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人が追いつかない①

 自動車というのは1919年に三菱造船が作った三菱A型が国産初の量産車。すでに世紀超えしてるわけだが、初めは欧米の模倣から始まり、そこから独自の研究開発がどんどん行われて安全快適な乗り物になっている。現在の日本車は世界でも類を見ないくらい安全で快適で、とにかく壊れないように作られている。半世紀ほど前なら、路肩に止められたクルマがボンネットを開け、ドライバーがエンジンルームを覗き込みながら工具片手に汗したり、救援を待つ姿がよく見かけられたものだ。
 現在はどうだろう。道路の脇に故障したクルマなどほぼ見かけない。タイヤがパンクしたとかはあるけれど、それ以外に故障ということがほとんどない。車検にしても新車から3年が初回になるなど、クルマの安全面でも全く問題ないほどに性能が維持されている。
 いつの間にかマニュアルトランスミッション(MT車)はほぼ市場から姿を消し、オートマティックトランスミッション(AT車)が主流となったのはそれほど前のことではない。エンジンの力を伝達するクラッチ操作が伴うことが普通ではなく特殊なことになってしまった。
 エンジン始動の儀式もキースイッチまたはボタンを押すだけで難なくエンジンが始動できる。その昔は外気温に合わせてチョークを引き、キースイッチをひねって、エンジンのご機嫌を伺いながら始動したものだ。

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