マーダーミステリーにマナーは必要でしょうか?
先日、マーダーミステリーのマナーに関するアンケートを行いました。マーダーミステリーを全員が楽しくプレイできるにはどういう認識でいたらいいんだろう?という疑問から始まりました。でもマナーのことばかり言っていると、敷居が高いゲームと勘違いされてしまう、そんなも危惧もありました。
ですが!
嬉しいことに、マーダーミステリーは「みんなで楽しむ心」さえ持てば、あとは何一つ必要ない、それをアンケート自身が証明してくれる結果となりました。以下に、詳細に解説します。
アンケートの概要
アンケート内容はこちらで、回答数は179件、うち日時の近い2件に回答の95%以上の重複を認めたため、タイムスタンプの早いデータ1件を削除し178件としてとして算出しました。以降回答はすべてパーセンテージで表記しますが、その計算はすべて、分母=178、分子=回答者が選択肢を選択した数、です。
今回の回答者は、マダミス10回以上のプレイヤー75%、4~9回が14.8%、1~3回が9.3%です。そのうち、マダミスをこれからも続けるプレイヤーが95%(「たぶん続ける」「もちろん続ける」の回答者の合計)。マーダーミステリーに好意的なプレイヤーの集団とみなせるかと思います。
残念がら今回は、マーダーミステリーをやめてしまったプレイヤーが「何が嫌だったか」のデータは取得できませんでした。
結果① 「嫌な気持ちになった経験」ランキング
Q「マーダーミステリーをプレイしていて、実際に嫌だったことはなんですか」
A1.カテゴリ「推理・議論」
1位 人狼ゲームで行われるような考察やメタ推理など、物語に関係のない推理 39.3%
2位 情報を過度に隠されて議論にならない 36.3%
3位 決まったプレイヤーの発言が多い 30.7%
4位 会話や発言の妨害 28.5%
5位 自分の主張を無理やり通そうとする 24.6%
A2.カテゴリ「ロールプレイ」
1位 ロールプレイを全くしようとしない 36.4%
2位 ロールプレイのいきすぎによる不快な言動 30.4%
3位 ロールプレイを無視した選択 18.2%
4位 ロールプレイが不十分 15.1%
A3.カテゴリ「ゲーム前後」
1位 感想戦での、誰かのプレイに対する批判 26.8%
2位 一部の人にしかわからない雑談 21.8%
3位 ゲームに負けたためにシナリオのせいにする 20.1%
4位 GM説明中の雑談やスマホいじり 19.6%
5位 感想戦で自分のことばかり話す 18.4%
A4.カテゴリ「犯人役」
1位 情報を出さない(カードを開けない等)ことを理由に犯人と疑われる 20.1%
2位 疑っていると伝えると過度に感情的になる(怒る、泣く、議論をやめる等) 15.6%
3位 理由もなく、または理由の説明なく犯人と疑われる 14.5%
A4.カテゴリ「ゲーム中全般」(※ロールプレイ、犯人、推理・議論以外を指す)
1位 あまりに非協力的(密談や情報交換拒否等) 30.2%
2位 キャラクターシートでの事実誤認 26.8%
3位 キャラクターシートをそのまま読み上げる 22.6%
4位 高圧的な態度(ロールプレイでない) 22.3%
5位 思考放棄している人がいた 20.1%
A 総合ランキング
1位 人狼ゲームで行われるような考察やメタ推理等、物語に関係のない推理が展開された 39.7%
2位 情報を過度に隠されて議論にならない 36.3%
3位 ロールプレイを全くしようとしない 34.6%
4位 決まったプレイヤーの発言が多い(推理) 30.7%
5位 ロールプレイがいきすぎて不快な言動 30.2%
考察① マーダーミステリーで嫌がられること?
