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「「後伸びする子」に育つ親の習慣」

「「後伸びする子」に育つ親の習慣」(柳沢幸雄 青春出版社)

開成中学校・高等学校校長や北鎌倉女子学園学園長を務めた著者による、自律的な子どもを育てるための本。親が口出しするより、子の好きにさせるべきという考え方が伝わってくる本である。やや自由にさせ過ぎではないかという気もするが、子どもを伸ばすための大切な考え方だと思う。

 なかには、お子さんの好きなことがわからないという親御さんがいるかもしれません。でも、焦らなくて大丈夫。お子さんが自分からやる気になるのを待つ、つまり「機が熟すのを待つ」のです。心の内からわき上がる"内発的な思い"は本物です。自分の欲求から何らかの行動を起こすことが大事であり、その時期はお子さんによって異なります。
 もし機が熟すのが遅すぎてお子さんが後悔したとしても、後悔する権利が子どもにはあります。本書で詳しくお話ししますが、親は子どもが失敗しないようにお膳立てをしすぎないことが大切です。子どもは失敗をすることで学び、成長していきます。
 これからの時代に強いのは、困難の中でも生き抜く力を持っている人です。会社がなくなっても、「自分はこれができる」「自分にはこんな武器がある」と自信に満ちて言えるかどうかが大切になります。(7ページ)

 これからの時代、生き残るうえで必要なのは「私は"これ"ができます」という得意分野をもつこと。親の役目とは、子どもがその得意分野という"武器"を見つけるお手伝いをすることなのです。そのためには「好き」を極めることが重要になってきます。(22ページ)

 こうあってほしいという親の願いと、子どもの行動が一致したとき、親はほめます。だからこそ、親の価値観や願いが伝わるともいえます。ただし、注意が必要なのは、結果だけをほめないこと。「試験に合格した」「100点をとった」といった結果に対してだけほめてしまうと、試験に受からない自分はダメ、90点の自分では親に認められない、と思ってしまいます。結果ではなく努力した過程や、その行動そのものをほめるようにすれば、子どもの自信につながります。(28-29ページ)

 でも、親が先回りをして転ばぬ先の杖になろうとするのは、長い目で見ると子どもにとって不幸なことです。(47ページ)

 親御さんの自己肯定感が低いからといって、けっして自分を責めないでください。
 「子どものここができていない」とつい目につく部分は、実は親自身が自分に足りないと思っている部分でもあるのです。親はその"ダメな部分"を強調されて見せられているような気になり、余計に感情的になってしまうのでしょう。(50-51ページ)

 さらに言えば、親が何を言っても子どもが聞く耳をもたなくなることこそ「子育て大成功!」の証しです。30歳、40歳になっても「お母さん、お母さん」とくっつかれたら困ってしまうでしょう。(62ページ)

 お子さんが中学生になったら、自分が夢中になれるものや、やってみたかったことに挑戦するなど、自分の時間を大切にしましょう。その姿を見せることが、きっとお子さんの自立にもつながることでしょう。(70ページ)

 子どもに限らず、大人にも使えるオールマイティーなほめ言葉があります。
 それが「さすがだね」。
 ほんの小さな成功でも、「ああ、さすがだね」「さすが○○さん!」「さっすが~!」
 私の実体験からそう言うのですが、これが一番効きます。どんな状況でも、子どもにも部下にも使えます。(92ページ)

 子どもには、勉強しないと将来困るとか、他の人に置いていかれるなどと脅すよりも、知らなかったことを知る楽しさのほうを伝えてあげましょう。子どもが学んでいくなかで、「新しい知識が身につくのが楽しい」「知らないことがわかって面白い」という気持ちが芽生えれば、必ず勉強が好きになっていくでしょう。(123ページ)

 あえて言いますが、ゲームはとことんやらせてみてください。そのうえで「それだけゲームが面白いなら、今度は自分でつくってみなさい」と伝えるのです。つまり、それだけ消費できる能力があるということは、ゲームをつくる資質があるということです。そこから、ゲームクリエイターという生み出す側になる可能性もあります。(131ページ)

 もしそこで勉強だけを評価の基準にしていたら、その子はつぶれてしまいます。ですから、あらゆる場面で勉強ができるのは素晴らしいことだ。でも、それはこの世の中にたくさんある素晴らしいことのひとつにすぎないと伝えていました。ぜひご家庭でも同じように、親御さんがことあるごとに伝えてあげてください。(137ページ)

 自分が夢中になれること、集中できることに価値を見い出せれば、人と比べて悩んだり落ち込んだりする必要はありません。それはどんな小さなことでもいい。文化祭で実行委員をやることでも、応援団でも、誰より鉄道に詳しい、手品ができる、マンガのことなら何でもわかるなど、どんなことでもいい。
 「自分はこの分野では活躍できる」といった自身や確信があれば、その後の長い人生を下支えしてくれるのです。(140ページ)

 これから10年後、20年後を生きていく子どもたちに何が必要かといえば、それはたったひとつ、「私はこれができます」というものをつくること。それを見つける手助けをするのが親の仕事です。(147ページ)

 なりたいものが見つけられなければ、まずは幅広く何でも試してみるのです。「好きなことや得意なこと」というと、人より抜きん出ているや、他の人ができないようなことだと思う人もいますが、そんなことはありません。
 自分のなかで、他のことと比べて「苦ではないこと」でいいのです。たとえば話すことは苦手でも、「人の話を聞くこと」は苦ではなくて、よく人から「話を聞いてもらえてよかった」と言われることが多いという経験があるとしましょう。
(中略)
 日本人は自分のことを「自分なんて大したことはない」「特別な能力も才能もない」と過小評価しがちです。しかし、自分には素晴らしい能力があると気づき、自信をもつことが大切です。その自信をつけるサポートができるのは、第一に親御さんなのです。(189-190ページ)

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