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Filecoin2022年年次レビュー: 世界最大の分散型オープンデータ経済の有効化

2022年はWeb3産業、さらに世界に対して激動の年だった。しかしながら、困難な時期にもかかわらず、Filecoinのコミュニティが一丸となって構築し、プロジェクトのミッションとビジョンの重要性が強化された、多くのブライトスポットを持つ年だった。特に、Filecoinは地政学的な不安定さと大規模な虚偽情報のキャンペーンが特徴的な年に、情報の信憑性を検証する上でFilecoinの技術が重要な役割を果たした。

Filecoinンのミッションは、人類の情報のための分散型、効率的、かつ堅牢な基盤を作ることである。Filecoinが最大の分散型ストレージネットワークとしてよく認識されているが、Filecoinはストレージを第一歩として、ビジョンはストレージよりも大きなものである。そのビジョンは、(スマートコントラクトによる)プログラム可能なストレージ、検索、データに対する大規模な計算を可能にする分散型インフラの構築を包含している。これらのマイルストーンが達成されれば、Filecoinは世界最大の分散型データ経済を可能にし、中央集権型クラウドプロバイダーが提供する規模一連のサービスに匹敵し、実行可能な代替手段として位置づけられる。

2020年10月にFilecoinメインネットが立ち上げられて以来、コミュニティは3つの段階を通じて旅を辿ってきた(Protocol Labsの創設者Juan Benetは「Filecoin Masterplan」と呼ぶ)。2022年、Filecoinコミュニティはステップ1と2で目覚ましい進展を遂げ、2023年にはステップ3で大きな進展が見込まれている。

2022年に、Filecoinの成長ストーリーにおける主なハイライトは以下の通り:

  • ストレージ容量について、Filecoinは現在最大の分散型ストレージネットワークである。3,800以上のストレージプロバイダーが、全世界で1,700万TB以上のストレージ容量を提供している。これはインターネットアーカイブ全体を275回以上保存するのに十分な量である。最大の競合の400倍以上の容量を提供しており、Filecoinは最大の分散型ストレージネットワークである。

  • ネットワークの利用状況について、ネットワークに保存されているクライアントデータは2022年に16倍に、400PiB以上になり、MagicEden, Rarible, Kitsumon, and Peeranhaなどの新しいパートナーUC Berkeley、USCなどの大学、フィラデルフィア市からの大規模のWeb2データセットなど数万ユーザーにわたる1390万のアクティブなFilecoin取引がある。

  • 500以上のチームやスタートアップがエコシステムを構築していて、これらは合計で5億ドル近くを調達し、製品やサービスによってネットワークの実用性を向上させる。

2022年というWeb3業界にとって特に困難な時期に、このような成果を得られたことに、感謝と謙虚な気持ちで振り返っている。

2023年を見据えると、パイプラインがたくさんある。特に、Filecoin仮想マシン (FVM)の立ち上げにより、23年第一四半期にネットワークがプログラム可能になる。これは重要なオンチェーンアップグレードで、オープンアクセスデータ経済の機会を独自に活用する姿勢を整えた他のL1プロトコルの機能に匹敵し、凌駕することができるようになる。

Filecoin Virtual Machine (FVM)はFilecoin経済を拡大し、その参加者のためにより多くの価値を作り、そのブロックスペースの需要を増加させる可能性を持っている。誰でもFilecoinネットワークでソフトウェアを書くことができ、より多くの人々がデータにまつわる価値の創造と獲得に参加できるようになる。Filecoinのストレージサービスの洗練度を高めると同時に、Web3空間の全く新しいユースケースを開放することになる。そのほかに、検索(Filecoinを分散型コンテンツ配信ネットワークに進化させる)、データの計算処理 (Compute over Data;分散型でデータを変換・処理する機会を提供する)、Interplanetary Consensus(インターネット規模のユースケースを可能にする)関連のイニシアチブでも前進が期待されている。これらは全て「Filecoin Masterplan」のステップ3における重要な部分である。