おいおい、嫌だって思ってることいっぱいあるじゃん!苦笑、と思われるかもしれませんが、主張を変える気はありませんので、しばしお付き合いをお願いいたします。
マーダーミステリーで実際に体験した「嫌だったこと」で最も多かったカテゴリは「推理・議論」29.3%、次点で「ゲーム中全般」23.5%、となりました。
ゲームのプレイ遍歴や、性格などによってスタイルの異なる人が集まる場のため、推理・議論ですれ違いが起きやすいということが言えます。ランキングに上がった、「人狼ゲームで行われるような考察や、メタ推理」は、物語に没入しようとするマーダーミステリーの楽しみを削ぐととらえられています。また、2位の「情報を過度に隠されて議論にならない」は、自分の目標を達成するため、または自分の秘密を人に知られたくないために、持っているカードを何も公開しないことや、聞かれても何も答えないことです。これは、プレイヤーの問題というよりゲームの設計上の問題だとフィネガンズ・ウェイクは考えます。後述の「制作者が考慮できること」で取り上げます。
ロールプレイ、という言葉は、概要としては「マーダーミステリーの登場人物のつもりになってゲームをプレイする」ですが、かなり広範囲を指す言葉です。ただ「キャラクターの気持ちを考えて行動する」ととらえる方から、演技によってキャラクターを立体的に表現しようとする猛者もいらっしゃいます。フィネガンズウェイクとしては、前者の「キャラクターの気持ちを考えて行動する」だけで、ロールプレイは成立すると考えています。
「ロールプレイを全くしない」「ロールプレイのいきすぎ(怒鳴る、完全無視など)で不快な思いをした」という相反する2つがランクインしていますが、総合すると「他の人が楽しいと思えるようなロールプレイ」が理想と言えるでしょう。
言い換えれば「むりに嫌なヤツを演じようとしなくて大丈夫」ということです。世界観を再現しようと頑張っているはずなのに、自分も相手も楽しくなくなってしまいます。
さて、ここまで解説した上で、総合ランキングをもう一度おさらいしましょう。
1位 人狼ゲームで行われるような考察やメタ推理等、物語に関係のない推理が展開された 39.7%
2位 情報を過度に隠されて議論にならない 36.3%
3位 ロールプレイを全くしようとしない 34.6%
4位 決まったプレイヤーの発言が多い(推理) 30.7%
5位 ロールプレイがいきすぎて不快な言動 30.2%
2位はゲームシステムの問題も絡むので除外するとして、「作品世界を大切にする」「自分も人も楽しめるようにする」にすべてあてはまらないでしょうか?
マーダーミステリーは一人ひとりがキャラクターになって作り上げる群像劇です。全員が楽しめるということが大切です。
結果② 「嬉しかった経験」ランキング
Q「マーダーミステリーをプレイしていて、実際に嬉しかったこと、また一緒にプレイしたいなと思った経験は何でしょうか?」
A1.カテゴリ「ロールプレイ」
1位 役を理解したロールプレイをしていた 68.7%
2位 キャラクターの気持ちで行動・選択していた 66.5%
3位 自分のロールプレイに乗ってくれた 65.4%
4位 ロールプレイの掛け合いがうまくいった 64.8%
5位 ロールプレイを褒められた 59.2%
A2.カテゴリ「ゲーム前後」
1位 感想戦が盛り上がった 78.2%
2位 内容に関わらず「お疲れさまでした」笑顔で終えられた 73.2%
3位 また一緒に遊びたいと言ってくれた 69.2%
4位 休憩時に対立を引きずらない 53.6%
5位 ゲーム中に裏切られた人にフォローされた 29.1%
A3.カテゴリ「推理・議論・犯人役」
1位 推理を褒められた 54.2%
2位 白熱しすぎている時に、話の輪に入っていない人に向けてフォローした 48.0%
3位 犯人役がうまかったときに褒められた 46.9%
4位 誰もが冷静に議論ができていた 43.6%
A4.カテゴリ「ゲーム中全般」
1位 行動を褒められた 55.9%
2位 協力関係がうまく結べた 58.7%
3位 うまく説明できないときにフォローしてくれた 43.0%
3位 物腰が柔らかい 43.0%
考察② マーダーミステリーで喜ばれる行動!
さて、いよいよここからが本題です!
