スナック忘れな草~史上初・2024函館記念・特別戦炎の10番勝負~
トップ画像引用:JRA公式Facebook
■ ランバダ
2024年7月13日(土)午後3時30分
-東京都某区 スナック忘れな草-
サトノカルナバル、ニシノラヴァンダの順でゴールしたのを見届けると、マスターは頭を抱えて悔しがった。今終わったばかりの、函館2歳ステークスのことだ。
「ああ!くろたんの突っ込みにもっと気をつけていれば・・・」
「くろたんの突っ込みって?」
がっくりとうなだれるマスターに、ギョニ子が質問した。
「くろたんがややの『夜霧のハウスマヌカン』を歌った場面ですよ。1番を歌い終わったあと、『ややかい!! 誰が本名小島八重子や! 誰がランバダで再ブレイクや!!』・・・こう突っ込んでいたんです。2着のニシノラヴァンダには、『ランバダ』が入っています」
「ホントですね!」
真一郎が言った。
「岡田結実の父岡田圭右が、『中川の次のグランプリ』であることから、キタサンブラック産駒のサトノカルナバルのほうは浮上していました。サザンのYaYaでなく歌手のやや・・・強引ですがそこから、ニシノラヴァンダにいけたかもですね・・・」
みんながなるほどと頷いた。マスターがしみじみと言った。
「くろたん自身は、ランバダという言葉を無意識に使ったのかもしれませんが、結果的に2着のニシノラヴァンダを予言していた・・・くろたんには昔から、馬券になる馬につながる不思議な体験が多いと聞いたことがあります」
「例えばどんな馬かしら?」
麗子ママが尋ねると、マスターは続けた。
「今から30年以上も前になりますが、ある女性と海辺でデートしていたそうなんです。キスをしているうちに盛り上がってしまい、周りに人がいないのをいいことに、彼女を押し倒してしまった・・・」
うんうんそれで?とギョニ子が先を急がせた。
「・・・ことが終わって彼女が気づいたそうです。右耳のピアスが無くなっていることに。砂の上でくんずほぐれつしているうちに、はずれてしまったんでしょうね・・・サンドにピアスが埋もれてしまった・・・」
「おいおいまさか!」
タコ社長が興奮して言った。
「その週にエリザベス女王杯があり、サンドピアリスが勝ったってか!?」
マスターは目を閉じ、黙って深く頷いた。
「・・・エリザベス女王杯のレース後、砂に消えたピアスがサンドピアリスを予言していたことに気づいたくろたんは、発狂して吉野家の牛丼大盛りを10杯食べたそうです」
「10杯ですか・・」
真一郎が言った。
「あんな単勝大万馬券を取り逃がしたら、僕も10杯は無理でも、牛丼5杯はいけそうです」
「そんな話がもうひとつあるのですが・・・・これはちょっとやめておきましょう」
マスターが気になる発言をした。
「ええ? 教えてよマスター!」
ギョニ子がせかす。
「・・・ですが今日子ちゃん。次の話はちょっと下ネタが絡んでくるんです・・・」
まだためらっているマスターに、ギョニ子は言った。
「下ネタなら全然OKよ! だってくろたんの体験談なんでしょ?」
そうだそうだとみんなも囃し立て、マスターは渋々といった感じで話し始めた。
「くろたんがある夜奥さんに、とても綺麗なおしりの穴をしているねと褒めたそうです。初めてそんなことを言われた奥さんはとても感激して、次の日からはくろたんが頼まなくても、お尻の穴を見せびらかすようになったんです・・・・アヌスを見せびらかす・・・アヌス見せびらかす・・・」
「おいおい! そのころにあった毎日王冠で、アヌスミラビリスが勝ったってか?」
マスターは深く顎を引いた。
「くだらないわよ!!」
ギョニ子が笑いながら突っ込んだ。
「さっきのサンドピアリスから作り話だったのね!!」
マスターはペロッと舌を出して、ばれましたかと頭を掻いた。
