見出し画像

メンバーそれぞれのキャラクターが武器になる場

 皆さんはアイドルのラジオにどのようなイメージがあるだろうか。ラジオはわざわざつけないと聞くことができない。テレビの流し見よりハードルの高いことかもしれない。そうしたことから、アイドルのラジオをわざわざつけるのはオタクのみで、ラジオができるのは有名なグループだからできるんだろう、さしてトークは面白くないんだろうとうがった見方をする方がいても仕方ないと思う。現在では多くのアイドルがラジオを自分のコンテンツとして発信しており、しゃべりを武器ですと公言しているグループは少なくない。

ここまで読んだうえでラジオ×アイドルの相性はアイドルオタクのみを対象としており、万人受けを目指すのは難しいということが言える。万人に受けるコンテンツをつくるのははっきり言って不可能だが、いろんなタイプのラジオパーソナリティーが同じ時間帯で自分たちの身の回りの出来事を話すことのできるコンテンツがあれば、多くの方にこの回好きなんだよなと言ってもらえる番組ができるとこの番組を聞いて感じている。

ここまで長々とラジオ番組のタイトルを言わずに話してきたが、いろんなタイプのパーソナリティーがいる番組こそ、ニッポン放送「SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル」である。(自分の推しの紹介にならないよう、あくまで公平な目で見ていきたいと思っている。)そもそもSixTONESは6人組のジャニーズ所属のグループだ。メンバーは田中樹、京本大我、ジェシー、高地優吾、森本慎太郎、松村北斗である。それぞれの魅力を語ればきりがないが、あくまでラジオという視点から彼らに関して語っていきたいと思う。このSixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャルは、毎週土曜23:30-25:00に放送しており、田中樹が毎回進行を務め、他のメンバーがランダムで登場する。メンバーごとに化学反応が起きやすいため、5通りの組み合わせについての魅力を語る。

京本大我×田中樹
京本大我回は毎回カオス回と言っても過言ではない。ラジオブースいっぱいにさすまたを持って歩き回ったり、ブースにいない何なら飼ってもいない架空の猫のペットと会話して見たり、自作の誰も知らない歌を突然歌いだしたり。エピソードトークの多いラジオ番組が多い中で、唯一、自分で生み出したものから企画になることも多いメンバーであり、京本大我出演回は「京本大我のオールナイトニッポン」というミニコーナーを行うが、その内容も自分の好きなトマトについて語る、変な効果音を流すなど楽しんでいる様子が伝わり、思わず笑ってしまう。自由奔放なマイペースぶりに、周囲のスタッフが困っている様子、いつも冷静な田中樹が振り回されている様子が音のみで表現されているため、この組み合わせでしか起きることのない化学反応が起きている。

ジェシー×田中樹
ジェシー回は毎回田中樹がよく楽しそうに笑っている。もちろんほかのメンバーと仲が悪いわけでない。ジェシーは生粋のエンターティナーだ。田中樹が話題に困っている時も謎の音を出し、よくわからないギャグでつないでくれる。そんな姿にフフッと笑っている田中樹の姿をよく聞く。またそんなジェシーだからこそ、交友関係は広く、1回仕事で一緒になった方とでもさし飯するほどだ。交友関係の広さがうかがえる彼のエピソードトークもまた芸能界の世間の広さを知ることにもなり、とても面白い。

高地優吾×田中樹
高地優吾回は田中樹が安心して話すことができる。高地優吾は他のメンバーや芸能人と比較し、一般人の側面が強く出ている。電車を使って移動する、割引された食材を買う、高級ブランドものを身に着けている印象はない。そんな彼だからこそ、芸能界のエピソードトークだけでなく、バイク、レザークラフト、温泉など多趣味を生かしたトークが多い。また、ラジオ中に発した田中樹の何気ない一言から、誕生日にレザークラフトをプレゼントするなど細かいところまで覚えている高地優吾の優しさがにじみ出たトークは、聞くものに安らぎを与える。

森本慎太郎×田中樹
森本慎太郎回はエピソードトークのデパートだ。エピソードトークに彼ほど執念深く取り組んでいるパーソナリティーを見たことがない。毎回大量のエピソードトークを携え、ラジオに来ることから、いつからか森本慎太郎の近況トークというコーナーができた。彼らの近況には番号とタイトルがつけられ、タイトルそのままくらいの短いものから、聞いてくれよと溢れんばかりの声量とスピード感で長尺になるものまでさまざまである。中にはタイトルのみ聞いて、放送では話されていないものも多くある。そうしたトークもいつか聞いてみたいものだが、彼のラジオはどこか足りていない。本人ですら、あれっとなってしまうこともある。そんな話の節々から、愛されるキャラクター性を見出すことができる。

松村北斗×田中樹
松村北斗回はとにかく話が長い。彼のトークの特徴として、1つのエピソードを話す時にエピソードを誤解なく伝えたいという思いが強く表れた結果、付随する情報、その時の彼の感情を事細かく話すため、話が長くなってしまう。そのため、1回90分の放送尺で1エピソード+α(宣伝やオープニングトークなど)で終わってしまう時がある。そんな彼のトークをそうなんだね、へーっと相槌を打ちながら聞いている田中樹は松村北斗と同い年、同じ高校卒業と共通点も多いからこそリスナーを飽きさせることなく成し遂げられるのだと思う。トークの節々に感じることができる、彼の謙虚さと偏屈とまじめの共存した性格は彼にしか出せない味となり、トークで引き付けるワードセンスにつながっている。


彼らのラジオは毎週違うパーソナリティーが放送しているのではないかと思うほどの個性とキャラクターを武器にした放送が魅力だと感じる。そんな放送を支えているのが、毎週パーソナリティーを務める田中樹でもある。田中樹は先程まで読んでいただいた彼らを放送の軌道から外れないよう誘導しつつ、いじってもいいジャニーズラジオパーソナリティーを演じている所にもあるだろう。ジャニーズをいじるということは芸能界ではどこかでタブー視されている。そんな壁を早期のうちから壊し、深夜ラジオのスタイルを築き上げることで、敷居を低くし、ジャニーズヘイトのリスナーをも獲得できるよう努めている。どんな話題に対しても、言葉を選びながら、人を傷つけないトークをするのは難しい。しかし、彼の言葉選びからは学ぶべきことも多い。

長々とSixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャルについて語ってきたが、この文章にはない魅力を見つけるのは、あなた自身である。この文章を読んでくださったあなたはもうチームSixTONESの一員なのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?