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ITエンジニアのキャリアパスと多様性

ITエンジニアはどこを目指してキャリアを積み上げていけばよいのだろうか。40台半ばのエンジニアの深刻な悩みである。ITエンジニアの多様性を認めることで、常識や会社に縛られずに自分のやりたい仕事に集中できて、幸せになれるかもしれない。ふとそんなことを思い、この記事を書き始めた。

多様性の議論

近年、多様性の議論が盛り上がってきている。

つい最近も、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長の女性蔑視発言がメディアで大きく取り上げられた。当然のことだが、女性だからとひとくくりにされて不当な扱いをしてはいけない。

ITエンジニア(以下エンジニア)に関して言うと、最近は聞かなくなったが35歳定年説がある。この説の根本には、

エンジニアの労働 = 長時間、深夜作業、常に学習

というのがあるので、35歳を超えると体力的にも、知能的にも限界がくるということなのだろう。

だが、これでは「35過ぎたおっさん(おばさん)がエンジニアやってたって邪魔なだけだ」と一掃しにかかっているだけで、何もポジティブじゃないし、解決もしない。まさに、多様性を認めろと拳を上げたくなってくる。

エンジニアの多様性を生む条件

では、エンジニアがエンジニアとして仕事を楽しく続けていくにはどういう条件があればよいだろうか。私は3つ上げてみた。

1. 個人の都合を考慮し、お互いサポートできるチーム

2. 個人を尊重したキャリアパス

3. 個人の貢献度と評価が可視化され、納得できる評価制度

ひとつひとつ見ていこう。

チーム作り

いろいろな環境の人がいる。エンジニアも同じである。小さな子供を育てながら働いている方もいるし、病気と闘いながら働いている方もいる。誰にでも仕事を休まないといけないときがあるし、そんなときは迷惑をかけないか心配になるものである。

仕事ができない時間は、チームメンバーが積極的にサポートしてあげる。逆に仕事ができる時間は、他のメンバーを積極的にサポートする。もちろんタスクは共有されている必要があるし、進捗も共有されてないといけない。このタスクは誰がやるべきだとか、自分は担当外だからとか思うのではなく、チームのアウトプットを一番に考えて、優先度の高いものから手を付けることが当たり前にできるチームを作るのが理想だ。

リーダーは常にメンバーが優先度付けを迷わないように方向性を示さないといけない。メンバー全員が同じ方向を向いて仕事をし、目標達成の喜びを共有できるとモチベーションも湧いてくる。

キャリアパス設定

エンジニアはひとりひとり違うのだから、キャリアパスも違っていて当然だ。

CTOを目指している人、エンジニアの経験を活かしてサービス企画をしたい人、年齢にとらわれずにずっとコードを書いていたい人、ネットワークエンジニアなど特定分野の専門家になりたい人。

コーディング経験を積んだらプロジェクトマネージャーをやって、管理職になってコーディングを全くしなくなる、というようなキャリアパスがすべてではないし、そのような考えの上司の下で働くエンジニアは不幸だ。

会社の制度としてエンジニアの多様なキャリアパスを示せたほうがいいだろう。ひとりの上司にエンジニアの将来を潰されてはたまらない。

余談だが、管理職になってもコーディングは自分の時間でやって、技術トレンドにもついていけると言う方もいるかもしれないが、業務でたくさんのエンドユーザが使うシステムを作るのと、個人環境で作るのとでは得られる経験値が全く違うと思う。

自分は一生コードを書いていたいとか、プロジェクトマネージャーになりたいとか、やりたいことを本心で言える環境にいるエンジニアは幸せだ。

明確な評価制度

評価制度は明確でなければいけない。何をやったら評価されるのが分かりづらかったり、結果を残したと思っても評価に反映されなかったりするとモチベーションが低下してしまう。

目標設定は時間をかけて行う必要がある。キャリアパスに沿っているか、個人の努力だけではなんともならない要素が入っていないか、曖昧すぎないか。

1 on 1は、週一回もしくは隔週などできるだけ短いスパンで行い、期待していることは何で、それがどの程度達成できたのか、何が障害になっていて進んでいないのか、達成したらどうなるのかをよく話し合いたい。

労働時間ではなく成果で評価されれば、あの人は休みが多いから不公平だ、とか、休日に障害対応したのに評価されないという労働時間の不満がなくなる。さらにメンバー間で成果をオープンにすることで、私のほうがたくさん運用タスクをこなしているのに評価されないといった不満も出なくなる。

メンバーの成果が見えることで、あの人はこんな動きをしているのか、私も真似してみよう、とか、あの人と一緒にやったらもっと大きな成果になりそうだから提案してみよう、などとポジティブな循環が生まれるのを期待したい。

評価制度が明確になると、エンジニアはそれぞれに合った働き方で成果を出すようになる。他人と比べて批判したり、評価されない仕事を長期間やることから開放される。

まとめ

このような理想的な職場で働いているエンジニアは少ないかもしれない。しかし、少しずつ多様性を認めて、楽しくそして長くエンジニアとして働く人が増えてくることを願っている。エンジニアはキツイから辞めたい、なんて思う人がいなくなるように。だって、まだまだ技術は発展していくし、ワクワクする未来が待っているのだから。

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