武道館、ヲタクおじさんの小さな物語。 featuring 岸みゆ
セトリやプロのライターさんによる真っ当なレポートは音楽ナタリーさんから。これさえ読んでおけば、ここから先のクレイジーなやつは読まなくてもいいんですよ。みなさんお忙しいでしょうし。
･･･え、読むの？ 忠告はしましたよ。ワシゃもう知らんけんね。
俺たちの「夢の国」は九段下にあった
スタンドフラワーや特大パネル、幟、まるで縁日のように賑やかで楽しい。
おっさんよりも若い女性ファンの姿が目立つ。「女の子だってかわいい女の子が好き」も、アイドルちゃんが異性同性を問わずファンを力づける存在であることも、完全に当たり前となった。女性は総じてパワフルだから、負けないように踏ん張ろうなご同輩。
ファミマで発券したおっとっとチケットは、南東スタンド2階W列。お昼頃から「ギックリ寸前」レベルで腰が痛くて、階段の上り下りはかなりしんどかったけど、
シーブック・アノー気分で階段を上がっ･･･ても上がってもなかなかたどり着かない。そりゃそうだ、後ろから数えて2列目だもの。
実をいうと、ファンミーティングの直前くらいまで迷っていた。
「現体制終了」
その五文字が決断をためらわせた。どういうわけか、卒業や解散といった区切りが発表されてしまうとそこで「終わった」気分になってしまって、
「単なるセレモニーになるかもしれないライブに行ってもなぁ･･･」
そんな風に考えてしまうクセがある。アイドルには「希望」や「未来」であってほしいという身勝手な願望がある。
ブランクを除いても40年くらいある現場歴の中でその手の公演に入ったのは、
おニャン子クラブ（解散）
うしろ髪ひかれ隊（実質ラスト）
CoCo（瀬能あづさ卒業）
同（解散）
℃-ute（解散）
夢みるアドレセンス（船戸ゆきの卒業）
くらい･･･ってけっこう多かったわ（笑）。オタクとして強い影響を受けた制服向上委員会やメロン記念日の最後に立ち会ってない印象が強かったね。
武道館対応型スーパーバンビちゃんになるべく精進を続ける5人が好きすぎて、
「もしもここから一人でも欠けるなら、一度だけ武道館で見たからといってそれがいったい何なのか」
そういう迷いがあった。
そんな気持ちを抱えたまま、夜更かしさんな岸みゆの、たまに深イイ話をするTikTokライブ配信を見ていて、ピンと来るものがあった。
岸みゆは、5人は全力で武道館を楽しみ尽くし、観客をそこに巻き込もうとしている。
その上で新メンバーを迎え、武道館対応型スーパーバンビちゃんからパーフェクトバンビちゃんUNLEASHEDに進化しようとしている。5人の物語は、まだ終わらない。
細胞の一個一個がブチ上がるくらいに楽しむであろう5人が見たい見たい見たい見たい見たすぎる。
これを見ないで済ませたら、人生が終わる時絶対に悔やむ。
平日の夜、行きたくても行けない人がいる。俺はチケットと交通費と、あとは余韻に浸りながら新宿御苑あたりまでフラフラ歩くと終電を逃すから（歩きすぎ）念のための泊まる場所、それだけ用意すればいいんじゃないか。
行かない理由？ ないな。
配信が終わってから急いでチケットを予約して、
「しまったああああああああああファンミで手売りあるんだったああああああああああ」
そこだけはちょっと後悔している（笑）。
OVERTURE
裏側密着映像、ステージに向かう階段を一歩一歩上がる5人の姿が最高に好き。
新参なもんで、角田信朗がバンビちゃんと繋がってる（語弊）とは知らなんだ。佐竹雅昭が現役だった時代のK-1をテレビで見ていた世代にはこの人もヒーローの一人であり、『ケロロ軍曹』一期のOPを歌っていたから歌手としてもバンビちゃんの大先輩なのだ。
