見出し画像

「火の海誓い&やけっぱち」開発記録

技「くさのちかい」と「ほのおのちかい」を同時に使うと、相手の場に火の海を展開しスリップダメージを与えます。

なんかこの技が強そうに見えたので、現環境でどうにか戦えないか模索したという記事です。

2種類構築を組み、どちらも結構戦えて楽しいので、気になった方はレンタル使ってみてください。


1.謎の仕様

ガオガエンに「やけっぱち」という謎技が追加され、使い道はあるのかと『ポケモンwiki』を眺めて考えていたところ、以下の記述を見つけました。

(威力が2倍になるとき)
コンビネーションわざで味方を待った。味方が技を発動させても威力は2倍になる。

ポケモンWiki『じだんだ#技の仕様』

誓い技のコンビネーションは、先手のポケモンがダメージを与えない代わりに、後手のポケモンが威力150+追加効果の技を繰り出す構造になっています。このとき先手のポケモンは技が失敗した扱いになっているらしいのです。

なんで??????

これ最初に気づいた人すごくないですか?藍の円盤でやけっぱちが追加されるまで、このコンボをまともに使えるポケモンはほとんどいなかったのに。こんなのを見つけてしまったら、ギミック好きとしては構築を組まずにはいられません。


2.草案

誓いを打った次に「やけっぱち」か「じだんだ」を打つと強いということなので、まずはどの誓いを使うかを決めます。

誓いには以下の3種があります。

湿原(水+草、相手の素早さ1/4)」
火の海(草+炎、1/8スリップダメージ)」
(炎+水、追加効果発生率2倍)」      (各4ターン持続)

明らかに虹は弱いですね。雪崩ひるみが6割といわれても「そうですか…」としかならぬ。とりあえず除外します。

残り2択ですが、どうせ使うなら新技の「やけっぱち」を使いたいです。よって自動的に炎タイプが絡む火の海に決まりました。

戦術のイメージとしては第8世代のキョダイゴクエンとかベンタツみたいな感じで、大技を振りつつ守られてもスリップダメージでアドが取れるような構築を目指しました。


続いて、誓いの先手を選定します。
やけっぱちを使うので物理ポケモンがいいですね。誓いでコンビネーションする際、後手側の特攻を参照してダメージが決まるので、先手の特攻はどれだけ低くても問題ありません。
一方で行動順は先手側依存なので、できるだけ速い方が望ましいです。

バシャーモが最も現実的に思えました。
特性でSが上がり続けるので行動保障を得やすく、耐久が低い分早めに倒れて後続に繋ぐこともできます。

誓いの後手にはフシギバナを選択。
モロバレルと同じタイプなだけあって環境には合ってますし、晴れで加速して眠り粉で役割を広く持てます。というか他にほぼ選択肢がないです。

あとは両者と相性がいいコータスも採用するべきでしょう。ついでにトリル対策にもなります。


3.壺構築品評会編

この時期ちょうど↓のようなイベントが開催されていました。

初見の方に説明すると、怪しい構築を「壺」と称して見せ合いキャッキャしてるポケモンオタクの集いです。

ここまで考えてきた「火の海誓い」はそれ自体がマイナーな戦術なのに、さらに「やけっぱち」の威力上昇という誰も知らないであろう仕様を組み合わせています。
まさに胡散臭い「壺構築」そのものであり、目の肥えた壺職人たちも諸手を上げて喜んでくれるでしょう。

というわけで、草案をもとにまとめた出展用の構築がこちら。

レンタルは消えてます

このイベントは多少ファンキーな方がウケがいいです。

火の海誓い→やけっぱちで威力150技を2連打するコンセプトなので、ついでにもう一発ハードプラントを仕込むことで3連打できるようにしました。

威力150の3連打といえばみなさんご存じの有名強者、織田信長ですよね。

今回は初弾を打つと同時に長篠を火の海にできるため、火力不足やタスキも貫通して武田軍を処理できます。
先行研究と違ってダブルバトルは敵兵が4人しかいないので、3連打もすれば相手は壊滅寸前でしょう。完璧ですね。

軸の3体&火の海は、炎タイプが激烈に重いです。
これを対策するため、補完枠には晴れと相性がいいウネルミナモを採用。

また火の海と相性がいい範囲アタッカーでハバタクカミを採用しました。

最後は同様に火の海と相性がいい先制技持ちを模索しましたが、ガエンへの打点、火力、バカさを加味して鉢巻チヲハウハネをぶち込みました。

紹介文

かの有名な鉄砲三段撃ち、たった一発の銃弾では敵兵の息の根を止められないと思いませんか?織田軍はあらかじめ長篠を火の海にしておくべきだったのです。

誓い技の連携で、砲撃をサポートした側は技が失敗した扱いになり、次のターンやけっぱちの威力が倍増します。これを利用して誓い・やけっぱち・ハードプラントと威力150の砲撃を3連射でき、死に損ないは火の海で確実に仕留めます。
2撃目のオプションとしてコータスを投入可能。また1加速バシャ>晴れバナに調整しており、晴天下でも砲撃できます。
敵を減らした後は、日射と火の海と各種古代兵器を合わせて落武者狩りしましょう。