私たちは、2022年のエコシステムの進展をより深く掘り下げ、この全てを可能にしたコミュニティの成功と努力を称えたいと考えている。

2022:世界最大のオープンアクセス・クラウドストレージネットワークの実現 

研究、エンジニアリング、ネットワークのアップグレード

プログラマビリティ、オンボーディングの高速化、パフォーマンスの向上を実現

2022年、Filecoinのネットワークは重要な更新を実施した。最初のアップデート-v15、は1月初旬にリリースされ、「SnapDeals 」として知られる4つの回路に対する安全なパラメータの作成が可能になった。 v16 Skyr アップグレードはFilecoinの仮想マシンのプログラム可能でないバージョンを導入し、Filecoinネットワークにとって重要な変革となった。その後、 v17 Shark アップグレード では、さまざまな改善と簡素化が行われ、ストレージ取引やプロバイダとやりとりスマートコントラクトの使用を通じて、プログラマブルストレージの基礎が構築された。今後予定されているv18 Hygge アップグレードでは、Filecoin の仮想マシンにユーザーのプログラマビリティを導入し、ネットワークをさらに強化する予定である。

検索市場

2022年、検索市場(Retrieval Markets)は素晴らしい一年になった! 2021年の勢いに乗って、検索市場のビルダーたちは頻繁にミーティングを行い、データ転送プロトコルや検索用の革新的な暗号経済モデルなど、さまざまな分野でのデモの進捗を紹介した。特筆すべきは、以下の通り:

  1. Magmo teamは、一年を通してマルチホップ決済チャネルに取り組んでいた。 

  2. Myel teamは、Rust-graphsync, JS-Graphsyncを提供し、現在、Protocol LabsのRetrieval Markets Labに参加し、素晴らしい仕事を続けている。

  3. Ken Labs teamはIPLDのSQL対応検証可能データベースの「Pando」を担当した。

2022年2月、Filecoin上に保存されたデータの検索ネットワークを構築するために、「Saturn initiative」が始動した。2022年5月、RM Lab を正式的に立ち上げ、誰でもFilecoin経済に貢献できるデスクトップアプリ「Filecoin Station Initiative」を開始した。

10月、RM Labは「Saturn Network」と「Station」のベータ版を開始した。2022年末には、Saturnはすでに全世界で500以上のノードを持っていた。さらに、Filecoinストレージプロバイダからの検索は、Boostネットワーク・インデクサの登場により、桁違いに容易になり、すでに940億のCIDのインデックスが作成された。

RM Labとこの領域で活動するすべてのチームについての詳細は、retrieval.market にアクセスしてください。

FVM開発

Filecoin Virtual Machine (FVM)は、2022年にロードマップの大幅な進展を遂げた。7月にマイルストーン1.0が完了し、 FVMのプログラマブルバージョンをFilecoinのメインネットワークにインストールすることに成功した。Skyrネットワークのアップグレードにより、メインネットワークはFVM上でそのコアロジックを実行している。

私たちは、FVM Foundry Early Buildersの最初のF/0コホートを立ち上げ、Protocol Labs Network とコミュニティかの25のプロジェクトチームと協力して、コアチームと一緒にFVMを構築している。このコホートでは、RustGo、とAssemblyScriptのFVM SDK、複数のブロックエクスプローラ、そのほかの重要なFVMツールやテストなどの印象的なプロジェクトが生み出された。

現在進行中でのマイルストーン2.0は、ユーザーがプログラム可能なFVMをメインネットワークにインストールするために始まり、Filecoin のストレージネットワークにプログラマビリティをもたらし、無限のユースケースをアンロックする。2022年に、マイルストーン2.1の90%を完了してイーサリアム互換のFVM (FEVM)を構築し、Filecoin に対してMetamask、Foundry、and Remixなどのイーサリアムツールが操作できるように、機能を完全に備えたイーサリアムJSON-RPC APIを構築した。

目標は、開発者から圧倒的な反響を呼ぶ、EVMからFVMへのシームレスな開発者体験である。その結果、120のプロジェクトチームがEarly Buildersプログラムに参加し、また、初のFVM専用ハッカソンであるHack FEVMでは400人以上のハッカーが集まった。FEVMは2023年3月にメインネットワークに導入され、多くの絶好な機会を提供する。詳細はFEVM Space Warpのページでご確認ください!