「おいおい! すっかり一本取られちまったぜ!!」
タコ社長が苦笑いしながら言った。
■ 友引馬券
「ありもしない私の話を、でっちあげてるのはどこのどいつだい?」
その時、そう言って入ってくる男がいた。くろたんだった。ノーコスプレ、ダンディくろたんだ。
「・・・・・お前だよ!!」
くろたんはそう叫んでマスターを指さすと、ビシビシとマスターを鞭で叩く真似をした。女王キャラのにしおかすみこをやっているらしい。
「くろたんってさあ、いつも店内の話をどうやって聞いているわけ?」
ギョニ子が尋ねた。
「ふふふ。『壁に耳あり、クロードチアリ』ですよ・・」
「くろたん!」
マスターが鋭い声を発した。
「それを言うなら、『壁に耳あり、ジョージにメアリー』ですよ」
「どっちでもいいわよ!」
ギョニ子が突っ込んだ。
「明日の注意点は・・・」
くろたんは、そこで響のロックをひと舐めしてから言った。
「友引馬券でしょうね・・・今日あった出来事と同じことをきっとどこかでやってくるはずです」
みんながなるほどと頷いた。
「例えばですが、今日の小倉1レースで、アメリカンファラオ産駒が勝っています」
7/13(土)小倉1R
6-06 アメリカンビキニ 1着
(父American Pharoah)
※土曜日唯一のAmerican Pharoah産駒
みんながうんうんと頷いた。
「土曜日、唯一のアメリカンファラオ産駒が勝った。明日、アメリカンファラオ産駒はこれまた一頭。すんなりヤリの可能性はありますよ」
7/14(日)
函館10R 駒場特別
8-13(外)メリタテス
(父American Pharoah)
※日曜日唯一のAmerican Pharoah産駒
みんながなるほどと頷いた。くろたんが続ける。
「あとは佐々木大輔の土日重賞連勝。やったらびっくりですが、注意は必要でしょうね」
函館2歳S
5-07 サトノカルナバル 1着
(佐々木大輔・堀宣行)
※佐々木大輔 重賞初勝利
函館記念
8−15 チャックネイト
(佐々木大輔・堀宣行)
※佐々木大輔・土日重賞連勝?
みんながなるほどと頷くのを見て、くろたんは席を立った。そして、ドアの近くまで歩いてから、ゆっくりと振り返った。
「うちの奥さんのアヌス。それはそれは綺麗なもんですよ」
くろたんはそう言って店を出て行った。
「わざわざ振り返ってまで言うことかしら?」
ギョニ子の突っ込みに、タコ社長がそうじゃないぜと言った。
「くろたんさんのアヌスは、キャロラインママの毒牙によって汚れちまった・・・だからこそ、奥さんのアヌスのほうは綺麗だと言いたかったのさ」
不思議と説得力のある話にみんなが、「あ、なる ほど」と言って笑った。
■ 炎の10番勝負
「ところでしんちゃん。単複10分割勝負のほうはどうなってますか?」
10分間の休憩後、マスターが真一郎に尋ねた。真一郎が、苦笑しながら答える。
「地方競馬にまで手を出してしまって、3万スタートの資金が今は1万とちょっとです」
「ここが踏ん張りどころですね・・・」
暗い表情の真一郎に、隣のギョニ子が肩を叩きながら言った。
「ねえ、しんちゃん。明日は函館12レースも特別戦だから、小倉、福島、函館の3場で、特別戦がちょうど10個あるわ。全部がんばって予想してみたら?」
それはいいですねと他のみんなもいい、真一郎もその気になった。
「10番勝負・・・いいかもですね! 特別戦炎の10番勝負といきましょう!!」
元気になった真一郎を見て、みんながうんうんと頷いた。
■ 青島特別
気合を入れようということで、みんなで再度乾杯をしたあと、小倉の特別戦から予想をしていくこととなった。基本はサイン馬券を探すのだが、どうしてもいいサインがない場合は、普通に予想することとした。
