見出し画像

「超難関中学のおもしろすぎる入試問題」

https://amzn.to/48VLQHs

「超難関中学のおもしろすぎる入試問題」(松本亘正 平凡社新書)

中学受験専門塾を設立した著者による、タイトル通りの面白い中学入試問題を集めた本。話題性のある問題だけを取り上げた感じだが、大人にとってもいい頭の体操になる本である。

 本当に優秀な子たちは対策が不十分であっても関東、関西両方のトップ校に合格するのですが、多くの場合、関東の生徒は関東の有名校に進学し、関西の生徒は関西の有名校に進学するので、行かない学校には入学手続きを行いません。すると、辞退者が大量に出て欠員が生じるので学校としては補欠合格を出すことになります。
 それが何十名にも上るということが開成中でも起こっています。
 入学意思がまったくない子たちの受験が多いことについて、開成の先生も苦々しく思っているのかもしれません。そこで東京問題と呼ばれる、明らかに東京の生徒であれば常識であるような問題が出されているのではないかと塾業界では噂されていました。とはいえ、社会の70点満点のうちの数点ですから合否に大きな影響を与えることはありません。ただ、入学する意志もないのに関西からツアーで受験する子たちが大挙してやってくることへの不満を表明した問題ではないかというのです。(18-19ページ)

 ここまで灘中の言葉に関する入試問題を見てきました。
 世の中の変化によって一般的に使われるようになってきた外来語、そして古風だったり、日常生活において絶滅危惧種のようになってきた日本語など幅広い言葉を求められることが分かります。
 いったい、どうすれば語彙力を身につけられるのでしょうか。私が「合格する親子のすごい勉強」(かんき出版)の出版記念セミナーなどで、よく語彙力を身につけるための方法として紹介するのは、祖父母など年配の方と積極的に話すということです。特に祖父母は孫に対して合わせることなく、遠慮なく自分の言葉で話します。これがいいのです。日常生活ではなかなか使うことがないような言葉に触れて、何となくでも意味を理解すればそれが語彙力につながっていきます。(64ページ)

 図1のように、夫婦茶碗とは大きさの違う茶碗をひと組にしたものです。しかし最近では、このような茶碗を好まない人も増えているようです。それはなぜでしょうか。理由を答えなさい。(麻布中の入試問題)(88ページ)

 第二次世界大戦中にも、いくどか地震が起きています。日本の敗色が濃厚になるころ、東海地方に地震が発生し、大きな被害がでました。しかし、翌日の新聞では「東海地方で地震があったが、その被害はわずかである」という、実態とはかけはなれた報道がなされ、救援の手はほとんどさしのべられませんでした。政府による情報統制が行われ、そのためまぼろしの地震とさえよばれるようになりました。
 なぜ当時の政府は、この地震について情報統制を行ったのでしょうか。考えられる理由を書きなさい。(麻布中の入試問題)(91-92ページ)

 ランドセルが普及した理由を安全性の面から解答用紙のわく内で答えなさい。(渋谷教育学園幕張(渋幕)の入試問題)(97ページ)

 フランス料理が出されるときの決められた順序で正しいものを選びなさい。
1 前菜 → 肉料理 → スープ → 魚料理 → デザート
2 前菜 → スープ → 魚料理 → 肉料理 → デザート
3 スープ → 前菜 → 肉料理 → 魚料理 → デザート (慶應中等部の入試問題)(126ページ)

 現在の新聞の紙面の約4割は広告です。新聞社の収入は、読者の購読料だけでは不十分なので、広告料にもたよっているのです。「このことが新聞記事の内容に影響を与える可能性があります。」(括弧内傍線) 傍線部について、新聞社が広告料にたよることが、なぜ新聞記事の内容に影響を与える可能性があるのでしょうか、説明しなさい。(麻布中の入試問題)(227-228ページ)

 皆さんが成人になっている2030年代には、どのような社会が実現していると思いますか。IoTという語句を用いて、具体的に説明しなさい。(頌栄女子学院の入試問題)(265ページ)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?