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【一人暮らしの徒然】やや自暴自棄なワクチン接種

 3回目のワクチン接種日なので休みを取った。
 接種の時間は午後なので午前中は働いてもよかったのだが、このごろ職場に対して「このやろう」という感情が収まらないので、一日休んでやった。リフレッシュ半休だ。
 せっかくの空き時間、朝活でもしてフルに使ってやろうと思っていたのに、なかなか目が覚めない。スマートフォンの時計を横目で見ては寝転がり、結局8時を大きく回った頃にようやく起き上がった。この頃こんなうだうだが増えた。身体がストレスを眠りで鎮めている。
 起きると日課の体重と体温の計測をする。自堕落な時間は増えても、体重は順調に減っていた。悩ましい日々の中で唯一の希望だ。体温は平熱。午後のワクチン接種でどう変わるか。
 シャワーを浴びる。食欲はないけど、食べた方がいい。
 冷蔵庫の中を見て、週の頭に買った鶏もも肉を取り出す。小さなビニールに鶏肉を入れて、ケチャップなど調味料を次々入れてよく揉み、口を縛って冷蔵庫に戻して30分ほど漬け込んでおく。味がしみたらフライパンで焼いて、お弁当用の作り置きとお昼ご飯のおかずにするのだ。
 それを待つ間に、遅めの朝食を軽く済ませた。カフェオレ。桃缶の桃を食べやすく切ったの。物産展で買ったカヌレ。
 ワクチン摂取の問診票を記入しておく。どうせならうんと発熱するといい、と思っていた。自分以外に守るもののない一人暮らし。備えはしてある。連絡すれば家族が助けに来てくれる。会社だって休める。やや投げやりになっている。その自覚はある。
 しばらくスマートフォンでSNSを巡って、もし会社を辞めたらどこかに遊びに行くのもいいなと思った。不要不急の遠出で万一感染しても、プータローならそれほど人目を気にすることもないのだ。あぁ、やっぱりちょっと自暴自棄になってる。
 そうしているうちに鶏ももがケチャップによく漬かったので、油を引かずにフライパンでじっくりと焼いた。キッチンバサミでお弁当の小分けカップに入るサイズに切って、粗熱を取る。残った分は早めの昼食に食べてしまって、食器を洗った。
 天気がいい。暖房をつける必要もない室温だ。少し前に買って机に飾ったラナンキュラスはすっかり花開いて、豊かな花びらの重なりを見せつけていた。春だ。いい陽光のもと、散歩がてら和菓子屋へ行って、その帰り道にワクチンを打って帰ろう。ああ、盛大に発熱するといい。この憂鬱を蒸発させて欲しい。着替えるために立ち上がった。

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