データの計算処理

データの計算処理Bacalhau projectは、驚異的な2022年を迎え、メインネットワークのベータ版稼働をもって順調な締め括りをみせた。

Compute over Dataは、分散型コンピューティングプラットフォームを構築するすべてのプロジェクトを促進するための、コミュニティ主導のイニシアチブである。共同作業スペースを育成することで、Compute over Dataは構成可能で再利用可能なプロトコルやライブラリを通じて、イノベーションの加速を支援する。

2022年初頭、私たちは最初のCompute over Dataサミットを開催し、初期アルファ版のローンチを発表した。同時に、データ量の多いジョブ実行方法を変革することに関心を持つ、同じ志を持つ組織や人々の集まりであるCompute over Data WGも立ち上げた。

6月には、Bacalhauネットワークで最初の公開ジョブが実行され、Bacalhauプロジェクトの先進的な使用例も数多く立ち上げることができた。その一部は次の通り: Duck DBの利用, 画像データ処理, and 並列計算負荷の処理

そして何より、私たちはBacalhauをベータ版としてローンチすることができた!新しいUX、WASM サポート、ネットワークの信頼性の向上、Filecoinのネイティブサポート、Apache Airflowからのジョブパイプラインなど、多くの新機能がリリースされた。私たちは、たった1ヶ月で10万以上のジョブをサポートできるネットワークで、この年を終えた!

Interplanetary Consensus

ConsensusLabの主要プロジェクトであるInterplanetary Consensus (IPC)は、ブロックチェーンネットワークを拡張し、階層的、再帰的なスキームを利用する。このスキームは、サブネットと呼ばれるレイヤー2以上のネットワークで構成され、サブネットはその親ネットワークにネットワークの状態をチェックポイントし、トップレベルのレイヤー1ネットワーク(例えば、Filecoinや他のネットワーク)まで至るものである。

2022年, ConsensusLabは一連のPoCsとIPCのMVPを開発した。最初は現在のFilecoin/Lotusクライアントのためのgolangベースの組み込みアクターとして、その後FVMとして開発した。これは、分散プロトコルのモジュール開発のためのMir framework上に構築されたTrantorという最新の高性能コンセンサスプロトコルを実行する永続的な公開テストネット、Spacenetの立ち上げで頂点に達した。現在、Spacenetは将来のIPCにおけるL2+サブネットの機能として、秒以下のコンセンサス遅延と高スループットを特徴する例証となっている。2月までに、SpacenetはサブネットとFEVM をサポートし、フル機能のIPCネットワークとなる予定。

Drand

2022年、チームはメンテナンスから研究開発に重点を移し、drandのエコシステムは目覚ましい成長を遂げた。2人の新しいメンバーがエンジニアリングチームに参加し、私たちはdrandベースのタイムロック暗号化スキームのリリースを発表し、2023年2月にメインネットでローンチした。

タイムロック暗号化は、年初のマルチビーコン対応のリリースで実現したが、実用的なタイムロック暗号化の仕組みが生み出す新しい可能性に期待している。封印入札オークションやフロントランニング防止などの可能性があり、FVMへの統合を期待している。

さらに、Nois networkによるCosmosや、2023年にローンチするSui などの新しいブロックチェーンエコシステムがdrandのランダム性に依存し始めており、drandに始めから対応する。コミュニティのおかげで、2月にメインネットでローンチするビーコンチェーンでは、より高い頻度、より速い検証時間、より小さな署名サイズを持つネットワークを計画した。詳細については、私たちのブログをチェックし、drand Slackワークスペースに参加してください!

Filecoinエコシステムの開発

クライアント導入とデータオンボーディング

2022年の顧客オンボーティングデータ (PiB)
2022に、Filecoinに保存されるデータ量は爆発的に増加した。460 PiBが1000人以上の検証済みクライアントで保管され、毎月約25%で成長している。

大規模なデータセットを保存したい研究者や企業は、常に高額の料金を支払う必要がある。高額なクラウドストレージに代わるものとして、Filecoinネットワークは効率的な価格と地理的に分散されたストレージを提供し、中央型ネットワークではなく、複数のノードに渡ってデータを保存することで、経済的な障壁を最低限に抑え、データを危険に晒すリスクを低減する。例:

  1. GenRAIT: 科学者はデータの管理と準備に80%の時間を費やしている。GenRAITは、機密性のないゲノムや科学研究データのデフォルトアーカイブとして、Filecoinネットワークを使用する。ここでは、科学者はデータをアップロードするよりも、データの分析に多くの時間を費やすことができる。

