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「80歳の壁」

「80歳の壁」(和田秀樹 幻冬舎新書)

精神科医の著者による、80代に向けての本。一言でまとめると「80歳になったら、我慢しないでしたいことをする」ことを勧めている。読んでいて気が楽になる本だった。字も大きくて読みやすい。最後の50音カルタも面白かった。

 ここから導かれる選択は何か?
 それは、80歳を過ぎたら我慢をしない、という生き方です。
 「ガンにならないために」と食べたいものを我慢したり、好きなお酒やタバコを控えたりする傾向がありますが、幸齢者は、すでにガンを持っていることが多い。
 だったら、ガンにならないための我慢は意味がなくなります。好きなものを食べたり飲んだりしながら生きるほうが、むしろストレスが少なくていい、楽しく生きられるのではないか、と思うのです。
 実際に、我慢を強いられてのストレスフルな生活より、好きなことをして気楽に生きる生活のほうが、免疫力が高まることがわかっています。これがガンの進行を遅くすることも知られています。(26-27ページ)
 
 私が80歳を迎えるような幸齢者にお勧めしたいのは、闘病ではなく「共病」という考え方です。病気と闘うのではなく、病気を受け入れ、共に生きることです。(46ページ)

 医師の数がある程度いる地域に住んでいる方なら、医療難民になる前に、ドクターショッピングをして、自分の考え方を受け入れてくれるかかりつけ医を探すしかないと思っています。つまり「患者が医師を選ぶ」という選択です。
 どんな晩年を望むかによって、選ぶ医師や病院も当然違ってきます。見て、話して、安心できる医師を「自ら求める」という発想です。(50-51ページ)

 体の声を素直に聞く---。80歳を過ぎた幸齢者には、これが一番の健康法です。
 人間の体は、じつによくできています。それを信じればいいのです。(96ページ)

 差別とは、特定の人間に対して「○○だ」と決めつけることを言います。
 75歳の高齢者に認知機能検査を課すということは、「高齢の人は認知機能が衰えているから運転は危ない」という決めつけであり、完全な差別と言えるのです。
 もしも認知機能検査を受けさせたいのなら、全年齢のすべてのドライバーに受けさせるべきです。なぜなら、事故を起こすのは高齢者だけではないからです。(120ページ)

 生きがいは、あったほうがいいのでしょうか?
 私は、あってもなくても、どちらでもいいと思います。
 なぜなら、生きがいは主観的に感じるもので、無理やりつくるものではないからです。「生きがいをつくらなきゃ」と焦っても見つかるものではありませんし、焦ればつらくなります。
 ですから「生きがいは見つかったらラッキー」くらいに、気楽に考えるのがよいと思います。数打てば当たる的なものだと思うのです。(127ページ)

 過去の悪い感情に囚われている人は、「忘れよう」という思いが強いため、かえってそこに意識が向き、どんどんつらくなってしまいます。
 そんなときの対処としては、忘れようとするのではなく「ほかのことに目を向ける」というのが正しい方法です。つまり、記憶を消そうとするのではなく、新しいことを上書きするのです。
 目の前の楽しいことに意識を向ければ、自然に嫌なことは忘れていきます。(133ページ)

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