マーダーミステリーで実際に体験した「喜ばれること」で最も多かったカテゴリは「ロールプレイ」38.7%、次点で「ゲーム前後」23.3%でした。これは嫌がられることが推理・議論、その他ゲーム中に起きやすいのに対し、物語を楽しむロールプレイや、ゲームが終わったあとの行動で「嬉しい」と感じやすい、また「そう感じる人が継続的なマダミスプレイヤーになっている」と言えるでしょう。
ロールプレイでは、「役を理解したロールプレイ」が上位に入っており50%を越えています。それに対し、「ロールプレイが上手」はわずか17%という結果でした。つまり「上手な人」はそもそも少なく、そこまで求められてもいません。それよりも「物語にマッチしているか」「一緒に盛り上がれるか」が重要視されているようです。最低ラインは、「物語の世界観を壊さず、楽しそうにやろうとしていればOK」と解釈して問題ないと思います。
とはいえ、自分と違うキャラクターを演じるロールプレイは気恥ずかしさもあります。相手のロールプレイに同じノリで返事をしてあげる、それだけで十分、一緒にプレイしている人を楽しませることができると言えるでしょう。
さて、着目すべきは、「ゲーム後」です。感想戦が盛り上がった(78%)、また遊びたいと言ってくれた(69.2%)、が非常に高い比率を占めています。
「感想戦が盛り上がる」はマーダーミステリーの特徴のひとつです。マーダーミステリーは感想戦も込みでゲーム、といっていいでしょう。しかも感想戦では、ロールプレイに力が入りすぎて不快な思いをさせたかも…という心配を、つい白熱しすぎてしまった議論や、挽回するチャンスでもあります。
そして、「また一緒に遊びたい」と思われるプレイヤーになるのはとっても簡単。自分が楽しかったら、自分からまた遊びたいと言えばいいのです!もちろん、そんなことを言ったって、相手はまた遊びたいとは思わないかもしれません。ですが、相手だって自分の言動が心配で言えないかもしれません。あなたの勇気ひとつで、これからのマダミスライフが変わるかもしれませんよ。
初心者は何に気をつけたらいい?
以上述べてきたことのなかには、細かくて全部はできないよ、ということもあると思います。初心者がひとまず注意すべきことは何か?を一番最初の議論に戻ってまとめてみると、次の3つになるんじゃないかと私達は思います。
最後までみんなで楽しもうとする心をもつ
キャラクターの気持ちを考えながらプレイする
感想戦で盛り上がろう(挽回のチャンスでもあるよ)
これさえできれば、初心者はまず大丈夫。選択肢にないコメントでも、「楽しそうにやってさえいれば大丈夫」という内容を複数の方が書いてくださいました。
そして、マダミスを何度もやってるよ(心は初心者でも!)、という方はぜひ、初心者の方は上の3つさえできていれば何事も多目に見てあげてくださいね!
スタープレイヤーになるための3つの方法
できていると思う。でもそれ以上に好かれるプレイヤーになりたい!という方のために、アンケートから分析した3つの方向性をまとめてみましたのでご参考にそうぞ。
1,自在なロールプレイでみんなを楽しませるスーパーアクター
ロールプレイが大好きで、感情が動かされるあなたはこちら。得意なロールプレイの腕を磨いて、周囲のロールプレイを拾いながら盛り上げられると最高に素敵でしょう。
2,さりげない気遣いが素敵な紳士淑女
どちらかというと周りが見えていて、いつも冷静なあなたはこちら。初心者がいたらケアをしたり、白熱しすぎていたら気分を変えるような冗談をぽろっと言う。あるいは発言をしていない人を見つけてフォローする。ロールプレイは自分はそこまでしないけど、相手のすごいロールプレイには機転で応える。そういったことが得意なら、マダミスで好かれること間違いありません。
3,いつもとにかく謎に楽しそうなパーティピープル
推理とか考えるのも苦手だし、演じるのも別に得意じゃないけど、よくわかんないけどマダミス楽しいから続けてる!という方はこちら。笑いや楽しさの敷居が低く、よく驚きよく感動する。そういう方は見ているだけで楽しいもの。自分が気づかずとも、いるだけで華があり、人を幸福にする力があります。真のパーティピープルはパーティなんかなくても自分のまわりをパーティにしちゃいます。自分はたいしたことはできない気がする…と思っても、人より楽しんでいる自信がある方は、ぜひ自信を持ち続けてください!
おわりに
いかがでしたでしょうか。長い記事でしたが、言いたいことはただひとつ、「みんなと一緒に楽しむ心を持とう」。その細かい指針について、多少なりともお役に立てたら幸いです。
また、このアンケートから、GMが制作者がやれることをまとめていたら次々に出てきてしまい収集がつかなくなった(笑)ため、別の形で公開できたらと思っています。
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