  2. Berkeley: UC Berkeley地下物理グループは、Filecoin上に構築された分散型クラウドストレージ製品である Seal Storageと提携し、ニュートリノ物理学の研究データを保存する。このデータはFilecoinのブロックチェーン上に置くことで、検証可能であることを保証し、新規検出技術の開発をサポートすることができる。

データの透明な所有権はWeb3コミュニティの核となる信念であるが、特にクリエイティブなWeb3コミュニティにとって、データのアップロードに関する技術的な詳細は、参加障壁になる可能性がある。クリエイター、コレクター、開発者は、NFTの保管を簡単かつ安全にするために、Filecoinを基盤とした製品を頼っている。例:

  1. NFT Star:彼らは、スポーツスターとそのファンとの直接的な繋がりを促進するWeb3コミュニティを構築するために、統合されたグローバルなスポーツメタバースプラットフォームを構築している。スポーツNFTのコレクターは、デジタル資産の価値を高めるデータを失うリスクなしに、それらが簡単に取引・交換されることを期待している。チームは、検証可能で安全なコンテンツの直接の所有権を提供できるFilecoinを選択した。ストレージの提供に加え、ネットワークの地理的分散により、データ検索に費やす時間を短縮し、プラットフォームのユーザー体験を向上させる。

  2. Solana: 3.4 PiBパブリックチェーンスナップショットがネットワークにオンボーディングされている。

開発者の採用及びオンボーディングプラットフォーム

  • NFT.Storageは、オフチェーンNFTデータを公共財として保存するデータアーカイブプロジェクトで、コンテンツアドレスのメタデータとアセットを使用してブロックチェーン外の暗号保証を拡張し、検証可能でプログラム可能なストレージとしてすべてのデータをFilecoinネットワークに冗長に保存している。2022年、NFT.Storageは1億1千万件のアップロードを超えた! 今年、NFT.Storageは、FilecoinオンボーディングとFilecoin仮想マシンのイノベーションを利用してサービスの分散化を進め、その使命をさらに拡大する。詳細はNFT.Storage blogでご確認ください。

  • web3.storageは、分散型プロトコルを用いてデータの保存と読み込みを簡単に行うことができるデータストレージプラットフォームである。そのアーキテクチャは2022年に非常にスケーラブルで信頼性の高くなる物に進化し、現在では、8500万以上のアップロードがIPFSネットワークに60億以上のブロックをブロードキャストしている。2023年、web3.storageは新しいアップロードAPIとクライアントであるw3upをリリースし、開発者がアプリケーションであるFilecoin ストレージを有効にするために必要な摩擦を軽減する予定。また、そのアーキテクチャは、分散型データプロトコルを使用するだけでなく、ユーザーのコストを削減するために、Filecoin自体に保存されたコピーにますます依存することから分散化を続けていく。

  • Singularityは、Filecoinネットワークにデータを取り込むためのエンドツーエンドのソリューションで、ペタバイト規模の生データセットから、データの保存、Filecoinネットワークからの取り出しまで、ユーザーを導くように設定されている。Singularityはオープンソースで、モジュール式に設定されて、ユーザーはFilecoinにデータを取り込む過程で有用な部分は何でも活用することができる。これには、データ処理(生データからIPFS/Filecoin互換フォーマットへ)、処理済みデータのメタデータ管理、データ配信、とFilecoinでの取引実行が含まれる。2022年の発売以来、Filecoinへのオンボーディングのための約15億ファイルの準備に使用され、50 PiB近いデータのためのおよそ150万件のストレージ取引を可能にしたまま年を越した。

  • Beijing Yiweishi Network Technology Company, Ltd. (通称Ewesion) は、写真、イラスト、ベクターファイルのオンラインホストとして中国で最も急成長している企業の一つである。Filecoinネットワークを採用することによりEwesionが感じている利点には、 顧客にとって画像の取り出しやすさを維持しながらストレージのコストを削減できること、ビジネスパートナー(写真家、イラストレーター、デザイナー)にとって著作権とデータ所有権の問題からくるセキュリティと安心感、現在の顧客ベースにとって長期的なストレージソリューションがあることなどがある。

  • Shanghai Xinshu Information Technology Company Limited(略称:Xinshu Technology)は、「感情の銀行」を目指してカスタマイズされた写真製品及び画像共有サービスを提供する企業である。Xinshuはビジネスを行う上で新しいアプローチの必要性を見出した。中国最大のクラウドコンピューティングサービスのアリババクラウドを活用することは、会社の将来の目標に対して複雑でコストがかかりすぎている。コスト、柔軟性、拡張性の面で限界があったため、共同設立者たちは新しい道を模索することになった。

