「ペアーズ婚のアン」に見る上昇婚志向の変わらなかった婚活の闇

みなさんこんにちは。
先日、婚活関連でショッキングな情報を目にしました。

婚活界隈で成功したと思われていた有名なペアーズ婚のアンというアカウントが、なんと離婚だけでなく中絶していたというのです。いったい何があったのでしょうか。
このアカウントはよく見てませんでしたが、定期的にバズっていたようです。現在はTwitterアカウントを消してしまっています。

婚活で「マッチング」したはずなのにこうなってしまう。これはいったいどういうことか、紐解いていきたいと思います。

ペアーズ婚のアンに起こったこと

まずは彼女の旦那氏のスペックから見ていきましょう。

アンの旦那氏はいわゆる「ハイスペ夫」ですね。婚活アプリ大手のPairsではこのようにハイスペ男性を捕まえる女性も少なからずいるわけですが、中絶離婚という悲惨な結末も、おそらく氷山の一角ではないかなと思いました。
以下、鬼嫁化したアンのまとめです。

妊婦のアンさん「夫が飲み会で遊ぶのと同じ時間だけ酒飲んでやる。大吟醸飲んでやる。結果胎児に障害が出るなら堕ろせばいい」

既にタイトルで言葉を失います。
読み進めていくと、あまりにも酷すぎる言い草に手が震えてしまいます。

完全に母性ブッ壊れてるな。
いや、元々母性ブッ壊れてる人が結婚したのか。

ちょっと何言ってるか分からない。

休日に自分優先で遊び歩く旦那氏も大概ですが、なぜそのストレスを胎児にぶつけるのか。車内に子供を放置してパチンコに行く親と何が違うのでしょうか。
エコーに丸描いてチョンの状態でそこには確かに命が宿っているのです。これは虐待以外の何物でもありません。

恥ずかしながら、僕は去年の12月に発達障害と診断されてから4ヶ月、このまとめを見て初めて僕の診断結果を診断直後に聞いた母親がどれほどショックを受けたかを考えました。
産まれてきてから30年以上も経って息子が障害者だと初めて知り、それまでの救いがなさすぎる人生を受け入れることはいかに過酷なことだろうかと思わずにはいられません。
それを受け入れた僕の母親のことを思えば、アンのこの主張は母親としてあまりにも自分の都合を優先した身勝手なものであり、また同時に障害者とその親族を侮辱するものであると僕は思います。

上昇婚志向を変えられなかった婚活市場

ペアーズ婚のアンの悲劇の要因のひとつには、女性の上昇婚(ハイパガミー)志向があります。女性は種の保存のために、より優れた男性を確保する本能が当然として存在するのです。

なぜ若者は結婚しないのか?コスパの悪さだけではない「日本の現実」
からの引用

かつての日本社会では、上昇婚が一般的であった。農家出身や、女中として働いていた未婚女性が、やや格上の男性と結婚して一家の主婦となる、という姿を思い起こすとわかりやすいだろう。

実は、学歴や収入などの社会的地位に男女の不平等が存在する社会では、上昇婚の規範や風習が存在すると、多くの人が結婚できる確率が高くなる(図1左側)。しかし男女の不平等が徐々に解消されていったとき、なおも上昇婚が存在し続けると、上層の女性、すなわち高学歴でバリバリ働く女性(ひところ流行った「負け犬」や「おひとりさま」)と、下層の男性(ひところ流行った「萌える男」や「草食系男子」)が相対的に結婚しづらくなる(図1右側)。

つまり、男女不平等だった時代は収入や身長などの目に見えやすい格差による上昇婚が最適だったのが、女性の社会進出により男女平等となった現在においては、上昇婚のあり方が変わらなければならない(男性の見えないスペックにも目を向けなければならない)、ということです。
婚活という言葉を提唱した白河桃子さんは、これを「昭和的結婚観からの脱却」という言葉で表現しました。しかし、婚活市場はSNSやマッチングアプリなどの技術を駆使し、男女が顔を合わせずともマッチングする仕組みを作ったことにより、昭和的結婚観の劣化コピーを一般化させてしまったのです。

ライフスタイルが多様化すれば、当然ながら人間性も多様化するはずです。しかしそこに目を向けられず、目に見えやすい年収至上主義という化石同然の結婚観を変えられなかった成れの果てがペアーズ婚のアンの悲劇であり、夫婦間のすれ違いの氷山の一角なのです。

上昇婚志向のあり方は変わらなかったのか

収入や家柄という目に見えるスペックを求める上昇婚は、昔は風習でした。しかし自由恋愛の台頭している現在、女性の結婚観を変えているのは自己肯定感であると考えられます。

