円卓

「円卓 こっこ、ひと夏のイマジン」(2014年 日本) 主演:芦田愛菜 監督:行定勲 原作:西加奈子


《あらすじ》 

大阪の公団住宅で祖父母と両親と三つ子の姉の家族8人で暮らしている渦原琴子(こっこ)は「普通」が大嫌いな小学3年生。
初めて聞く難しい言葉を「ジャポニカ学習帳」にメモをするのが習慣。
 香田めぐみさんの「眼帯」、朴くんの「不整脈」や「在日韓国人」、ぽっさんの「吃音症」、ゴックんの「ボートピープル」など「普通じゃない」友達のことがうらやましくて仕方がない。でもそんな自分の気持ちをストレートに表現すると周りの人たちがおかしな反応を示すことに悩む。
そんなとき、おじいちゃんが他人の気持ちを考えること「イマジン」の大切さを教える。
そして、こっことぽっさんの「イマジン」探しの夏がはじまるのだった。

《感想》
私は思ったことをすぐに口に出すような、いわゆる「サバサバした女」という種類の人がどうも苦手です。特に自分で自分のことを「私ってサバサバしているから」と言う人はかなり苦手です。なぜなら「サバサバ」と「無神経」は表裏一体だから。
そしてこの作品の主人公、琴子も思ったことをすぐに口に出す、ある意味「サバサバした女」です。

それゆえに友達が“吃音症”“不整脈”“ものもらい”“在日朝鮮人”“ボートピープル”であることを、ストレートにうらやましがったり真似したりします。そしてそのたびに大人から叱られます。
でも琴子は「自分は決してバカにしているのではなくて、心からかっこいいと思っているのにどうして叱られるのか」がどうしても理解できないのです。

きっとそのまま「本当のことを本当って言って何が悪いの?」と「サバサバ人生」を貫く人も多いことでしょう。でも琴子はそこで立ち止まって考えます。
そして、おじいちゃんから教わった「友達が何を考えているのかを知ろうとすること」すなわち「イマジン」を見つけるために頑張ります。

悪気なく言った一言で人を傷つけてしまったり、逆に配慮し過ぎて何も言えなくなったりと、言葉の使い方というものは大人になってもなかなか難しいですが、発する側も受け取る側も「他人の気持ちをわかろう」と思う「イマジン」をはたらかせることで、世界はちょっとずつ優しくなるのではないかと思います。

そして、この作品で何よりも見て欲しいのは「うっさい、ボケ!」「なんでじゃ!」とガラの悪い大阪弁を連発する芦田愛菜ちゃん。
内側からマグマのように怒りが溢れる怒れる琴子の様子がたまらなくキュートなのです。

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