Guilty Braves Truth1:荒廃の街フィオラ/行こう、誰もが幸せになれる土地へ【1-5】

 1−5
 生気を失った姉の目が、ショックを受けている最愛の妹を見つめている。
 全身の力が抜けたメロンは、肩から大きく崩れ落ちる。無残な姿と成り果てた家族の姿に、滝のように涙が溢れ出してくる。
 カマックは天井を眺めると、虚ろな瞳に火を付ける。震える両手を握り締め、鞘に納めている武器に手を掛けると、
 鎧を纏った男達に、背後を包囲された。
「おやおやそいつは知り合いか?どうする?お前達は袋の鼠だ。もう逃げられないぞ」
「セファーを殺したのはお前か?」
 怒りの念に満ちた少年が、振り向き様に口を開く。掴んでいる金属の棒で手の平を叩きながら笑みを浮かべた初老の男は、首を数回横に振ると、諭すような口調で返事をした。
「いいや、私ではない。私もそいつを見たのは一週間前だ。きっと部下だろう。
 先程、通信を使ってフィオラの街の民にお前達の始末を命令した。金目当てにもうすぐ集まってくるだろう。数で圧倒的に勝ち目はないぞ」
「まずいわね……」
 苦笑をするレナはメロンを自分の背に誘導する。ナイフを鞘から引き出すと、斧と剣を構える敵集に刃を向ける。
 静寂が空間を包み込む。擦れる鎧の金属音が徐々に大きく響いていく中、
 男の腰のベルトに結びつけられている、古びた携帯ラジオから声が流れた。

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