優勝しました

うれしいですね。
これまで4回参加して審査員賞→カス→2位(&審査員賞)→3位となかなか優勝に届かず、5回目でやっと取れました。
テスト期間で死にそうになりながらも参加した甲斐がありました。レポート1つ提出逃しました。


4.晴れバシャバナ編

4-1. まともに使おう

↑の構築、バカな要素はありつつ普通に戦えそうに見えません?
少なくとも僕には見えたので、ある程度まともにチューニングして、PJCS予選に投入できないか考えることにしました。

こうなりました。

・はやてがえし→インファイト
・ハードプラント→大地の力
・バナの珠→オッカ
・チヲハウハネ→エンテイ
・コータス→脱出サポート型
・その他細かい調整

バシャーモは猫威嚇追い風が重く、後発に置きたいポケモンです。そのためタスキと合わせて終盤の詰め筋として火の海を使うことを想定しました。

一方バナはモロバレルと同じタイプなだけあって環境に刺さっており、炎タイプさえどうにかすれば先発適性が非常に高いです。
調整はこれ↓

Sは晴れ下1加速バシャ抜かれ

以上より、先発バナ+@、後発バシャ+コータスを基本選出としました。

エンテイは水ウーラとの偶発対面を警戒して草テラス、ミナモはトリルやドブベトンを潰すために吠えるを採用。

2月初頭の第1回予選は都合がつかなかったため、第2回を見据えて2月半ばにこれで潜りました。


4-2. 戦えるけど…

これで30戦ほど回して、大体勝率が6割くらい。マイナーギミックとしては悪くないですが、予選で使うにはちょっと足りませんね。
私があまり上手くない&レギュFに全然潜れていない状態だったので、上手い人が使ったらもっと勝てそうなポテンシャルは感じます。

ただこの段階では構築に大きな問題がありました。次の項ではそこから得た学びについて記していきます。
「それぐらい知ってるよ」って人も一応お付き合いください。


4-3. 構築が受け身すぎるとよくない

途中で急に勝てなくなって一人でわめいていたところ、ダニエルさん(@ torcoals)が助け舟を出してくれました。

改めてさっきの構築を見てみます。

異様に受け身な構築だと思いませんか?

アイテムやテラスで全員が行動保障を持っており、誰でも先発に置けるようになっています。「選出の自由度が高い」というと聞こえはいいですが、そのせいで選出が歪みやすくなり、出力が下がってしまっているのではないかというアドバイスをもらいました。

これが本当にその通りで、オボンミナモやチョッキエンテイなんかは火の海+晴れ前提で火力を落としていました。そのためこれらを展開できないと殴り負けがちでした。

また耐性テラスの問題点が色濃く出てしまっています。
例えばバシャの水テラスなんかは、水ウーラに殴られなければタスキで十分なうえ、迅雷やグラスラが抜群になるという裏目もあります。
さらに耐性テラスは必ずしも毎回切るわけではありません。基本的に相手依存であり、有利盤面が続くとテラス権を持て余してしまいます。これが火力テラスであれば、暇なときに切ってアドを稼ぐことができます。


4-4. 完成版

以上の反省から調整したのがこちら。

レンタル生きてます

変更点は以下。

・バシャを水テラス→ステラテラス
・バナを炎テラス→毒テラス+ヘド爆
・エンテイを草テラス→ノーマルテラス
・ミナモをフェアリーテラス→水テラス

テラスを大幅に変更した一方で、持ち物は動かさない方がいいのではないかと考えました。
火力を出すのは主にエンテイ、カミ、ミナモの3体ですが、いずれもコータスの晴れで強化できます。コータスをほぼ確定で選出すれば水ウーラが怖くなくなるので、エンテイやバシャの耐性テラスが不要になります。

天候に依存すると雨パやライコが重くなるわけですが、雨に対してはバナが強く出られます。毒テラスで草タイプを捨てつつ打点を上げることで有利に戦えると考えました。大地の力を切ったことでブリジュラスへの打点が無くなりましたが、バナの大地はかなり警戒されるためテラスを切ってくることが多いです。草かフェアリーが多いため毒が刺さりますし、タイプが変わればミナモやカミが通るようになります。

ライコに関してはどうしようもないので、迅雷避けのためにカミのドラゴンテラスを据え置きました。


4-5. 戦い方

この構築で遊んでみたいもの好きがいるかもしれないので書いときます。

基本選出
追い風でも雨でもスタンでもだいたいこの選出です。

先発 バナ+エンテイ
後発 コータス+@1 

この構築の肝はいかにバナを強く使うかという点にあります。耐性と眠り粉のおかげで出し負けることがほぼない一方で、シンプルに火力で押されるときついです。

そこで単体性能が高いエンテイを並べ、コータス交換から葉緑素眠り粉か晴れ聖なる炎の択を押し付けることで展開を有利に進めます。コータスは狙われやすいため、オバヒ脱出や手助けなど捨て気味に動いて迅速にアタッカーを並べられます。

