独学で東大(理系)に受かるために大事だと思うこと

 独学で勉強するしかなかった私が、東大の理科二類に現役合格するために辿った道筋について書きます。なぜ独学で勉強するしかなかったのか?と言いますと、学校が嫌いだったからです。ちなみに、不登校にはなれませんでした。なぜなら家は学校以上に嫌いだったからです。

 この記事は、最近フォロワーになってくださった「きのさん」という方を念頭に書きます。(つまり、すでに高い学力と思考力、自分であれこれと調べる根気強さを持っている中高生が、学校をガン無視して上手に独学を進め、難関大(東大)に受かる方法です。)
 とても長い記事になってしまうかと思いますが、有用な情報をなるべく多く詰めたつもりです。この記事が、独学で学んでいる中高生やその親御さん、あるいは未来でそのようなお子さんを持つかもしれない方々の役に少しでも立つことを願います。

長くなるので、冒頭で要約しておきます。

まとめ

・定期試験を無視する分、模擬試験は多めに受けた方がいい。
・高校入試のための勉強はスルー。
・参考書は、1)なるべく丁寧で分厚く、2)図表が多く、3)語り口調のもの(講義の実況中継モノ)を選んだ方がいい。(具体的な参考書名については、また別記事にて各科目ごとにまとめるつもり。)
・“理解“を重視し、丸暗記や問題演習は最小限にする。(ただし、完全に避けることは不可能)
・外部に同じような境遇の同志を持った方がいい。
・とにかく“先行逃げ切り型“を目指す。
・高校2年生までに難関校向けの全国模試で良い成績(できれば東大A判定)をとり、塾の特待制度を使い倒す。
・インターネットを使うのも良いが、活字を読むための“基礎体力“が落ちないように気をつけた方がいい。(ので、なるべく参考書を利用することを強くお勧めする。)

まえがき

 軽く、自己紹介をさせていただきます。

 私は片田舎の中高一貫校(進学校)に通っていましたが、高校一年生以降は完全に学校のカリキュラムを無視して独学で学んでいました。その結果、東大に合格した同期の中で、学校内の定期テストの成績はダントツの最下位でしたが、受験本番の開示点数は同期の中で最上位でした。

 さて、そのように独学をしてきた私が、高校生以降にお世話になった参考書やシステムについて、なるべく具体的に書いていこうと思います。各科目ごとの、さらに個別具体的な内容については別記事でまとめようと思います。

 私は、きのさんのような方を応援したいと常に思っています。「頑張ってください!」と書く代わりに、なるべく役に立つ(と、私は思っている)記事を書かせて頂こうと思います。

 きのさんの記事をいくつか読ませていただきましたが、共感できる部分が非常に多いように思いました。私も暗記が大の苦手でしたし、納得できないことを命令されることが大嫌いでした。宿題も嫌いでした。
 おそらく、きのさんはご自分の内部の“納得感“をとても大切にされている方なのだろうと思いました。その“納得感“は、私も大切なものだと確信しています。自分のアタマで考え、物事の原理・原則を(数学ならば公理・定理ですね)深く理解していれば、暗記すべきものごとは非常に少なく済ますことができます。(全くもって無くすことはできませんが笑)
 ですから、私がこれからここに書いていく大学受験ルートは、“自分のアタマで考える物事“を最大化し、そのことによって“暗記量“を必要最小限に抑える、ということに特化したものです。

 ちなみに、私が東大の理科二類を受験した際に使用した科目は「英語、数学(ⅠA・ⅡB・Ⅲ)、国語(現・古・漢)、理科(物理・化学)、社会(地理)」でした。

参考書の選び方


 早速、本題に入ります。この記事では、参考書・問題集の選び方や、勉強の仕方等、あらゆる科目に共通して言えること(概論)を書こうと思います。

まず、参考書の選び方です。参考書は大きく三種類に大別できると思います。

1.教科書の延長線の役割を果たすもの
2.講義の実況中継のようなもの
3.辞書として使うもの

 1.には、例えば「チャート式物理」などがあると思います。教科書のように、無味乾燥な文章でシンプルに記述されています。大抵の場合は教科書で代用できるので、あまり必要では無いかもしれません。(私は、あまり使っていません)

 私が最もお世話になったのは、2.に相当する参考書です。教科書だけで独学をするのは非常に難しいです。なるべく語り口調で、無駄な記述が多く、(案外、こうした“無駄“が重要だったりします)図やイラストの多いものを選んだ方がいいと思います。難関大を目指すのなら、参考書はなるべく分厚く、詳細に書かれたものを選んだ方がいいと思います。
 具体的なお勧めの参考書は、各科目ごとの記事(後ほど書きます)にまとめようと思いますが、例えば「鎌田の理論化学」などは非常にお勧めです。化学には他に無機化学と有機化学がありますが、ほとんどこのシリーズのみで東大の受験問題が解けてしまいます。(センター試験__名称が変更になっていますね^^;__なら満点が取れます。)

 3.辞書の代わりとして使うものは、(また化学の例になりますが)「化学の新研究」などがオススメです。こうした参考書はあまりに分厚く、詳細なので最初から最後まで読み通す、と言うよりは、分からないことがあった時に調べる、という使い方をした方がいいと思います。