「青島・・・先週は都知事選だった・・・」
真一郎が言った。
「ええと、青島幸雄って都知事がいましたよね?」
「おお! 青島だーの青島幸雄な?」
タコ社長がすぐに反応する。
「ええと、石原慎太郎の前が青島幸雄だった・・・そうだよな、マスター?」
マスターが頷く。すぐに、真一郎のほうを向いて尋ねる。
「都知事選翌週の青島特別・・・いい読みかもしれませんよ。そこからどう進めますか?」
真一郎が答える。
「緑のたぬきと赤いきつねの対決で、緑の小池百合子が勝ったんですよね?」
みんながうんうんと頷いた。
「ちょっと穴っぽいところですが、緑の6枠、アンテロ―スなんてどうでしょう。騎手と調教師とで、字は違いますが青島幸雄の『ゆきお』ができます」
小倉9R 青島特別
6-06 アンテロ―ス
(幸)英明・岡田稲(男)
「幸男」 ≒ 青島(幸雄)
みんながなるほどと同意し、青島特別はアンテロ―スでいくことになった。
スナック忘れな草
くろたんとの夏の単複バトル
小倉9R 青島特別
6番 アンテロ―ス
単勝:300円・複勝700円
■ 西部日刊スポーツ杯
「日刊スポーツ・・・スポーツネタといえば、あと1本で通算200号となる大谷翔平でしょうか?」
真一郎が言った。大谷翔平選手は、日本時間の土曜日現在、通算本塁打数が199本となっていた。通算200号本塁打達成となれば、日本人メジャーリーガーとしては、史上初の記録となる。
※日本時間 日曜日早朝に200号達成
「さっきの青島特別と同じ幸英明騎手になりますが、7番のミヤジレガリアを狙ってみます」
小倉10R 西部日刊スポーツ杯
4-07 ミヤジレガリア
「なにか根拠があるのかしら?」
麗子ママの質問に、真一郎が答える。
「ちょっと見えにくいですが、4枠に『ラミレス』があります。外国人選手初の、通算2,000本安打を達成した選手でしたよね?」
小倉10R 西部日刊スポーツ杯
4-06(ラ)インジングラパ(ス)
4-07(ミ)ヤジ(レ)ガリア
→ ラミレス
みんながおおという声を挙げた。200本に対し2,000本。日本人メジャーリーガーに対し助っ人外国人という違いはあるが、使ってくる可能性はありそうだ。
西部日刊スポーツ杯は、7番ミヤジレガリアでいくこととなった。
スナック忘れな草
くろたんとの夏の単複バトル
小倉10R 西部日刊スポーツ杯
7番 ミヤジレガリア
単勝:300円・複勝700円
■ 佐世保ステークス
次は小倉の最後、メインレースの佐世保ステークスだ。マスターが取っ掛かりとなるネタを提供する。
「くろたんがポストしてたんですが、2枠が染め分け帽になっています」
佐世保S
2-03(ハギノ)メーテル(日隈良江)
2-04(ハギノ)モーリス(日隈良江・染め分け帽)
※小倉12Rは松本好雄と松本好隆
「いいですね!」
真一郎がポンと手を叩いて言った。
「小倉5レースに隠れ取消がいましたよね? ノワールエブラン。馬名意味が『白黒』なんですよ。染め分け帽をかぶる4番のことかもしれません」
7/14(日)
隠れ取消(枠順確定前取消)
小倉5R ノワールエブラン
馬名意味:白黒(仏)
みんながおおという声を挙げた。そのとき、援護射撃を出したのは麗子ママだった。小倉ならメーテルの隣は熱いという。
「小倉競馬場に、福岡出身の松本零士さんの垂れ幕があったわよね?」
みんながうんうんと頷いた。
小倉競馬場の「プラザ99」には、漫画家松本零士氏が描いた垂れ幕が下げられている。小倉競馬場の改築が1999年だったこと、松本零士氏が福岡県出身であることから、代表作「銀河鉄道999」にちなんで飾られたという。
「メーテルといえば『銀河鉄道999』よね? ハギノメーテルが小倉で走るのは、佐世保ステークスが二度目。一度目は隣が走ってるわ!」
