

Il a acheté un painということも可能ですが、その場合はパンを丸ごと1つ買ったという意味になります。

6、Je mange (un) croissant chaque matin. (毎朝、クロワッサンを食べます)


クロワッサンはパンですが、パンの種類で通常、切り分けることなくそれ自体をそのまま食べます。したがって、1つ、2つと数えることが可能なのでクロワッサンは可算名詞です。

un pain au chocolat, un pain de mie, une baguette

食パンやバゲットは買うときには基本的に切り分けずに丸ごと1つ買いますので"acheter un pain de mie/ une baguette"と言いますが、食べるときには基本的に食パン1斤丸々食べるということはないので"manger du pain de mie/ de la baguette"とします。もし丸々1斤食べたら"manger un pain de mie/ une baguette"となります。

また、チーズも同様にキリチーズなどのすでに小分けになっているチーズを食べる際は"manger un/ des Kiri"と不定冠詞をつけます。
"Il reste trois Kiri sur la table"
* Nom de marque = Majuscule et pas de S au pluriel

** Nom de marque employé pour désigner un objet de n'importe quel marque = pas de majuscule et un S au pluriel → その名前で全体をさす場合
ex: Il a deux frigidaires dans son garage → frigidaireは元々アメリカの会社の冷蔵庫のブランド名だが、現在ではこれで「冷蔵庫」という意味になる。"Kiri"は「キリチーズ」というブランド名を意味するが、「チーズ」全体を意味するわけではない。
ex: J'ai deux Toyota.

En général, un nom propre utilisé comme nom commun = Pas de majuscule et S au pluriel s'il n'est pas composé

Mangerは「食べる」という具体的な行動を伴う動詞なので後ろに来る名詞には部分冠詞か不定冠詞がきます。したがって、この場合は不定冠詞のUnがきます。

ちなみに、可算名詞の食べ物であっても少し食べたといいたい場合は、「一切れ」などを意味する単語か部分冠詞で表します。

例) J'ai mangé une pizza → ピザを一枚食べた

例) J'ai mangé de la pizza → 丸々一枚ではないが、ピザを食べた

どのくらい食べたか正確に言いたい場合はそれぞれ適切な単位をつける。

1、一口食べる

例) J'ai mangé une bouchée de pizza → ピザを一口食べた

例) J'ai mangé une bouchée de pain → パンを少し食べた

2、一枚/一切れ食べる

切り身やスライスを表したい場合、ピザやタルト、ケーキなど円型のものには"part"を使い、肉や果物には基本的には"tranche"をつかう。  

例) J'ai mangé une part de pizza (ピザを1スライス食べた) 

例) J'ai mangé une tranche de melon. (メロン一切れ食べた)

例) J'ai mangé une tranche de viande. (肉を一切れ食べた)


ちなみに、前回の冒頭にあった問題の

1、「カフェにて」 (Un)café s'il vous plaît! (コーヒー1杯ください)

は(Un) fromage, s'il vous plaît (チーズ丸ごと1つください) と同じ仕組みです。

ちなみに、カフェなどで「水を1杯ください」といいたい場合、"Une eau s'il vous plaît"ということはできません。"Un verre d'eau" (コップ1杯の水)などといわなければなりません。

コーヒー1杯にはコーヒーカップ1杯分という明確な数がありますが、水1杯にはコップなのかあるいはペットボトルなのか明確な数がないからです。

3、Tu veux encore (du) fromage? (チーズまだいりますか?)の場合はチーズは不可算名詞で具体的な数を聞いてるのではなく、漠然とチーズがまだほしいか聞いているので、部分冠詞を使います。

同じシチュエーションでも可算名詞の場合は不定冠詞を使います。

Tu veux encore des oranges? (オレンジまだいりますか?)


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