Estuaryは、14万以上のストレージ取引に11,806,012,578個のオブジェクトを詰め込み、Filecoinに合計1.34 PiB を保存して一年を終えた。

Estuaryの特徴は、アップロードされたデータはすべて入手可能であり、データは実際のアプリケーションからのものである。Filecoinの検索レイヤーがより良く機能し始めると、Estuary はデータのオンボーディングを改善する。私たちのチームとFVM で行う予定のこと、私たちから提供できるインフラ、そしてFilecoin ネットワークが直面している検索の課題を支援するための目標について、詳細はこちらを参照いただきたい。

ストレージプロバイダの実現

Filecoinエコシステムの成長に投資している組織の一つであるOutercore のネットワーク成長チームは、2022年にストレージプロバイダー向けのツールとリソースをさらに充実させることができた。ストレージプロバイダ・ランディングページの開設からIDCホワイトペーパー「Web3テクノロジーに基づく分散型ストレージが最終的に多くのパブリッククラウドベースのストレージサービスを置き換える理由」の発行まで、チームはストレージプロバイダが400 EiB 以上の実際の顧客データをオンボードすることを可能にした。

最近リリースされたストレージ・プロバイダ・セールス・キットは、 ストレージ・プロバイダーが潜在顧客にサービスを販売する際に活用できる様々なリソースを提供している。このキットには、バトルカード、ケーススタディ、電子メール・テンプレート、アナリスト・レポートなどの資料が含まれる。ストレージ・プロバイダーがセールス・キットに含まれるケース・スタディの例としては、以下のようなものがある。PiKNiK, GREATERHEAT, Lucky Storage, DCENT,やKonvergenceなどである。

2022年、ネットワーク成長チームは、Fil+プログラムの概要と、ブロック報酬がFilecoinネットワーク上のストレージプロバイダーの見返りにどのように使用されるかを説明するFil+ Interactive Infographicを作成した。また、クライアントがデータキャップをどのように活用するか、このモデルで公証人がどのような役割を果たすかについても説明している。さらに、ストレージプロバイダーが非常に特定の領域で機械とより深く対話できるようにするため、ネットワーク成長チームは2つの販売プレイブックを作成した。

具体的には、2022年に「ライフサイエンス・プレイブック」と「環境インパクト・ブック」が作成された。これらのプレイブックは、これらの特殊な機械に対するビジネスパイプラインを構築したいストレージプロバイダーのために、ケーススタディとベストプラクティスを提供する。最後に、ネットワーク成長チームは、Decentralized Storage Allianceの設立を発表した。

Decentralized Storage Allianceは、Web2とWeb3のトップレベルのリーダーを集め、Filecoin, IPFS, Libp2pなどの分散型テクノロジーの採用を支援し、教育、支援活動、ベストプラクティスを通じてWeb3への移行を支援するものである。

Filecoinビルダーとスタートアップ

2022年は、複数のプログラムを通じて、IPFSとFilecoinが、ビルダーとファウンダーを支援し、強力なコミュニティの成長を促進する能力において比類のないエコシステムとしての地位を確固たるものにした。

2022年末時点で、500以上のチームがIPFS、Filecoin、またはその両方を活用したプロジェクトやスタートアップに活発に取り組み、50以上のハッカソン、助成金、20のアクセラレータコホート、および構築者がまさに必要とするものをサポートするために調整された他のプログラムを通じて、これらのエコシステムへの道を見いだしている。

Filecoinは、Longhash、Tachyon、Techstars、および20以上の厳選されたパートナーを含む主要パートナーと共に、アクセラレータプログラムをグローバルに運営する最強のプレイヤーであり続けている。エコシステム内のベンチャーは、資金調達、人材採用リソース、キュレートイベントなどのカスタムサポートを受ける。その一例がFILVCである。FILVCは、運用資産5兆ドル以上を誇る業界有数のファンド300社が参加する招待制のDemo Dayである。