2022/7/3(日)
小倉7R
6-07(ハギノメーテル)10着
6-08 ニューダイアリーズ 2着 ★隣
佐世保S
2-03(ハギノメーテル)
2-04 ハギノモーリス ?着 ★隣
みんながなるほどと声を挙げ、佐世保ステークスは4番ハギノモーリスで勝負することとなった。
スナック忘れな草
くろたんとの夏の単複バトル
小倉11R 佐世保S
4番 ハギノモーリス
単勝:300円・複勝700円
■ 横手特別
10分間の休憩後、予想再開となった。次は福島の特別戦、3つのレースとなる。最初は9Rの横手特別だ。
真一郎にはネタがないらしく、しばらく出馬表出を眺めていた。隣のギョニ子が、気になるポストがあったという。JRA-VANの公式Xだ。
「答えはもちろんマヤノトップガン。トム・クルーズの映画、『トップガン』よね?」
みんながうんうんと頷いた。マスターはもう狙い馬がわかったらしく、口元に微笑を浮かべている。ギョニ子が続ける。
「トム・クルーズの映画つながりで、7番レオカクテルなんてどうかしら?」
福島9R 横手特別
6-07 レオ(カクテル)
※トム・クルーズ 映画『カクテル』
みんながなるほどと頷いた。ギョニ子が畳みかける。
「マヤノトップガンと言えば、ベストレースは何かしら?」
「そうだなあ・・・」
タコ社長が腕を組んで考える。
「菊花賞、有馬記念、宝塚記念、そして春天。GⅠを4勝している馬ではあるが、ベストレースにはナリタブライアンとの叩き合いがしびれる、阪神大賞典を挙げるファンが多いだろうな?」
そのセリフを待っていたかのように、ギョニ子がニヤリと笑って言った。
「トム・クルーズの『カクテル』。トム・クルーズが演じていたのが、『ブライアン・フラナガン』なのよ!」
みんながおおという声を挙げ、横手特別の狙い馬は満場一致で穴のレオカクテルとなった。
スナック忘れな草
くろたんとの夏の単複バトル
福島9R 横手特別
7番 レオカクテル
単勝:300円・複勝700円
■ 阿武隈S
次は10Rの阿武隈Sだ。ここでは、真一郎が言葉を発する前に、タコ社長が俺に任せてくれといった。面白いネタがあるらしい。
「うおっほん! 静粛に! 明日から大相撲名古屋場所だ。阿武隈ステークスの阿武隈。『阿武』の字があるな?」
みんながうんうんと頷いた。
「『阿武』に花が咲くの『咲』と書いて『阿武咲(おおのしょう)』という力士がいる。『咲』の字がありゃあ『阿武咲』にんなるんだが、おあつらえ向きにさっきの9レース、横手特別の3番にいるのさ!」
福島9R 横手特別
3-03 モントブレッチア
前走:(咲)花特別 3着
福島10R(阿武)隈特別
(3-03)マリネロ
「なるほど!」
真一郎が言った。
「9レースの3番の前走レース名と、10レースのレース名。合わせ技で『阿武咲』というわけですね?」
タコ社長がどうだと鼻を膨らませて頷いた。みんなが同意し、阿武隈ステークスの狙い馬が決まった。
くろたんとの夏の単複バトル
福島10R 阿武隈S
3番 マリネロ
単勝:300円・複勝700円
■ 福島テレビオープン
次は福島メイン、福島テレビオープンだ。このレースでは、真一郎にネタがあった。
「先週、七夕賞のプレゼンターが俳優の中村蒼でしたよね?」
みんながうんうんと頷いた。
「彼が出ていたドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』。AmazonのAudibleに原作小説があったので、今週聞いていたんです」
真一郎によると、小説『風の向こうへ駆け抜けろ』の主役の馬フィッシュアイズは、架空の競馬場、広島県の鈴田競馬場に在籍している。
JRAの桜花賞に挑戦していく臨戦課程の中で、園田競馬場のレース、兵庫若駒賞を使う場面があるという。
