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ギャラの交渉は仕事を受ける前から始まる

金額と振込時期をまずは確認

 フリーランスの一番の悩みはギャランティ(報酬)だろう。私もいまだにギャランティの話をするのは苦手だ。1回のやりとりで納得できる額だったら問題ないのだが、額の上乗せを交渉する、あるいは仕事のボリュームを減らす交渉となると、どう言えばスムーズに受け入れてもらえるか、切り出す前にあれこれシミュレーションしてしまう。

 ギャランティに関する話は金額だけでなく、仕事の範囲、請求の仕方、支払時期、支払方法など多岐に渡る。一度に全部は触れられないので、まずは交渉をいつから始めるか、を考えてみたい。

 私は基本的に仕事を受ける前の打ち合わせ段階から、ギャランティの交渉を始めている。以前は、月刊や季刊の定期刊行物がメインだったので、毎月、支払われる額の予想がついた。しかし、最近は不定期発行のムックや単発の仕事が増え、仕事ごとに制作費が違うので、相場のカンがアテにならない。何度かがっかりすることがあって以来、新規の仕事では必ず支払われる額を聞いている。

「交渉」と言っても、たいていの場合、予算がすでにがっちり決まっているので、「うーん、それではちょっと」などといっても額が上がることはまずない。ほぼ先方の提示額で仕事をするかどうかを判断するだけなのだが、それでも額を聞くことで多少は交渉の余地が生まれるし、振り込まれてからがっかりするのも避けられる。また、このときに金額だけでなく、支払の時期も確認しておく。支払いがいつになるかは、生活のやりくりに影響してくるからだ。

仕事の範囲の確認も交渉のうち

 もう一つ、ギャラの交渉で大切なのが、仕事の範囲の確認だ。ライターの仕事は出版社やWebメディアなどの組織で働く編集者とかぶる部分があり、「取材をして原稿を書く」以外の仕事もいろいろある。とくに昨今は出版点数が増えたり、スピードが要求されることで編集者の負担が増えていることもあり、外部のライターが編集者の役割をこなすことも増えてきた。また、ときには撮影も頼まれることがある。

 取材と執筆に徹する仕事であれば十分な額でも、編集作業も含まれるとなると、稼働時間と手間が増える。しかも、このグレーゾーンの範囲は仕事先によって変わってくる。そのため、担当者がどこまで仕事をして欲しいと思っているか、あらかじめお互いに確認しておくことは、とても大切だ。

 また、ギャランティが妥当と感じるかどうかには、このグレーゾーンが大きく影響してくる。お互いの担当範囲を事前にしっかり確認しておかなかったことが、のちのちギャラへの不満につながることも多い。

 どの業界でも、誰が担当するのか、実際に始まってから見えてくるグレーゾーンの仕事が必ずある。仕事先との関係が深まれば、不明瞭な部分が減り、やりやすくなってくるのだが、初めての仕事先や担当者の場合は、自分が「仕事をもらう」立場だけに受け身になりがちだ。どんな仕事なのか、内容を聞くことに終始しやすい。しかし、最初に仕事の範囲を確認することは、ギャランティ交渉の一つだ。実際に仕事が始まってから、担当者との行き違いを防ぐことにも役立つ。


※困っていること、知りたいことがあれば、コメント欄にどうぞ。範囲は限られますが、可能な限り、対応策を一緒に考えてみたいと思います。

 

 

 

仕事に関するもの、仕事に関係ないものあれこれ思いついたことを書いています。フリーランスとして働く厳しさが増すなかでの悩みも。毎日の積み重ねと言うけれど、積み重ねより継続することの大切さとすぐに忘れる自分のポンコツっぷりを痛感する日々です。