水湊みお。呆然とするほどの美しさと独特の親しみやすさ、甘えたくなるお姉さんっぽさと妹キャラ。魅惑の二面性。
小鳥遊るい。THE美少女／美女というビジュアル、言葉の端々に感じる頭（の回転）のよさ、芯の強さ。頼れる学級委員長。
近藤沙瑛子。この人の歌声が好き。はにかむような自己紹介の顔、メイキング映像の屈託ない笑顔も素敵。
宇咲。グラビアの印象でクールビューティーだと･･･。
噂のお怪我は、ございましたな。
岸みゆ。よし、いるな。しっかり見えてるぞ145cm。今日もちゃまちぃな。
最高に最優秀、最善で最強で最愛。
恐れるものは何もない。この5人と俺たちならば、屋根の上の玉ねぎもみじん切りにして、炒めて粗熱取ったら挽き肉その他と混ぜてハンバーグにできちゃえるはずだ。
そしてーー
ワクワクとドキドキの満ちた空間に岸みゆの澄んだ声が響き、天下統一の宴が幕を開けた。
オタクの異常な愛情 または私は如何にして引きこもりを止めて現場に戻るようになったか
思うところあって、℃-ute解散と運命を共にする気持ちで現場を退いて6年半。この歳までさんざん使ったお脳みそに今さら初期不良は見つかるわ、睡眠3時間で一ヶ月働いたら自律神経がぶっ壊れて働けなくなるわ（今も治ってない）で、通院以外では電車に乗ることもなく、楽しみはSNSと競馬とプロ野球観戦（テレビ&ネット）という廃人っぷりよ。
#ババババンビちゃんを知ったきっかけはもう覚えてないけれど、豹柄ビキニの週刊プレイボーイとか杉戸町商工会のパンフレットとかが部屋に転がっているので、7人時代にはもう知ってた模様。
「赤色担当！ ポニーテールとデカリボンの覇者！ 身長は145cm、岸みゆこと岸みゆです！ みんな～推してみゆ～？」
岸みゆー！
チャームポイントやフックが伝わってくる自己紹介。出戻りの新参にはありがたかったし、何よりこのオッサンはポニ子が大好きなので、岸みゆが気にならないわけがないじゃないですか。
2月に意味わかんないくらい当たったこともあって、6年半ぶりに現場の空気を吸おうと考えた。
・SNSやライブ配信で絡ませてもらった推しの卒業公演＆特典会
・特典会終了予定が25時30分（！）というので宿泊先とタクシー代の確保
・中古のコンデジ買ってJSアイドルさんのライブと秒撮
（あ、気にしないでください）
そしてファンミからの武道館、および特典会というKSDDよ。気分としてはあくまでもスポット参戦なので、お祭り気分でドーンといってしまいました。大浴場のある某ビジネスホテルにもすっかり馴染んだよ(笑)。
いざ行け！アイドル軍団
信じられるかこのパワー
史上最強アイドル軍団
みおちとるいと岸みゆと
沙瑛子と宇咲とが歌うんだ
ばばばばんびずむ～!!「レレレレレベルア～ップ♪」
恋のキャンディ「高速ダッシュ♪」
ー私心伝心ー「蚕食った解雇くった♪」
ひとつひとつの希望の星が
スクラム組んで 歌って踊る
スーパー スーパー
スーパーアイドル軍団
スーパーアイドル軍団
5人それぞれキャラが立っていて、冠番組を持つほどバラエティ対応力もあるのだから、もっと面白トークを繰り出す場面があるかと想像していた。
歌う歌う。踊る踊る。トロッコトロッコ。タオルタオル。これがうちらの本分やけん･･･とばかりに、馬鹿騒ぎの基本線は守りつつ誠実に、真心を込めて歌う。こういう人たちは信用できるのよ。
衣装チェンジの時間も、096k熊本歌劇団の殺陣で飽きさせない。三船敏郎、若山富三郎、近衛十四郎、東映剣会、大野剣友会、JFA、JAC（JAE）、･･･日本屈指の剣劇アクションを映像で楽しんできたおっさんの目から見ても素晴らしかった。
