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フリーランスで生き残るために、たぶん大切なこと

フリーランスのこれからに思いを馳せる

 川上未映子さんの後輩作家を思いやるTweetをきっかけに、ラジオ番組「ACTION」(TBSラジオ)で武田砂鉄さん、宮藤官九郎さんの放送日に、ギャラ交渉や技術の向上など、フリーランスが抱える悩みを取り上げることが続いた。川上さんのTweetが私のタイムラインにも流れてきたあと、「ACTION」の放送も聴いていた私は、フリーランスのこれからに思いをめぐらせた。

 私もフリーライター・エディターとして今は決して自慢できる状態ではなく、仕事は激減している。といいながら、積極的に営業をするわけでもなく、「さて、どうしようかねぇ」と時流の行方を眺めている状態なのだけれど。

 そんな私なので、フリーランスとはなんぞやという話をするのもおこがましいのだが、ずっと忘れられない一人の女性がいる。彼女はWebメディアがメインの30代フリーライターだった。フリーの道を選ぶことになったのは、入社したWeb制作会社で仕事を任されたことがきっかけだった。「文章、書くの好きでしょ?」と上司に言われたことから、Webメディアの原稿を書くようになった。そして、制作会社を辞めてからも仕事を発注されたため、そのままフリーの生活に入ったという。もう一度、会社員になるにしても、35歳を過ぎると転職はだんだんと難しくなってくる。かといって、書く技術や編集のノウハウをしっかりと教えられた経験もないため、フリーを続け、仕事の幅を広げるにしても技術不足は否めない。書く仕事は好きだが、これからどうしたらいいかと不安を抱えていた。

 彼女の悩みは一介のフリーライターには扱いが難しい根深い問題だったので、そのときの私は、まったくいいアドバイスができなかった。ただ、それから時折、彼女を思い出し、何ができたのだろうと気にはなっていた。そして先日、川上さんのTweetを読んだこと、また、「ACTION」に声を寄せたイラストレーターの女性がギャラの交渉で悩んだり、相談先がなく孤独を抱えていることなどを知ったことから、私にできることをあらためて考えさせられた。

30年近くの経験が誰かの役に立つと信じて

 私もフリーランスになりたての頃は、不安ばかりで先輩ライターに毎晩のように電話で相談していた。すぐさま解決につながらなくても、誰かに気軽に相談できるのは、やはり心強かった。リモートワークで感じた人も多いと思うのだが、たわいのない愚痴や相談ができる相手がそばにいない環境は、孤独なものだ。そんな若かりし頃を思い出してみると、私も歳を取り、図太くなっだものだとしみじみしてしまう。そして、自分がフリーライター・エディターを30年近く続けられたのは謎でしかないのだが、そんな経験でも書いてみることで、誰かの役に立つかもしれないと思った。

 私は、出版が思いっきりアナログだった写植時代から仕事を始めている。じつはアナログ時代を経験していることは、今の出版界ではまだ強みだ。一人でも本を作ろうと思えば作れるだけの知識と技術を持っているからだ。実際、今も紙媒体で職人的に働いているのは、アナログ時代を知っている人たちが多い。しかも、彼らはWebメディアでも活躍している。情報を加工する技術と知識は、媒体が紙だろうがWebだろうが、基本はそう大きく変わらない。そのノウハウを持っているか否かは、フリーランスとして生き残れるかどうかに大きく関わっているのだ。

「願いはいつも原稿がお湯をかけて3分でできること」マガジンでは、そんなアナログ時代から続く情報加工のノウハウやフリーランスで困ったときの対処法などを書いていきたいと思っている。出版界の片隅で職人的に働いてきた一人の経験なので、役に立たないことのほうが多いかもしれない。有益な面があるとすれば、女性誌から男性誌、一般誌などの雑誌、ビジネス系や実用系の書籍、PR誌とさまざまな紙媒体に関わり、30以上の編集部や編集プロダクションと仕事をしてきたことと、フリーランスになって以来、どの出版社とも専属契約等を交わさず、完全にフリーの立場で仕事をしてきたことくらいだろう。デジタルガジェット好きが高じて、パソコン通信時代からネットに親しみ、今はWebメディアの仕事が増えてきたことも、読んでくれた方の興味を引くきっかけになればいいと思っている。

※マガジン名が冴えないので、そのうちもっといいのを思いついたら修正します。

※困っていること、知りたいことがあれば、コメント欄にどうぞ。範囲は限られますが、可能な限り、対応策を一緒に考えてみたいと思います。



仕事に関するもの、仕事に関係ないものあれこれ思いついたことを書いています。フリーランスとして働く厳しさが増すなかでの悩みも。毎日の積み重ねと言うけれど、積み重ねより継続することの大切さとすぐに忘れる自分のポンコツっぷりを痛感する日々です。