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10、当日【(第3回)公認心理師試験の受験体験記】

この日に備え、約2週間前から生活リズムを試験の時間に合わせて整えてきましたが、さすがに前日の緊張感もあってか久しぶりに「よく眠れない」という状態を経験しました。起きてまず検温し、熱発してないことに安堵。お湯を沸かしてしっかり朝食を取り、身支度を整えて出発しました。

ホテルから1駅の会場に向かう電車の中、ふと見上げた建物は、亡くなった父の仕事先の一つでした。しばらく落ち着いていた、急に涙が込み上げる症状が出ましたが、なぜかその時は悲しい、寂しい、だけじゃなくて、懐かしいような安らぐような気持ちもしました。父の癌が判明してから、父の前だけ普段の表情でいるよう取り繕って、それ以外は堪えきれず泣くだけだった、父が晩年住み、亡くなった場所のすぐ近くまで、父亡き後初めて来たのでした。「仕方ない、悲しいのはあたり前。」と思いました。

会場に着くと、自分にとっては最後にして最大の難関だと思われた「当日、会場入り口での検温場所」がありました。無事にそこを通過できた時は、まるでもう試験が終わったかのような妙な達成感と安堵感がありました。試験会場は、感染症対策もあって、かなりゆったりとした間隔で席が設定されていて快適でした。暑くても寒くても対応できるよう準備していきましたが、暑くもなく寒くもなく、冷えてお腹が痛くなることも暑くて気分が悪くなることもありませんでした。ただ、「換気システムがあるので窓開けはしない」というお知らせがあり、少し換気の面では心配で、試験前のまだ自由な時間やお昼休みの時間には、(もともと冬は近いこともあって)我慢せずトイレに行きました。

待機の時間になるまでは、参考書やスマホなどを見て良いとのことだったので、最後のまとめシートを見直しました。そして、はい今からダメです、片付けてください、とアナウンスがあって完全な試験モードになってからが、まあまあ長かったです。ひたすら祈って過ごしていました。あとは、今のご時世になって仕事がさらにシビアになり、必死にやってきた中で、今日は一日、試験を受けて過ごせるのだなあと思うと、ありがたいことだなあと改めて思いました。

とうとう午前中の試験が始まり、いつも通りのペースで解いていったつもりが、思ったより残り時間がすぐ少なくなりました。1時間残すところが30分しか残りませんでした。理由は、ちょっと慎重に考え過ぎたことと、一番は、広い机にも関わらず問題用紙と回答用紙の大きさを気にして、一問ごとに置き換えていたからでした。

お昼の休み時間になり、自宅からはるばる持参してきたものをボソボソと食べました。昼休みに午前の問題の答えが気になって、ネットで調べたり、SNSをチェックしたりすると、動揺して午後からに影響することがあると聞いていたので、意志を強く持ってスマホは見ませんでした。午後の時間が近づくにつれ、期せずして約2年も取り組んできた公認心理師試験も、ついにこの午後で一区切りだと、感慨深く思いました。

ついに午後の試験が始まりました。午前の反省を踏まえ、紙の位置は動かさないで回答していくと、いつも通り1時間残りました。自分の感覚では、午後の最初の方に自分にとって難しい問題が連続していました。でも、きっと解ける問題が来る、大丈夫だと思って、ペースを崩さないよう気をつけて進めました。残り時間の見直しの時、相当気をつけていたはずなのに、明らかなケアレスミスのところと、よく考えれば正解が分かるのに焦っておかしくなっていたところを発見して、焦りながら修正しました。

そして午後の試験も終了し、密を避けるため時間差で会場を出る指示に従い、順番で外に出て少しホッとしました。でも、頭はとても疲れて重苦しく、爽やかな気分には程遠い状態でした。

ホテルに戻って、やっと終わったという嬉しい気持ちになりつつ、今度は明日の朝、熱発せず、無事に帰れるかということに気持ちが切り替わりました。本当にホッとしたのは、翌日、無事に帰りのバスに乗れた時でした。ありがたい、ありがたいと噛みしめるように思いました。

感染症のことがなかったらどんなに良かったかと、何度思ったか分かりません。どうして第3回受験者はこんな思いをしなくてはいけないのかと。第4回、第5回にした方が良いだろうかとも何度も何度も迷いました。今、この部分の文章は第4回試験の2日前に書いていますが、まさかまだ、感染症のことが今のような状況で残っているとは第3回の時は思いもしなかったです。自分は運よく受験できましたが、諸々の事情で先延ばしせざるを得なかった人もいたと思います。受けるのか、受けない(次にする)のか、どちらが正解なのかと迷いましたが、今から考えれば、正解なんて初めから無かったのだと思います。先のことが分からない以上、今できることを、その時に可能な範囲内でやっていくしかないのかなと、改めて思います。

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