『DE・A・RU・KA!!!』から、ボルテージは更に上昇していく。
『恋するうさぎちゃん最強伝説』や『BPM180』など、基本的にちゃまちゃまキュルルンな岸みゆが、獣のごとく吠え、荒ぶっていく。これはもう究極の力を持つ者、岸みゆアルティメットフォーム・レッドデカリボンなのよ。ただただかっこいい。惚れる。
武道館という場所にふさわしく、臍下丹田に気を溜めて声を出し、大地の力をその身に纏って舞う5人。
『星形』。ステージと客席の情熱が絡み合い、螺旋を描いて上昇していく。
そして。
その瞬間は訪れた。
ハイパー・キシミユ
『青春ギルティ』。ハマったきっかけが「岸みゆのモノマネ＠みおち」なのは内緒だ(笑)。
バンビちゃんたちの青春にも、ギルティやデリート許可を言い渡したいことはあったと思う。アイドル部に限らずゼロイチファミリアは苦労人揃いだから。
それでも諦めなかったから今がある。
ワシは自分が「諦めが悪いくせに努力のやり方を知らないポンコツ」なこともあって、先が見えなくても諦めず努力を重ねられる人間が好き。
夢が叶わないこともある。
努力が報われないこともある。
だけど。
叶う夢も、報われる努力も必ずある。
だから、人間は前を向き、一歩を踏み出すことができる。
アイドルとかアニメとか特撮とか競馬とか多重オタクをやってきて、ワシはそういうことを教わったのよ。
いいことも悪いこともあった半生、山あり谷あり谷多めの4年間。支えにも重荷にもなった末、やっとつかんだ夢。みんなひとまずここに置いていく。管理は頼むよ環境省。
岸みゆの裂帛の気合が、武道の聖地の空気を震わせた。
刹那。
叫んだままの岸みゆの姿をした何かがステージから飛び出した。それを俺は見た。
これがそうか。
「魂削ってアイドルをやっている」とまでいわれる岸みゆの、これが魂か。
削った魂はどこへ往くのかと思っていたら･･･何のことはない、バババに飛ばして、送って、贈っていたんだ。
日本を代表するロックスターも国民的アイドルも武道館で見たけれど、こんな光景も、こんなに優しい演者も初めてだよ。
飛んできた岸みゆの魂のいくつかは壁を突き抜けて外へ向かっていった。いつか岸みゆの「愛」が世界を満たす日が来るのかもしれない。野外で見たいなぁ、ロッキンとか出ようぜ。
同時に。
残ったうちの一つが自分を包み、中に入り、同化するのも確かに感じた。
観念的な意味で、岸みゆとバババは一つになったんだなきっと。
同化じゃなくてどうかしてる？ 知ってるよ。
やさしさは勇気、強さは愛
本編最後の挨拶。詳しくはWEBザテレビジョンさんで確認しておくれ。
あなたの、その言葉が聞きたくて、今日ここに来たのかもしれない。そしてあなたはそれを言ってくれた。
隙あらばオタクの心を救いにくる、そんなアイドルが時々現れる。バンビちゃんもその系譜に連なるんだろうな。
https://www.uta-net.com/song/332795/
舞台を下りた人、消息不明の人、命さえ失った人、･･･幾多のアイドルちゃんの助けにも癒やしにも、身代わりにもなれず、ただ大地を叩くことしかできなかった俺の人生も、若干報われた気がする。
本当にありがとう岸みゆ。
このコほっとけないから推さないと。そう思っていた。そういうのに弱いのだ。
「ぶー！ アナタの方がよっぽどほっとけないくせにー」
そう言われた気がする。参りました。
今日来てよかった。生きててよかった。
夢の中にいるような気分でふと気がつけば、
岸みゆの。
るいちゃんの。
みおちの。
宇咲の。
さえちゃんの。