プロジェクトは、開発者用ツール、データ管理サービス、分析ツール、金融サービスなど、さまざまなユースケースに及んでいる。FVMのリリースを間近に控え、コミュニティは活気に満ちている。新興企業は、強力な市場検証を示すために、合わせて2億ドル近い資金を調達した。さらに、Filecoin FoundationとProtocol Labsは、エコシステムの成長を促進するため、1,700万ドル以上の助成金を提供した。

トークン・ホルダー

Filecoin TL;DRは、Filecoinに関するコンテンツや最新情報を、非技術系の読者に適した短く消化しやすい形式に合成することを目的に、2022年下半期に開設された。TL;DR blogでは、毎月ブログ記事が公開され、Filecoinトークノミクス、Filecoinの方向性、FVMが解き放つビジネスモデルなどのトピックを取り上げている。また、MessariThe Block,IDCなど、いくつかの有名なメディアや調査機関でのFilecoinの報道を増やした。最新情報については、TL;DR blogTwitterをフォローしてください。

IPFSの普及


2022年にNFTが主流となり、IPFSの利用率と認知度は爆発的に上昇した。この成長から、IPFS上のデータをプロダクションレベルで利用したいという需要に応えるために、多くの新しいサービスやプラットフォームが生まれた。ネットワークデータをHTTPでアクセスできるようにするIPFSゲートウェイは著しく成長し、週平均で約150万件のリクエストがあった。パブリックネットワークのノード数は、1年の大半を平均して約35万台、ピーク時には約80万台となった。この成長から、Rustベースのグランドアップの実装であるIrohや、大規模なNFTドロップの高い性能要求に応えるためのElastic IPFSなど、プロトコルの新しい、異なる実装も見受けられるようになった。IPFS þingでは、プロトコルの実装に関する新しいアプローチや異なるアプローチに焦点を当てた100人近くの開発者が集まった。

需要と利用が拡大するにつれて、IPFSが必要とされるインターネットとアプリケーションのインフラストラクチャも多方面で拡大してきている。CurlFFmpegのようなオープンソースの基本ツールにIPFSのサポートを統合する努力は、関心を集め、現在も進行中であり、Unreal Engineのようなゲームエンジンにも統合されている。IPFSのような非HTTPプロトコルをサポートするために、IgaliaはGoogle Chrome、Microsoft Edge、Brave、Operaを動かすオープンソースブラウザであるChromiumに大きな変更を加え、最先端でより幅広い採用ができるように準備した。10月下旬にポルトガルのリスボンで開催されたIPFS Campでは、500人以上が3日間にわたって講演、ワークショップ、コラボレーションに参加し、IPFSコミュニティの大きな成長を示すとともに、将来のプロトコルの方向性を示すために協力し合った。

Filecoinグリーン


Filecoin Green Energy Dashboardのおかげで、Filecoinはネットワーク全体と個々のストレージプロバイダのエネルギー使用量を測定する際に、最も透明性の高いブロックチェーンとなった。
さらに、2022年末までのネットワークの総エネルギー使用量の見積もりを上回る再生可能エネルギーを調達した。7月には初のサステナブル・ブロックチェーン・サミット・ハッカソンを開催し、250人以上が参加し、70のプロジェクトが提出された(優勝者はEcosoul.xyzをご覧ください!)。また、Sustainable Blockchain Summits(SBS)を3回開催し、1000人以上の参加者が集まり、100人の専門家の講演が行われた。100万ドルの助成金ラウンドは、芽生えつつあるReFi分野のプロジェクトの支援と、ストレージプロバイダーによる持続可能な運用の支援に焦点を当てた。10月には、IPFSとFilecoinをベースにした世界初のデジタル環境資産向け分散型ストレージソリューションのCO2.Storageの立ち上げを発表した。

Filecoinコミュニティの成長

Filecoinコンファレンス
Filecoinコミュニティのメンバーは、2022年にETHDenver、SXSW、ETHCC、Sustainable Blockchain Summit EUとBogotaなど35以上のカンファレンスとイベントに参加した。さらに、FIL Singaporeは、初の大規模なFilecoinカンファレンスであり、アジア最大のコミュニティの集まりで、1,600人以上の直接の参加者に加えて多くの人がオンラインで参加していました。また、コミュニティ主導の30件のサイドイベントや、300人以上の投資家と26件の分散型ストレージで構築されたプロジェクトが集まった初のFIL.VCも開催された。

