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格闘技はPPV?地上波?

昨今話題となっているPPV。
これは格闘技だけに限らず、他のスポーツであったりアーティストのLIVEであったりにもある話ななのかもしれない。
そもそもPPV文化というのは、海外では主流であったりなかったり。コロナ禍によりエンターテイメントの在り方の変化によるモノなのか。日本では遅れているのか。そんなような事をツラツラと書いている。

日本格闘技にとってのPPV

外国人中心のヘビー級と魔裟斗が中心のミドル級が軸となっていた旧K1や、PRIDEやDREAMなどの総合格闘技。私は生まれていないか、生まれて間もない時かで格闘技の存在など知るはずも無い時であるが、一昔前の格闘技では地上波放送枠があるのは当たり前で、様々な局で放送されていたらしく、今の選手達からしたら羨ましい限りだろう。

そしてここ数年では、RIZINのみフジテレビで生中継の形を取れていた。ただ、大晦日や人気選手の試合に限ったモノで全ての大会ではないのが現状であったが。

そんな中、日本格闘技界でPPVという言葉が浸透してきた分かりやすくターニングポイントとなった出来事は、やはりTHE MATCH2022だろう。
RIZINにて地上波生中継で試合を何試合も行ってきた那須川天心。一方、地上波生中継が無いK1所属の武尊。天心は地上波の影響力を知っており、武尊は地上波生中継復活を一貫して願ってきた。そんな2人がやる日本格闘技史上最大最高の試合。そのように謳われた試合には、地上波生中継は当然のようにあるものだと日本中の共通認識であったはずだ。
しかし、突然のフジテレビからの中継消滅の通達。フジテレビと大会関係者の壮大なドッキリか何かか。そんな疑いも出るほどビックリ仰天ニュースだった訳だが、残念ながらこの判断と決定は覆ることは無かった。
そこで救世主的に現れたのがAbema PPV。大会完全生中継という謳い文句で物凄い数のPPVを売り上げる結果となった。

そして、先の超RIZIN。メイウェザーの試合において、パッキャオやマクレガーといったビッグネームと巨額の金が動いた試合には必ず存在するワード〝PPV〟。これが海外ではPPVは主流であるということの証拠だろう。
THE MATCH2022で格闘技の地上波放送がうやむやになっている上に、PPV人間のメイウェザーが出場となった超RIZIN。この大会に地上波放送がなかったのは必然で、正解だったように思う。

また、2022年においてPPV観戦が広まってきている要因として、海外の格闘技団体の大会中継やボクシング中継などがある。
海外格闘技では、まずONE Championship。今年3月26日に10年以上の因縁を経て青木真也vs秋山成勲が見られた訳だが、このカードが組まれたONE Xの大会構成は格闘技興行としても素晴らしく、PPVを用いたビジネスとしても素晴らしいモノとなっていた。1日通して3部構成で大会が創り上げられた訳だが、1,2部はAbemaTVで生中継、3部がPPV。1部2部通して日本人選手が多く見られる大会、そして1部のメインはフェザー級キックボクシングワールドグランプリ決勝、2部ではムエタイバンタム級タイトルマッチ。無料観戦可能部分だけでも豪華だったが、それを超える3部のラインナップ。格闘技ファンであれば、そうでなくとも1部2部を見た興奮が冷めず、PPV購入のボタンに手が伸びていた方はいらっしゃったと思う。

そして、Bellator。RIZINがBellatorと提携していることや堀口恭二がBellatorの契約選手となったことでBellatorを観たいという方は増えたはずだ。
また日本ボクシング界でのPPVの認知のポイントとなったのは、やはりコロナの影響を受けて決まった大会〝LEGEND〟だろう。そして今年に限った話をすると、2022年は4月にゴロフキンvs村田諒太、6月に井上尚弥vsドネアと世界タイトル統一戦が続いているが、どちらも地上波での観戦は無かったのだ。11月に予定されている京口紘人vs寺地拳四朗の統一選もおそらく地上波は無いだろう。村田や井上の試合は数年前であるなら地上波放送が当たり前にあっただけにガッカリの方は多くいるはずだが、今後ボクシングもPPVや独占放送となっていくだろう。

一般層に格闘技PPVはどう映る?

日本において、格闘技はサッカーや野球と違い、メジャーとは言えないのが現状。格闘技を知ってもらうには、メジャーなものとなるには見てもらう以外にないはずだ。地上波放送のない今の時代「テレビを付けたらたまたまやっていた」という入り口の1つがないのは痛いところだ。

格闘技生中継が完全に無くなってしまうキッカケとなったTHE MATCH2022のフジテレビ突然の放送撤退。
THE MATCH2022ほどのビッグマッチの生中継が直前となって白紙になるのには、やはり格闘技のイメージの悪さゆえの事だろう。我々のような格闘技が好きな人間、そしてやっている人間にとっては「格闘技はれっきとしたスポーツ」という認識がある。だが一方で、「ケンカの延長」「傷つけ合う姿にスポーツの要素があるのか」という意見を持つ方もいて当然で、それは良くも悪くも格闘技がもつ側面の1つであると私は考えている。ただ、この側面の良い方というのは格闘技を見てもらわない事には感じてもらえない部分でもあり、見ない方にとっては悪い方しか分からないという格闘技のややこしい部分だ。

地上波生中継が無くなったことで、格闘技を見る手段としてPPV購入が主流になっていくと思われるが、ここで、一般層の正直な意見を考えていきたい。
「お金を出してまで見る必要がない」これに尽きるだろう。
また、天心武尊ほど騒がれ、ミーハーまでもが見たがる試合に関しては、「天心武尊の試合だけ見れれば十分で他の試合は見ない」。あまり大きな声では言いづらいが、こういう人間の一部には違法アップロード動画などを探して見た人間も少なからずいるだろう。普段全く格闘技に興味はないが天心武尊の試合は見たいという方は私の友人の中にもいて、その方はしっかりPPVを購入しており、流石私の友人だと友人を誇らしく思ったのだが、その方にとっても「5500円は高い」とのことだった。

様々な格闘技PPVを買ってきたが、どのPPV料金も特に妥当な金額だと私は考えていて、多くの格闘技ファンもそう考えていると思う。
そんな中でTHE MATCH2022に関していうと、超RIZINでの記事にも書かせていただいたが私は安いとまで感じてしまった金額設定だ。

格闘技への興味の入り口としては、現在の日本においてPPVは狭き門で、やはり地上波放送の影響力の大きさが未だに日本では重要だというのが私の考えである。

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