福島テレビOP
6-11 ブーケファロス
6-12(地)ベラジオ(ソノダラブ)
※兵庫若駒賞 3着
「12番ベラジオソノダラブは、馬名の通り園田競馬場を走ってた馬です。今回の福島テレビオープンが、中央入り初戦となります」
みんながなるほどと頷いた。
先週の中村蒼来場。それを受けてのベラジオソノダラブの中央入り初戦。小説を読んでいないとわからないサインではあるが、ベラジオソノダラブの枠は面白そうだ。
「ベラジオソノダラブでいきますか?」
マスターが尋ねた。真一郎が答える。
「ベラジオソノダラブ自身ならかなりの穴ですが、同枠馬のブーケファロスのほうでいきます。今回のコース、福島芝1200戦は、過去4戦して2勝2着2回とパーフェクト連対。オッズも手ごろです」
みんながすぐに同意し、福島テレビオープンの狙い馬が決まった。
くろたんとの夏の単複バトル
福島11R 福島テレビOP
11番 ブーケファロス
単勝:300円・複勝700円
■ 臥牛山特別
10分間の休憩後、函館記念がある函館競馬場の特別戦、4つのレースを予想することとなった。まずは9レース、函館競馬の名物レース、臥牛山特別だ。真一郎が言った。
「ここは2分の1の法則で、12番ハーエクセレンシーを狙ってみたいです」
函館9R 臥牛山特別 13頭
8-12 ハーエクセレンシー
(佐々木大輔・逆2)
函館11R 函館記念
8-15 チャックネイト
(佐々木大輔・逆2)
「くろたんさんが、友引馬券からチャックネイトに注意と言っていました。若手騎手の勢いは怖いですが、ここは9レースのハーエクセレンシーのほうだと思います」
みんながなるほどと頷き、すんなり勝負馬が決まった。
くろたんとの夏の単複バトル
函館9R 臥牛山特別
12番 ハーエクセレンシー
単勝:300円・複勝700円
■ 駒場特別
残すは3つのレースとなった。函館10レース、駒場特別だ。
取っ掛かりがなかなか見つからず苦戦したが、マスターがあるネタをひねり出した。
「函館記念のプレゼンター岡田結実。父がM-1グランプリ覇者の岡田圭右だということは、昨日話題になりましたよね?」
みんながうんうんと頷いた。
「M-1グランプリ覇者で、駒場特別からミルクボーイ。左側のボケ担当が、駒場孝というのです」
(駒場)特別
ミルクボーイ(M-1グランプリ覇者)
(駒場)孝・内海崇
「なるほどなあ。そっからどうするんでい?」
タコ社長の質問に、マスターが答える。
「ミルクボーイの突っ込み担当内海。彼は根っからの競馬好きなのですが、M-1グランプリ優勝を目指していた時期、きっぱりとギャンブルを断ったそうです」
みんながうんうんと頷いた。
「M-1グランプリ優勝後、ロケで久し振りに競馬をする場面がありました。千鳥の『相席食堂』で、岩手県を訪れた回です」
「ああ!それなら見ましたよ!」
岩手県出身の真一郎が反応した。確か、ミルクボーイのふたりが水沢競馬場に行き、西川きよしからもらったお年玉で馬券勝負をするくだりがあるという。
「そうなんです、しんちゃん! まあちょっと根拠は薄いのですが、水沢競馬場から水口騎手を狙うのはどうでしょう?」
函館10R 駒場特別
4-05 グランドエスケープ
(水)口優也
「ミルクボーイが『相席食堂』に出たのが2020年2月。2020年以降、駒場特別は4回施行されていますが、水口優也騎手の騎乗は一度もありませんでした」
みんながなるほどと頷き、駒場特別の狙い馬は水口優也騎手が乗るグランドエスケープとなった。
函館10R 臥牛山特別
5番 グランドエスケープ
単勝:300円・複勝700円
■ 湯の川温泉特別
重賞の函館記念は最後にしようということになり、次に予想するのは最終の湯の川温泉特別となった。麗子ママが最初に口を開いた。