FIL Lisbon は、Filecoinのエコシステム全体から数百人の参加者を集め、50人以上のスピーカーによる洞察に満ちた講演、世界有数のFilecoinのエコシステム参加者によるパネルディスカッション、そしてWeb3共同構築者の仲間たちとのインタラクティブなワークショップが5日間にわたって開催された。また、コミュニティメンバーは、Filecoin Foundation x Fission Codes x Lightshift Hacker Baseでイベントを開催した。

FIL Bangaloreは、インドブロックチェーンウィーク中の2日間に渡って開催された、もう一つの素晴らしいFilecoinのカンファレンスとなった。25のコミュニティパートナーと協力し、このイベントには1,300人以上の参加者が集まり、20人のスピーカーからFilecoinについて学び、10以上のワークショップに参加した。

初のFIL.VC


FILシンガポールは、Filecoin、IPFS、Protocol Labsのエコシステムに属する25のスタートアップをWeb3の300以上の主要投資家に接続する招待制のデモデイ、FIL.VCを初めて開催した。 このイベントは、数百の投資家の紹介と多くのタームシートをもたらし、参加スタートアップの強力な資金ラウンドにつながった。この種のイベントは、ビルダー、起業家、スタートアップがより付加価値の高いベンチャーキャピタルにアクセスするのに役立つので、2023年にこのようなイベントをより多く開催する予定。

2023年は、開発者がWeb3の未来を形作るためのイベントがすでに目白押しである。今後のアクセラレータ、助成金プログラム、ハッカソンにご注目ください!

Filecoin Orbit & コミュニティミートアップ


Filecoin Orbitプログラムは2022年に成功を収め、世界中で96のイベントが開催された。これらのイベントは多くの聴衆を惹き付けて、イベントを通して6,762人以上の参加者を迎えた。Filecoin Orbitは25カ国にまたがるコミュニティを持ち、その世界的なインパクトを披露する。さらに、このプログラムには58人のアンバサダーが参加しており、彼らはこのプログラムとFilecoin、IPFS、Libp2pの普及という目的を推進する上で重要な役割を担っている。彼らの努力により、このプログラムは分散型ストレージソリューションに関心を持つ個人の強力なコミュニティを形成することができた。Filecoin Orbitは来年、FVMの認知度向上に注力し、メンバーはFVM上に構築されたプロジェクトのためのミートアップやハッカソンを開催する予定。

H1 2023: データエコノミーの可能性を解き放つために世界を強化する

Filecoinロードマップ

2022年のFilecoinのロードマップには、大きく分けて3つの要素があった:

  1. 容量とデータのオンボーディング:Filecoin が、ストレージプロバイダがネットワークに持ち込むチェーン帯域幅のオンボーディングをサポートできるようにする。今後のプロジェクトにより、ネットワークへのデータと容量のオンボーディングがより簡単に、より効率的に、より安価に、より信頼性の高いものになる。

  2. データ検索: CDN品質のツールにより、ユーザーがFilecoinネットワークに保存されたデータを取得する能力を向上させる。

  3. プログラマビリティと計算:Filecoin Virtual Machine を実装し、ネットワーク上の様々な新しいツールのロックを解除し、Filecoin セクターに格納されたデータに対して計算を実行する機能を導入する。

2023年は、Filecoin Retrieval Market、FVMとFEVM、Compute over Data、L2対応能力、階層的なコンセンサスのシャーディング(Hierarchical Consensus Sharding)など、複数のハイライトをお届けする。

FVM打ち上げとスペースワープ


FVMは、データ経済の可能性を最大限に発揮するために世界に力を与える。Filecoinのストレージネットワークと経済の基本的な構成要素を新しい方法で組み立てることで、誰もが有用な製品やサービスを生み出すことができるようになる。

Web3ネイティブな方法でデータの保存を管理するソフトウェアを書くことができれば、Filecoin経済の実用性を高めるだけでなく、Filecoinを強力なL1として位置づけながら、これまで以上に多くの人々がデータ保存にまつわる価値の創造と獲得に参加できるようになる。

開発者や起業家にとって、FVMで構築することには多くの魅力的な理由がある:

  • 容易なオンランプ:EVMはFVMの上で最初に起動するランタイムであるため、開発者は試行錯誤を経た開発者用ツールインフラを活用し、既存のEVMベースのスマートコントラクトを構築することができる。テストネットは数カ月前から稼働し、改善されているため、初期の開発者はいち早く構築を開始することができる。