そして、客席のメルダとあかねんの。
七つの真心が『無重力ランナー』と一緒に会場の空気を満たしていた。
幸せって、こういうのをいうんだろうなきっと。
この現場は俺に効く
ステージライトに五色が映える。
こんなにも輝く、こんなにも美しい人の姿を見たのは何度目で何年ぶりだろう。アイドルという世界に誇るメイド・イン・ジャパンの文化には、時々こういう人たちが現れる。
世界よ、遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ。これぞオタクの呼ぶなる日の本の#ババババンビよ。天下統一を成し遂げたことだし、次は世界征服だな。
アンコールを迎えても、バンビちゃんたちの輝きに一点の曇りもない。幸せで幸せでたまらないという顔をしている。現体制最後の時がすぐそこに迫っているというのに、ブーケトスをする新婦だってこんなに輝いてないぞって顔だ。結婚式の時のうちのヨメも･･･あ、結婚したことなかったわ(´･ω･`)
最後まで観客の心をつかんで離さない意思に満ちた3曲を歌い終え、次の一歩が示された。
パーフェクトバンビちゃんUNLEASHEDに進化するために欠かせない、3人の新メンバー。
挨拶だけなのに、5人に劣らぬ個性と魅力が伝わってくる。
だ・れ・を・推・そ・う・か・な･･･やっぱり岸みゆだよなぁ（ﾁﾗｯﾁﾗｯ）。
頼もしい。
だけど、一抹の寂しさも感じる。
これで#ババババンビは完全に「メンバーの増減を繰り返しながら長く続いていく」グループになったということだろう。つまり5年、10年と続いていけばいずれ5人全員が「元」になる。ぴえん。
だけど、しかたのないことでもある。メンバーが増えすぎて『ばばばばんびずむ～!!』だけで10分とか15分なんてことになったら（さだまさし!?）対バンのセトリ組むのに苦労するし、2曲くらいでお姉さんチームが「ごめんちょっと休憩」となってスタッフが椅子・水・酸素缶の三点セット持って走ってくるようだとライブのテンポが悪くなる。でも30年後くらいに「#BBAバンビ」のライブがあったら、それはそれで面白そうだなぁ。生きてたら行くわ。
きっとバンビちゃんたちは、これからも色々な夢を見て、それが叶ったり破れたりを繰り返しながら「絶対諦めない」「全部じゃなくても夢は必ず実現させる」をチームカラーにして、その道のりの中で多くの人々と幸せを分かち合っていくのだろう。
歩みを止めることはない。後ろに誰もいないことを確認して、記念写真に映り込むべくタオルを頭上に掲げながら、5人の姿にそれを実感した。
翌朝、腰の痛みはすっかり治まっていた。
#ババババンビの現場は健康にいい。これは拡散しなければと思いながら、いそいそと特典会へ向かうのであった。
アイドルって、やっぱりイイよな。
ひとつ質問があります
えーと、俺が見た#ババババンビ武道館ライブはこんな感じだったんだけど･･･合ってる？
そして一ヶ月の月日が流れ去り
すでに新体制のバンビちゃんは走りだしている。
みおちがお休み中なのは寂しいけれど、こういう時はメンバーの誰かがグーンと伸びるもの。個人的には、早くもよいお姉さんになりつつある宇咲ちゃんに期待してる。
新メンちゃんも先輩に負けず劣らずの個性派揃い。TikTokやSHOWROOMの配信を見るとそれぞれに個性的な魅力を放っていて、岸みゆ以外の人類の中では（忖度）みんな好き。
フェニックスみおち（ああっやめて石を投げないで）を待ちながら、7人の大暴れをいつまでも眺めてたい。
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