見出し画像

ミステリー西武劇の好篇『生れながらの無宿者』

 西部劇にはミステリー風の味付けをした作品がいくつかあります。わたしはその全部を復刻しようと企みましたが、すべては叶いませんでした。リチャード・ウィドマークがドナ・リードと一緒に金塊の行方を追う『六番目の男』。監督は名匠ジョン・スタージェス。これは一番最初に復刻できました。西部劇ファンの間で長らく復刻が待ち望まれていた作品で、どなたにリクエストを伺っても最初のあたりに出てくるのが本作でした。
 あらすじはこちら。
 白人旅行隊の5人がアパッチ族の襲撃を受けて殺害され、シルバー・シティの保安官らによって埋葬された。彼らがヒラ・バレーで得た6万ドルの金塊は何者かに奪われていた。犠牲者のうちの1人が父ではないかと現場を訪れたジム(リチャード・ウィドマーク)は、そこで同じく夫の死を確かめに来た美しい女性キャリル(ドナ・リード)と出会う。
3人の身元は分かったが、残り2人は身元不明で、1人は左手が無く、また牧場主カーソン(バートン・マクレーン)の所有する馬が残されていただけであった。裏切り者の6人目の手がかりを求めて二人はカーソンの牧場へ向かう。そこでカーソンから、左手の無い男が彼の甥だったことと、ボニウェルという男が時期を同じくして大金を武器に牧場を掠奪しているという話を聞いた。キャリルの夫かジムの父のいずれかが身元不明の遺体で、いずれかがボニウェルと名乗っている生き残りに違いなかった。ジムは単身ボニウェルの元へ向かうが・・・。

 あまり知られていませんが、兄殺しの冤罪で投獄された男が舞い戻り、親友の保安官の力を借りて3時間の間に真犯人を探し出そうとする秀作『西部は俺にまかせろ』。77分という短い時間の中にコンパクトに、またテンポ良く、事件のあらましが描かれていました。この映画のヒロインもドナ・リード。
 これがあらすじです。
 殺人の罪に問われ縛り首にされるも逃げ出したジム・ガスリーが町に戻ってきた。3年前、結婚に反対する恋人ローリーの兄カーターと争っている最中に撃ち殺したとされ、否定するも友人サムやディークが住民を煽り、ジムは首に縄をかけられ、ローリーの助力で何とか逃げ出すことに成功する。保安官ベンは、ジムに町から逃げるよう忠告するが、彼は日暮れまでに真犯人を捜し出す、3時間ほしいと告げ、動機のある住民に会いに行く…。

  復刻できなかった作品もありました。『5枚のカード』はヘンリー・ハサウェイ監督作品で、ディーン・マーチンとロバート・ミッチャム共演。パラマウントの権利まで確認できたのですが、HDマスターがありませんでした。謎の男ロバート・ミッチャムの登場と共に謎の連続殺人が発生、被害者に共通するのはかつていかさまカードゲームに参加した者たちだった・・・という話。

『テキサスの五人の仲間』と二本立てなんか最高でしょうね

 さて、『生れながらの無宿者』もミステリー西部劇の1本です。西部劇ファンの方に言わせるとかなりマニアックな部類に入るのでしょうが、わたしは大変好きな作品で、本作で主演しているジョック・マホニーはターザン俳優として有名な人で、サリー・フィールドの義理のお父さんだった人です。
 あらすじはこちら。
 メキシコ国境近くの小さな町の大通りで、拳銃渡世人二人の決闘が行われ、ブラッド・エリソン(ジョック・マホニー)が一弾の下に友の仇を取った。ブラッドが酒場に入ると二階に彼に会いたい人物が来ていると告げられた。ブラッドが用心深く上がってみると、そこにはジョン・フォーブスと名乗る半身不随の老人がいた。 フォーブスは東部から来た富豪の炭鉱主で、余命が短いことを悟った彼は自分の死後炭鉱の権利が腹黒い共同経営者の手に渡ることを恐れて、30年前にメキシコで失踪した実弟エドワードの行方を捜しに来ていた。彼はすでに2人を捜索に派遣したがいずれも殺されて目的を果たすことはできなかった。 ブラッドの腕を見たフォーブスは2万5千ドルの謝礼金を条件に、エドワードの捜索を依頼する。拳銃稼業に幻滅を感じ、オレゴンでの牧場経営を夢見ていたブラッドは、フォーブスの申し出を引き受け、メキシコの奥地へと出発する。
凄腕のガンマンがその腕を見込まれ、富豪の弟の行方を捜索するミステリー・タッチのアクション西部劇。ターザン俳優で知られるジョック・マホニーが全身黒装束に身を包み、謎めいた男の危険な捜索へと向かう。

 本作を撮ったジョージ・シャーマン監督の作品ではもう1本『黄金の銃座』が大変人気でしたが、権利元を見つけることができませんでした。
 

シェリー・ウインタースの雄姿!

 『生れながらの無宿者』は本当によく出来た作品です。ジョック・マホニーが流れ者稼業から足を洗おう、その資金に人探しの報酬を手に入れようという意思が明確で、その後国境まで行き、手がかりを探そうとしますが、情報はあるものの、たどり着いた居場所と思われる町から先は全く手がかりがなくなります。そこからの展開の不穏な空気や、ミステリアスな展開がたまりません。結末も良かった・・・。こんな面白い西部劇が紹介されず、忘れ去られたままというのは残念です。探せばまだまだもっと埋もれた名作があったに違いありません。

Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?