  • コミュニティの繁栄:FVMは、Filecoinネットワークの実用性を高め、ストレージプロバイダー、開発者、トークン所有者など、Filecoin経済の参加者を活性化し、団結させ、成長のための肥沃な土壌を提供し続けている。

  • 強力なサポート:FVMに特化した助成金、ハッカソン、コミュニティイベント、アクセラレータプログラムなどの資本と世界レベルのメンターシップによって、FVMで構築するパイオニアを刺激し支援し続けている。

  • オープンソースのコア: FilecoinとFVMは、根本的に組み替えられたエコシステムを育み続けており、全ては最高のアイデアに繋がっている。FVMは相互互換性が高いので、他の強力なエコシステムと連携してWeb3テクノロジーの採用を加速させる。

  • 有望な軌跡:FVMの立ち上げは、強力なL1としてのファイルコンの地位を確立し、インターネットスケールのユースケースに対応するためのユニークな位置付けを継続して、エキサイティングな今後のアップグレードの1つである。

ハッカソン、バグバウンティプログラム、ビルダー向けマイクログラントなど、FVMの立ち上げに向けたプログラムがぎっしり詰まった「Space Warp」イニシアチブへの参加をご検討ください。

CeFi及びDeFiのFilecoinのトークンホルダー向けステーキングオプション


ファイルコンのネイティブ・トークンであるFILは、ブロックチェーンの安全性とネットワーク上のユーザーデータの保護という、ネットワーク上の担保として重要な役割を担っている。ネットワークが質調整パワーを高め続ける中、ストレージプロバイダはネットワーク上のデータを保護し、事業を拡大するために、より多くのFilecoinの可能性を常に探している。

トークン保有者は、トークンをストレージプロバイダにステークすることでネットワークの成長を加速させ、そうすることで見返りを得ることができる。現在、そのための主な手段はCeFiで提供されており、特にAnchorage、Darma Capital、Coinlistが運営するプログラムを通じて行われている。これらのプログラムにはそれぞれ特有の条件を持っているが、いずれもFilecoin経済の成長を直接的に支援するものである。

また、FVMの登場は、トークンをネットワーク上で活用したいトークン・ホルダーにとって、より大きな柔軟性と選択の余地をもたらす。FVMは、FILのプロトコルベースのステーキングにより、Filecoin上でネイティブなDeFi経済を可能にする。プロトコルベースのステーキングにより、トークン・ホルダーは、ステーキングされたトークンをFilecoin経済圏で使用することができ、ブリッジを使ってエコシステム間でトークンを移動させることができる。ステーキング・オプションを構築しているチームはBifrost、Filmine、Fillet、Glif Pools、H2O、PalladiumX、およびSecured Financeである。

クライアントとストレージプロバイダのネットワークの拡大


必要な担保、ハードウェア、技術的専門知識があれば、誰でも Filecoin ストレージプロバイダになることができる。クライアントまたはストレージプロバイダとして Filecoin に興味がある方は、サインアップしてリソースを受け取り、Filecoin でのストレージ提供について学んでください。さらに、Filecoin+について学び、開発中のツール、発表、ストレージプロバイダを求める他のデータ所有者を見つけることができるコミュニティに参加しましょう。

Filecoinコミュニティイベント


2022年は、イベントにとって大規模な年! Lab Week 22では、コミュニティ初の分散型カンファレンスを導入し、研究にフォーカスしたセミナー、エンジニアリングワークショップ、サミット、アンカンファレンス、ハッピーアワーなど、2週間にわたって数十のイベントを開催した。2023年にコミュニティとつながることを楽しみにしている。イベントの一部は:

  • Filecoinハッカーベース:2月28日から3月1日

  • FVMローンチイベント: 3月1日

  • FILオースティン: 4月25日

  • サステナブル・ブロックチェーン・サミット:ボストンで4月13日から14日

まとめ


2022年は激動に満ちた年だが、Filecoinのコミュニティはレジリエンスを保ち、Filecoinを世界最大の分散型データ経済に変えるというミッションにコミットしてきた。困難だが、素晴らしい年を締めくくるのを助けていただき、ありがとうございました! 2023年の今後のイベントや機会について最新情報を得るには、TwitterでFilecoinをフォローし、Slackでコミュニティに参加してください。