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「英語の極意」

「英語の極意」(杉田敏 集英社インターナショナル)

NHKラジオ「実践ビジネス英語」の元講師の著者による、AI時代の英語学習方法の本。語彙や文法でなく、英語圏の「文化」を学べというメッセージは、AIに負けない英語力をつける上で(難しいが)大切なことだと思う。英語というよりも、扱っているキャッチフレーズや決まり文句の内容の奥深さに感銘を受けた。

 英語文化圏にいる人たちが共通に持つ「文化」を学ぶことにより、英語でのコミュニケーションが格段と効果的になることが実感できると思います。そうした知識を披露することにより、「私は英語が話せるだけでなく、あなたの文化を理解しています」ということを示すことができるのです。We are on the same page.ということを知ってもらえます。
 ただ、そうした知識は非常に奥深く、本書で紹介しているのは英語文化圏という氷山のほんのごく一部です。英語の極意を極めたければ、是非、興味を持った分野についてより深く学ばれることをお勧めします。
(25ページ)

Run, Hide, Fight
 アメリカの高校の教室などに掲げてある標語です。校舎に侵入してきた銃撃犯に遭遇した場合にするべきことで、まず「走って逃げろ」、それができない場合には「隠れろ」、そして最後の手段は身近にあるものを持って侵入者と「戦え」、ということです。
 ただ、これまでの襲撃事件で撃たれて死亡した犠牲者の多くはどこかに隠れていて見つかったもので、Hideはこの標語から外すべきだと出張する専門家もいます。隠れるよりも、できるだけ早く学校から脱出を図ることが重要とされています。(58ページ)

Men are like busses; if you miss one, another will come along.
「男はバスみたいなもの。つかまえ損なっても、すぐに次が来る」
 失恋した女性などに言う定番の慰めのことばです。(68ページ)

Life is what you make it.
「人生はあなたが作るもの」
 人生はあなた次第。誰かがあなたのために人生を切り開いてくれるのを待っていたのではダメだ。
 最後のitをカットすれば、Life is what you make.となり意味が変わります。makeには「稼ぐ」という意味があるので、「人生とはあなたの稼ぎ高」になります。つまり、どれだけ収入を得ているかによって人間の価値も決まる、というもの。(77-78ページ)

Don't expect life to be fair.
「人生が公平であると期待するな」はケネディ家の家訓の1つだと言われます。この世の中は理不尽なことだらけ、人生に公平を期待してはいけない、ということ。

When the going gets tough, the tough get going.
「状況が厳しくなると、タフな人々が動き出す」ということ。ジョン・F・ケネディ大統領(John F. Kennedy, 1917-63)の父親のジョセフ・P・ケネディ(Joseph P. Kennedy, 1888-1969)が好んで使い、ケネディ家のモットーの1つにしていたとも言われています。困難な状況の下では、決断力や精神力のある者だけが行動を起こし、事態を切り抜けることができる、といった意味。元気を出して困難を乗り越えよう、と人を元気づける時にも使います。(80-81ページ)

 アメリカがん協会(American Cancer Society)のウェブサイトにはDon't Just Sit Thereというページがあり、Stay active all day to reduce cancer riskと書かれています。
 毎日6時間以上座っている人は、健康的な体重を保ち喫煙をしていなくても、癌およびそのほかの主要な病気で死ぬ可能性が高くなると、このページは警告を発しています。(Did you know that sitting for 6 or more hours daily can elevate your chances of dying from cancer and other major diseases --- even if you maintain a healthy weight and don't smoke?)
(85ページ)

A great man shows his greatness by the way he treats little men.
「自分より下の立場の人への接し方に、人の偉大さは現れる」
 イギリスの歴史家でエッセイストのトーマス・カーライル(Thomas Carlyle, 1795-1881)のことばです。
(92-93ページ)

At 50, everyone has the face he deserves.
「50歳になると、誰でもその人にふさわしい顔になる」
 イギリスの作家でジャーナリストのジョージ・オーウェル(George Orwell, 1903-50)のことばです。
(中略)
 人は男も女も、ある程度の年齢になると、品性や人格が顔に出てくるのでしょう。(94ページ)

age before beauty
「女性よりまずお年寄りを先に」
 「お先にどうぞ」などと言う際に、レディーファースト(ladies first)ではなく、年長者を先に行かせる時に言う決まり文句です。(98ページ)

Live well. It is the greatest revenge.
 聖書ではありませんが、ユダヤ教の教えを集大成した本「タルムード」(The Talmud)に収められていることばで、「立派な生き方をせよ。それが最大の復習だ」ということです。
 「会社を辞めても、立派に生きればいい。それが自分を追い出した人たちを見返してやることになる」といった意味に解釈されます。(143ページ)

It's bad luck to open an umbrella indoors.
「屋内で傘を広げると不運を招く」
 もともと傘は、雨を防ぐためではなく、日差しを遮るための物だったそうなので、日差しのない室内で傘を開くと、太陽の神を侮辱することになる、と言われました。室内で太陽の光を遮断すると、病気や死の災難から守ってもらえなくなるとも言われます。
 日本では雨の日に、オフィスの片隅などで傘を広げて干す習慣もありますが、小さいころから「室内で傘を広げてはいけない」と教わってきた欧米人は、その様子を見るとどうしても不吉な気分になるそうです。(213-214ページ)

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