マルタ

『マルタのやさしい刺繍』(2006年 スイス)監督・原案:ベティナ・オベルリ

《あらすじ》夫を亡くして以来、生きる気力を亡くしていたスイスの小さな田舎町に住むマルタ。ある日、合唱団旗の修繕を頼まれたのをきっかけに「オリジナルのランジェリーショップを開く」という若き日の夢を思い出す。「いい歳して無理よ」という声の中、美容師のリージと協力してやっと念願のランジェリーショップをオープンさせたマルタ。しかし、保守的で閉鎖的な村では「ランジェリーショップ」という存在自体が認められずに様々な妨害にあってしまうが、マルタたちの行動力が次第に村の人たちの心を変えて行く。

《感想》

自分には縁のない遠い世界だと思っていたことが、ちょっと勇気を出して「はじめの一歩」を踏み出してみると、途端にそれが実現可能な世界になっていくということがよくあります。マルタは80歳にしてその一歩を踏み出しました。

保守的な村で様々な嫌がらせを受けながらも、強い意志で進み続けるマルタを初めとするおばあちゃんたちの行動力の素晴らしさ!こういうステキな女性の先輩たちが身近にいると、きっと年をとるのなんて全然怖くないだろうなと思います。

透き通ったレース、光沢のある布、細かい刺繍、丁寧なラッピングなど、そういうものは男性たちにとっては「下らないもの、無駄なもの」と言われるかもしれないけれど、女性はこういうものに触れると、女の子マグマが腹の底からふつふつと沸いてきて、とたんに元気になれるのです。そういうアイテムがどれだけ女性たちの生活を輝かせるものなのかをマルタはよく知っていたのでしょう。

「年齢とか容姿とか世間体とか、そんなものにとらわれることなく、心のままにおしゃれを楽しむ権利が全ての女性にはあるのよ」

と、ついおしゃれすることに尻込みしている女性たちにマルタはやさしく微笑んでくれることでしょう。

「この歳ではもう遅い」と、夢を叶えることを諦めてしまいそうな時にはこの映画を見るのがオススメです。

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