上昇婚をしないアイドルたち…全盛期のモーニング娘。OGたちにみる結婚観

この記事にあるように、引退した元アイドル達が自分で選んだ結婚相手は、自分より年収が高い男性ばかりではありません。また、女性声優の結婚相手も「一般人男性」が多いです(スペックは定かではないが)。
アイドルや有名人は、その自己肯定感の高さ故に人前で活躍し、人気者になるのです。芸能人の結婚で相手が一般人というのがザラにあるのは、自己肯定感の高さが大きな要因としてあると思います。
一般人との結婚で世間を騒がせた元NMB48・須藤凜々花も、育ちがよかったのか家が貧乏になってもその生活を楽しんだといいます。自己肯定感が高く、AKB総選挙での結婚発表という前代未聞の行為で炎上しても臆していませんでした。

彼女たちが上昇婚を選ばず恋愛結婚したのは、自己肯定感が高く相手のスペックに左右されることがないからでしょう。
しかし、恋愛結婚ができない層は確実に存在し、そこに婚活市場が食いこんでいます。自己肯定感がなければ、相手にスペックを求めるしかありません。
ここに年収至上主義のハイスペ狙い上昇婚志向が自由恋愛から排除され、婚活市場に集中するのです。

上昇婚志向のあり方は、自由恋愛になったことにより昔と比べて確実に変わりました。ただ、自己肯定感の有無により二極化が進み、自尊心の低く結婚願望の強い女性は上昇婚志向を変えられなかっただけの話なのです。

間違った成功体験がもたらす悲劇

婚活市場は一時期、女性がべらぼうに高い年収の男性を条件にして相手を探しては売れ残るという、メディアの婚活女性叩きに遭いました。まさに昭和的結婚観が批判を浴び、これをきっかけにその古い上昇婚志向の女性が変わらなければならなかったのです。
しかし昭和的結婚観の女性が取る選択肢は相手のスペックを妥協することのみ。希望年収を1000万から400万に下げ、学歴を早慶からMARCHに下げ、挙句の果てには「3低」(低姿勢・低依存・低リスク)を求める始末。希望を男性に押しつけるという本質は、年収至上主義と何も変わりません。

自信のなさを相手のスペックで取り繕おうとすると、おそらく一例としてこのような結果に終わるのが普通なのでしょう。しかし、なまじ器用な人づきあいで自慢のハイスペ夫を手に入れるという間違った成功体験をしまったうちのひとりが、ペアーズ婚のアンだったわけです。

彼女のあの胎児に対する許しがたい言動は、彼女自身が親に大切にされなかった証左です。そういう人は自信がなく、相手の見えるスペックに頼らなければ生きていけない人種なのです。
それが結果として、自分の都合を優先する旦那を引き寄せてすれ違いを起こし、それまでに彼女に共感した人達を最悪の言動で裏切ったのです。
「自分の自信のなさを相手のスペックで取り繕うためにハイスペ夫をゲットする」そして結果として「名前が売れる」という間違った成功体験が、同じように認知の歪んだ共感者を引き寄せ、他人を辻斬りのように傷つける負の連鎖を生み出すのです。

ちなみに僕のこのツイートは、はあちゅうさんが妊活ブログとTwitterで嘘をついて本を出すという小遣い稼ぎで炎上した、彼女の妊活騒動に言及したものです。
自己肯定感に深刻な問題を抱えたまま名が売れて人生を成功すると、身を滅ぼす結果になるという一例ですが、ペアーズ婚のアンも例外ではありません。

最終的には自分と向き合うこと

自己肯定感の低い人は婚活に向いておらず、恋愛結婚を考えたほうがいいとよく言われます。それは婚活市場が上昇婚志向のあり方をアップデートしない生存戦略を取った故に、自己肯定感が足りず悪循環に陥る人の吐き溜めになってしまったからです。
恋愛結婚は婚活をしないぶん自分と向き合うための勉強やセミナー等にリソースを割くことができます。しかし婚活市場ではそんなことはやりません。さっさと成婚退会させて回転率を上げたいので、ひとりひとりの面倒など見れません。
婚活中の男女は婚活市場に時間的・経済的リソースを費やしているので、自分と向き合う余裕がどうしても削られます。そして婚活が長期化したり、婚活疲れという悪循環を起こしたりするのです。

どんな人でも、最終的に自分と向き合わなければなりません。婚活で彼氏彼女ができた人ほど、一度立ち止まって自分のことを見つめ直してみてはいかがでしょうか。
ペアーズ婚のアンの二の舞にならないように、幸せな結婚生活をするための準備として、自分が変わろうとすることを心がけたいものです。

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