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「THE HOPE 50歳はどこへ消えた」

「THE HOPE 50歳はどこへ消えた」(河合薫 プレジデント社)

健康社会学者、気象予報士の著者による、50代向けの「半径3メートルの幸福論」の本。エッセイもあり、心理学や社会学の話もあり、インタビューもあり、非常に盛りだくさんの内容なのだが、いろいろありすぎて逆に頭に入ってこなかった。自分の心に残った部分を記憶に留めるような読み方しかできなかった。

 私が考える「ゆるいつながり」は、近年、社会学やネットワーク論の分野で話題の「弱いつながり weak ties」とは似て非なるものである。言葉は似ているが100%別物だ。
 「弱いつながり」は、新しい視点や気づきを得られるネットワークで、その目的は生産性であり、機会の拡大である。一方、私の言うところの「ゆるいつながり」に目的はない。効率や利益はいっさい関係ない、あえて言えば、むしろ「無駄なつながり」である。(66ページ)

 しかし、「元気になる力」をストレスの対処に役立たせるには、遭遇した困難やストレスを正確に把握し、うまく乗り越えるために有効な要因を見極める力が必要だとアントノフスキーは考えた。そして、その力を「SOC (Sense of Coherence = 首尾一貫感覚)」と命名し、健康生成論の中核概念に据えたのである。(92ページ)

 そこで神戸大学の研究チームが、「所得」「学歴」「進学や就職などにおける選択の自由を示す自己決定」「健康」「人間関係」の5項目と、幸福感との関係性を統計的に分析したところ、次のような「自己決定」の重要性が示唆された。
・自己決定は健康や人間関係に次いで幸福感に影響を与えていた
・自己決定は所得と比較すると、約1.4倍強い影響があった
・学歴は統計的に有意な結果が出なかった(169ページ)

 ところが、75年にわたる調査が明かしたのは、「私たちを幸せにするのは人間関係に尽きる」という、誰もが予想もしていなかったシンプルな方程式だった。遺伝でもなければ出身家庭でもない、お金でもなければ社会的地位でもない。兎にも角にも「自分の「生活世界」の人々との関係性」が、幸せな人生の鍵を握っていたのだ。(238ページ)

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