「人生の100のリスト」
「人生の100のリスト」(ロバート・ハリス 講談社+α文庫)
J-WAVEナビゲーターで作家の著者が19歳のときに作った100項目の人生のTODOリストについての本。英語教育で有名なJ・B・ハリスの息子とのこと(著者はこのように言われるのを嫌っているようだが)。この著者の100項目の中には「人妻と恋をする」「阿片窟で一夜を過ごす」「刑務所に入る」「ヌードモデルになる」など、やや現実離れしたものも入っていて、あまり参考にならない部分もある。ただ、この著者はかなり長い間放浪生活をしていて、その間に本屋を開いたり映画製作に携わっていたりして、いろいろな経験は読んでいて面白い。自分の人生がつまらないものに感じられてしまうが、ここまで波乱に満ちた人生はそれはそれで大変だろうなとも思った。
人生の目標のリストを作るのは大切なことだと思うし、それによって叶う目標もあるだろうと思う。読んだ後で、自分でも達成できそうな、もう少しおとなしい100項目のTODOリストを作ってみたいと思った。
人生の100のリストで検索していたら、こんな映画も見つけた。
仲間と店の後片付けをしている最中、一年ほど前に「エグザイルス」を辞め、田舎へ引っ越していった詩人のニック・パウンダーがやってきて、オスカー・ワイルドのこんな言葉をぼくにくれた......。
「オレたちはみんなドブの中にいる。でもそこから星を眺めている奴らだっているんだ」
ぼくはこの言葉を大きな紙に書き、閉め切ったドアの上に貼った。
「エグザイルス・ブックショップ」にとって、パーフェクトな捨て台詞だった。(223ページ)
ノーマン・メイラーだったか、ヘミングウェイだったか、今では忘れたが、とにかくふたりのどちらかが、「作家は離婚を一回は経験し、刑務所にも一回くらい入らなければ一人前にはなれない」というようなことを言っていた。
今、考えてみると、なんともばかばかしい発言である。きっとヘミングウェイだかメイラーだかは、人をおちょくるつもりでこんなことを言ったんだろうと思う。でも、十代のぼくはこの言葉を真に受けてしまった。何しろその時ぼくは、作家志望の青臭い文学青年だったのだ。
「そうか、作家は離婚と刑務所か...」
そんなことを真剣に考えた。そして「100のリスト」を作成した時もこの言葉を思い出し、真剣な気持ちで「離婚を一回は経験する」「刑務所に一回は入る」という項目を書き入れてしまった。
何かを念じるということは怖いものである。こんな項目を書いたおかげで、ぼくはそれから二回も離婚し、刑務所にも入るはめになった。(258-259ページ)
そんなぼくにとって、やりたいことを自由に連想し、書き記していくことは、将来を見つめるための最良のエクササイズとなった。頭でゴチャゴチャ考えるのではなく、イマジネーションを解き放って、自分の可能性を一つ一つ思い描いていく......。このプロセスのおかげでぼくは何時間腰を据えて思考しても思いつかないような未来図を描き上げることができたし、自分が何に向いていて何に向いていないのか、はっきりと把握することができた。
例えば、ぼくの人生において旅、文学、執筆、恋愛、自由、独立、ギャンブルといったものが必要不可欠な要素で、逆に定住、組織、ルーティーン、守り、レールに乗った生活といったものは、全く向いていない、ということがこのリストを見てはっきりと分かった。要するにぼくは会社勤めは無理だし、サラリーマンには到底なれないのだ。(392-393ページ)
リストに関してもう一つ言えることは、何かを夢見、それをただ空想したり人に言うだけでなく、紙に書き記すという行為はやはり、その実現に至るプロセスに何らかの影響を与えるのではないか、ということである。(393ページ)
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