移動教室
少女らの多くは運動場へと移動しており、教室には甘やかな香りが残る。
もたつきながら体操服に着替える泡雪を、姉御肌のいばらキッスは待ってやっていた。
「ごめんね、いばらちゃん」
「いいって。そいえばさ、淡雪は見つけた? 運命のつがい」
紅白は縁起物とされ、百貨店の贈答品に喜ばれる。
白苺は真似事として、在学中に同じ箱で眠る紅の番を作るのが常だった。
「まだ。私、皆と違って真っ白じゃないし、桃薫さんみたいな良い香りもしないから」
「でも、甘くて中までピンクなのかわいいじゃん」
「あ、あのね」
「わっチャイム鳴った! ほら、行くよ」
いばらキッスに手を引かれて、うつむきながら駆ける淡雪の肌が一段と桜色に染まってゆく。
2月6日 Twitter300字SS 第七十二回・お題「運」 ジャンル:イチゴ擬人化
関連要素
苺は学園もので百合かもしれないと思って書いています。
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