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治療をすると決めた理由~難病と診断された時に考えるべき大切な事

前回で、私はすぐに治療することを決めたと書きました。
正直、症状も出ていない状態であれば、高いお金をかけて治療をする必要はないと判断する人もいるでしょう。
しかし、私は指定難病と診断されたら症状の有無に関わらず、お医者さんから治療の選択肢があると言われたら治療を始めるべきだと思いました。
その理由を今回書いていきます。

なお、今回の内容は目次より下の部分を有料(500円)にさせていただきます。
本日から、こちらの有料設定を解除させていただきます。
気になっていたけど有料だから見ていなかった方も是非どうぞ。

それでは、目次から。

現在症状がない=将来症状が出ないではない

症状がないから今はいらないという考え方は危険

今症状がないことは、とても幸せな事です。
今の症状が非常に軽くて通常生活に影響がないこともとても幸せな事です。
でも、発症したら通常生活を送ることは非常に難しくなります。
多発性硬化症の場合、発症したら手足に障害が残ることが多いです。
片手だけ、片足だけならまだしも、(それでも厳しいですが)半身にでたらどうなるでしょう。
左半身、右半身、両足、両腕、どう出るか分かりません。
でも、この4つのどれが出たとしても今と同じ生活を送れると思いますか?

症状がないからこそその状態を長く継続できる方法を考えるべき

だからこそ、今の状態を少しでも長く継続するために治療をはじめるべきだと私は考えました。
私に病気が判明した時娘は2歳でした。
娘が成長するまで私は通常生活を送っていなければならないと考えました。
なら、治療をしない選択肢はありません。
でも、非常に高額な治療費がかかるのなら資産家でもない私は治療をして行けないでしょう。
どうすれば治療をすることができるのか、懸命に調べました。

治療にかかる金額は工夫次第で低減できる

調べれば調べるほど、色々な情報が出てきます。
出てくるほどに私は光が見えた気がしました。

そもそも高額な治療には補助がある

病院にかかる際に皆さんは健康保険証を持っていきますよね。
この健康保険があれば、高額な治療には補助があります。
これを、高額療養費支給申請といいます。
その人の収入により変化しますが、自己負担額上限が存在していて、それ以上かかった場合には超過分の払戻をすることができたり、事前に分かっていれば限度額証明書を発行してもらえます。

更に難病指定されている病気ならより手厚い補助がある

難病指定されている病気の場合、申請から半年程度の時間はかかるものの、更に医療費の助成があります。
その難病にかかる場合の医療費に上限が設定されるのです。
通常、一定以上の重症度がないと医療費の助成は認められないのですが、軽症でも高額の医療費がかかる治療を継続する必要がある場合、医療費の助成を受けることが可能なのです。
私のように症状が無くても(重症度が低くても)治療が必要と医師が判断し、その費用が高額であれば、難病の助成を受けられるわけです。

助成金額は収入により変化しますが、普通の所得の人で月額1~2万円まで、高位所得者であっても、月額3万円までで医療費上限がやってきます。
この医療費は病院にかかった金額、薬局で処方された薬の金額を合わせて計算されます。
私は普通の所得なので、毎月1万円以上は多発性硬化症の治療ではかからないことになります。
更に、高額かつ長期という指定が認められれば、その金額が更に下がります。

制度を読み解けば他の制度との組み合わせも見えてくる

つまり、半年の間非常に高い医療費を払う代わりに難病申請が通った後は非常に安価に治療を進める事が出来るわけです。
そして、半年の間の医療費も高額療養制度が利用できるため、上限なしに支払わなければならないわけではないのです。
ちょっとの間だけやりくりすれば、そこから先は治療を継続していくのは難しくないと思いませんか?

医療保険は治療費をまかなうためのものではないと理解する

いざ発症した際に医療保険を使えばいいから、と言う方もいるかもしれません。
でも、医療保険で治療費をまかなおうと考えるのはお勧めできません。
私も医療保険には多発性硬化症が見つかる前に入っていたので、これを無くさないよう大切にしていく必要があります。
(流石に難病が判明した後に新しい医療保険に入るのはまず難しいです)
治療費は別枠で何とかしつつ、医療保険はそれ以外の部分をまかなう方が結果としてQOLが高まります。
それを可能にするためにも、指定難病になった場合は早いタイミングから難病申請をしておく必要があるのです。

ここまでの話を組み合わせた私の治療方針

それでは、ここまでの話をまとめて、私がどのような治療方針にしていたのかをお伝えします。

治療を始めてから半年程度までのこと

治療すると決めてからすぐに難病申請をするための書類を先生に作っていただきました。
出来次第、すぐに役所に持って行って申請開始。
同時に健康保険組合に限度額証明書を申請しました。
あわせてテクフィデラの投薬治療を開始します。
当初1カ月は20万以上の医療費を支払いましたが、加入している健康保険組合に高額療養費支給申請を行って、半分以上を取り戻しました。
2か月目からは限度額証明書を使用して、1月当たり3万円以上はかからないようにしました。
(私の加入している健康保険組合の高額医療費基準がこの額だっただけなので、通常は1月当たり7~8万円くらいはかかると思います。)

3カ月目の途中で、難病申請が否決されました。
これは、私の症状が軽症すぎて通常の難病指定では対象外になるためです。
でも、指定難病には軽症高額該当という制度があります。
これは、医療費総額が33,000円を超える月が1年以内に3カ月以上ある場合対象となり、重症度分類上対象外であっても高額な医療を継続する必要がある場合は難病の医療証が発行されるのです。
ただし、軽症高額該当となるためには、一度難病申請が否決される必要があるため、とにかく早く難病申請を行ったのです。
ここまで2か月のテクフィデラの医療費と、そもそも最初の検査費用で私は軽症高額に該当しますので、改めて軽症高額の申請を行いました。

その3か月後、軽症高額該当に指定されて、難病の医療証を取得しました。
ここまででだいたい半年かかりました。

半年以降現在までのこと

しかし、これで終わりではありません。
指定難病にはさらに、高額かつ長期の区分があります。
高額かつ長期の認定は、申請月以前の医療費総額が月5万円以上の月が年間6回以上あれば対象となります。
テクフィデラの投薬治療で医療費総額は余裕で5万を超えてきます。
つまりこれ以降、医療費助成をうけながら(私は上限2万の状態で)年に6回治療を受ければ高額かつ長期の区分となり、その費用がさらに下がるわけです。(私は上限1万になりました)

この後気を付けることは、年6回以上の通院を心がけることだけです。
難病なのですし、こまめに通院して状況を見てもらえると安心できますし、高額かつ長期も継続できるのですからより安心ですよね。

なお、医療費助成はその病気でかかる医療費に上限が設定されるので、実際に発症してしまい入院が必要になったとしても、上限以上の金額はかかりません。
つまり、医療証を取得しておくことでいざという時の転ばぬ先の杖にもできるわけです。
これでも、治療は不要と思いますか?

今回は、私がどういう考え方で治療をすることを決めたのかを書きました。
この知識があなたの助けになってくれれば幸いです。

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