問題集について

 さて、次は問題集について、です。

 実は、私はほとんど問題集に頼らないまま、参考書だけで合格しています。あくまで重要なのは“理解“であり、問題演習はそれを確かめるための道具に過ぎないと思っています。(ただし、この意見は本当に人それぞれで、各々の得意・不得意によるところが大きいと思うので、他の方の意見もぜひ、参考にしていただきたいと思います。)

 問題集は、あまり凝って選ぶ必要はないかと思います。パラパラと本屋でめくって見て、「難しすぎず、簡単すぎず」と直感出来たものを使えばいいかと思います。とにかく、重要なのは理解です。理解ができていれば、具体的な個別の問題は、その場で考えれば正解を導くことができます。もし、解けない問題に遭遇できたのなら、とにかく解けなかった原因を突き詰めて考える必要があります。よく、「数学は暗記だ」と言いますが、それは誤解を招きやすい表現だと思います。たしかに、数学は暗記です。ただし、暗記する対象を間違えてはいけません。暗記すべきはあくまで「解法のパターン」など、抽象的なことがらであって、個別具体的な問題の解き方を一つ一つ暗記することは不可能です。
 ただし、受験には制限時間がありますので、もし、時間が足りないようでしたら、しっかりと制限時間内に解くための訓練を積む必要があると思います。

勉強の仕方

 次は“勉強の仕方“について書きます。と言っても、ここでは、いわゆる「効率のいい勉強法」などについては書きません。そうした一般的なノウハウは巷に溢れています。

 ここで書くのは、上手に世の中を利用するための具体的な戦略です。

 まず、模擬試験は積極的に受けるようにしたほうがいいと思います。独学の最大の欠点は、どうしても客観性が欠けがちになる点だと思います。個人的には、少なくとも三ヶ月に一度は全国区の(そして難易度の高い)模試、例えば駿台全国模試のようなものを受けることを勧めます。これが、いわば定期テストの代わりみたいなものです。中学3年生以降には、そうした模試がいくつかあります。ただし、高校受験に特化した模擬試験は受ける必要があまりないと思います。高校入試をスキップして大学入試を目指すことのアドバンテージは、高校入試のための寄り道をショートカットできることにあるからです。

 また、(余計なお世話かもしれませんが)なるべく外部に友人をもっておくことを強く勧めます。同じような境遇にある方や、不満を抱きつつ登校している方など、とにかく同級生の友人を作ることを勧めます。案外、孤独は心を蝕むものです。しかも、そのことに自覚的でいるのは難しいものです。

 そして、独学だけでどうしても解決できない問題が出てきましたら、それらをまとめておくことを勧めます。そして、難関大向けの個別指導塾の無料体験授業に持っていって、質問して回るといいと思います。地方にはあまりありませんが、東京には、そうした個別指導の塾がたくさんあり、その多くが無料の体験授業をしてくれるものです。数ヶ月に一回ほど、息抜きの旅行も兼ねて、無料体験授業巡りをしてみるのもいいかもしれません。

 そして、高校三年生になるまでに、駿台全国模試や、河合塾の全統記述模試など、高偏差値の学校の生徒たちが受けることになる高難易度の有名な全国模試で良い成績を是非とって下さい。(できれば、東大でA判定が出ていることが望ましいです。)そして、その成績表を持って、最寄りの東○ハイスクール衛星予備校に行ってみてください。良い成績が取れていれば、東大特○コースにタダで入れます。それどころか、百万円分くらいの授業料が免除になります。(授業はいわゆる映像授業ですので、学校みたいなものではありません。もちろん、強制的に受けさせられることもありません。)模擬試験もタダで受験できますし、格安の(そして非公開の)合宿に参加させてくれたりします。(私が参加した合宿の東大現役合格率は九割を超えていました。そこで、非常に実力のある人たちとつながることができて、とても楽しかったです。)
 それから、PC付きの自習室もタダで使わせてくれます。地方にお住まいでしたら、交通費は飛行機代も含め、全額出してくれたりします。参考書代も、場合によっては出してくれます。ただし、上記は私が受験生だった頃(2015年ごろ)の話ですし、また、表向きに公開されている情報でもありません。校舎長次第、と言ったところでしょうか。
 ただ、このように、「難関大に受かるポテンシャルのある受験生を優遇して囲い込み、“進学実績“として広告に使おう」という塾はたくさんあります。ぜひ、調べて使い倒すことをお勧めします。

追記:インターネットについて

 また、インターネットの利用に関しましては、私はどちらかと言えば懐疑的です。私自身は、衛生予備校の授業を除けば、インターネットは全く利用することなく合格しました。

 学問は相互に密接に関連づけられ、それらが大きな体系(全体像)を成しています。そして、その全体像を捉えることで、一気に理解が深まり、学習効果が高まります。
 Webページの構造は、どうしても、こうした全体像の把握を困難にすると思います。
 また、“本“という物理的な実体がある方が、内容が記憶に残りやすくなると思います。(ゆえに、ノートも手書きをお勧めします。)
 ただし、最近の教育系youtuberの授業が非常に充実していることも事実です。このことに関しましては、是非、ご自分の感性に従ってお決めくださいませ。

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