「トップ画像、昨年の函館記念ヤマニンサルバム。11着の同馬がローシャムパークの左に見えているわよね?」
みんながうんうんと頷いた。
「ヤマニンの馬は土日で4頭。土曜日は一頭で14着。日曜日の3頭。どこかで動いてもいいと思うの」
<土井肇オーナー 7/13.14>
7/13(土)
函館6R ヤマニンファロ 14着
7/14(日)
小倉03R
8-15 ヤマニンラベーラ
福島10R 阿武隈S
6-09 ヤマニンエンディマ
函館12R 湯の川温泉特別
1-01 ヤマニンアストロン
「おお! 明日の3頭、函館で走るのはこのヤマニンアストロンだけじゃねえか? 函館記念の画像なんだから、この馬かもしれねえぜ?」
タコ社長がそう言うと、みんながなるほどと同意し、湯の川温泉特別の狙い馬はヤマニンアストロンに決まった。
函館12R 湯の川温泉特別
1番 ヤマニンアストロン
単勝:300円・複勝700円
■ 函館記念
さあいよいよ最後の予想レース、メインの函館記念だ。
週中の予想では、3番のエンパイアウエストに決まりかけていた。だが、真一郎にはほかの馬を推す、面白いネタがあるという。
「Facebookの土曜重賞回顧記事です。たまーにですが、この回顧記事からサインが出ているんです」
「勝ったサトノカルナバルの紹介。気になるのは、函館2歳ステークスを勝った馬で、北海道以外の競馬場でデビューした馬は、サトノカルナバルが史上初というところです」
みんながおおという声を挙げた。
「マスター! 函館記念を勝った59頭。デビュー戦の競馬場を調べてもらってもいいでしょうか?」
お安い御用だとマスターは、すぐにパソコンを操作しだした。競馬ソフトのターゲットフロンティアで検索できない分は一部手作業となったが、10数分後には59頭全馬のデビュー地が明らかとなった。
<函館記念勝ち馬 デビュー戦競馬場>
札幌 6頭
函館 15頭
福島 0頭 ★
新潟 5頭
東京 8頭
中山 6頭
中京 2頭
京都 8頭
阪神 6頭
小倉 0頭 ★
大井 3頭
計 59頭
おおという声がみんなから挙がった。函館競馬場デビューが最も多いのはなんとなく納得できるとはいえ、福島と小倉でデビューした馬が一頭もいないのは意外だった。真一郎が言った。
「マスター、ありがとうございます! くろたんさんの友引馬券。土曜日と同じ流れがあるなら、『史上初』ではないでしょうか? となると狙いは、福島か小倉でデビューした馬です!」
その言葉に、みんなが一斉にスマホやパソコンを操作した。すぐに、該当馬が一頭だけいることが判明した。
<函館記念・デビュー戦>
1-01 サヴォーナ
(中山・5着)
1-02 オニャンコポン
(中山・1着)
2-03 エンパイアウエスト
(東京・1着)
2-04 グランディア
(小倉・2着)★
3-05 サンストックトン
(札幌・2着)
3-06 リカンカブール
(阪神・6着)
4-07 エミュー
(中山・4着)
4-08 プラチナトレジャー
(札幌・4着)
5-09 アウスヴァール
(阪神・4着)
5-10 トップナイフ
(札幌・6着)
6-11 アケルナルスター
(東京・7着)
6-12 ホウオウビスケッツ
(中山・1着)
7-13 デビットバローズ
(阪神・7着)
7-14 ハヤヤッコ
(東京・3着)
8-15 チャックネイト
(東京・3着)
8-16 マイネルクリソーラ
(札幌・4着)
「かあーーー! よく該当馬がいたもんだぜ! こりゃあグランディアで勝負するしかねえな?」
タコ社長の言葉にみんなが同意し、函館記念の勝負馬は唯一の小倉競馬場デビュー馬、4番グランディアとなった。
函館11R 函館記念
4番 グランディア
単勝:300円・複勝700円