バナが数ターン生き残りそうな構築(ゴリラ入りライコスタンなど)であれば、@1をバシャにして終盤に火の海で詰めていきます。
ただ4体目の枠はカミの方が出番が多いです。

例外① トリル

先発 バナ+ミナモ
後発 コータス+カミ

相手のトリルサポートがガエンだった場合、先発にコータスを置いて晴らしながら脱出パックで即逃げることで初手から高火力を出せます。

相手のトリルエースがガチグマ(両種)だった場合、コータスでトリルを逆利用したいためトリラーは放置、サポーターを殴ります。
エースがコータスだった場合、トリラーに吠えると眠り粉を集中して阻止します。

例外② カミユイ

先発 カミorミナモ+エンテイ
後発 コータス+@1

流石にバナが不利すぎるので、相手の並びを見ながら選出を変えます。

例外③ イエカシラ

先発 コータス+エンテイ
後発 バナ+カミ

晴らしつつ水テラスを強要することでバナカミを通します。コータスは割と積極的に悪テラスを切ります。


苦手な相手

・毒寿司
キラフロルがだいたい様子見で守るから入るので、地団太→テラス読み聖炎とかで突破します。そのあと寿司にクリスモが入れば勝ち、入らなければ負け。

・トリル入りライコ
「マイナー構築は行動が読めないから嫌い」といわれがちですが、マイナーを使う側も相手の動きが読みづらくてつらいです。その典型がこれ。
噛み合いでどうにかする以外分からないです。


5.火の海トリル編

さっきの完成版で結構勝ててたんですが、飽きました
そもそも僕は超火力をぶん回す構築が好きなので、コントロール寄りなバシャバナは手に馴染まなかったです。

火の海自体は楽しかったので、別の組み合わせで強そうな構築が作れないか考察しました。

5-1. 思いつきました

トリル始動サポートで今一番使われているのがガオガエンですが、猫だましを打った後やることがなく、捨て台詞で逃げようにもバレバレでパワーが低いという問題があります。

しかし、ここまで僕が考察して来た火の海誓い+やけっぱちを使えば、威力150を2連打できるためトリルアタッカーとして十分な火力を出せるのです。
そしてスリップダメージが毎ターン入るので、守るでトリルターン枯らそうとする相手にも負荷をかけられ、同時にトリルエースの火力を補えます。

ギミックを確実に起動するために、ガエンは最遅に黒い鉄球を持たせます。

ガエンの相方は、草の誓いとトリルを唯一両立できるマスカーニャを採用。
ペラいのでトリルした後すぐ倒れてエースに繋ぐことができ、嘘泣きや不意打ちでサポートもできて優秀です。

トリルエースには、火の海が通らない炎タイプに強いアカツキガチグマを選択。

あとは適当にイエッサン♀ハバタクカミをぶっこみ、ラスト1枠は壺職人たちに相談することにしました。

アプリ「バトメモ」


5-2. 壺を買う

相談したところ、わずか2分で「ガエンに鉄球投げつけるさせたらどうか」という案が来ました。
おもろいので即採用しました。

それはそうとラスト1枠、見た感じ悪ウーラとカミが重そうだったので、こいつらに勝てるポケモンはいないか尋ねたところ、なんかキチキギスとかいう謎鳥を使う羽目になりました。

レンタルは消えてます

ガエンとマスカの2匹の猫を軸にしているので、実質『薬屋のひとりごと』です。熊と猫がいるのでパンダでもあります。

これで試運転したところ、普通に強かったです。上4体が基本選出でしたが、ギミック成功率がかなり高くガチグマで一気に制圧できました。
一方でキチキギスの出番はほぼありませんでした。


5-3. 関係ないけどキギスが強い

適当に組んだので構築の穴は当然あるわけですが、今回だとライコスタンが重いことに気づきました。

出番のないキギスを対策枠に入れ替えようと思ったのですが、リストラ寸前で「キギスってライコに強いのでは?」と思い立ちました。
フェアリータイプで特防が高く、毒を撒けるので居座りを咎めることができます。

というわけで、毒羽型に変えてライコスタンに投げてみました。

調整意図は忘れた

なんかぶっ刺さりました。

全員に毒を撒きつつ、冷風を一発入れればガチグマがライコの上を取れるので相性がいいです。

ただ居座りタイプのポケモンであり、こいつがいる限り火の海展開がしづらいです。フェアリーテラスイエッサンがいればライコはどうにかなることに気づいたのですぐ解雇しました。

キチキギスを使うならこの型が一番強いと思います。


5-4. 予選会場を火の海に

謎バードのついでに、しっくり来ていなかったハバタクカミも解雇。

基本選出の4体だとシンプルにハバタクカミが重く、トリルミラーやガエンミラー、イエカシラもきついです。
これらをほぼ1体で対策できるおもれーポケモンを見つけたのですが、今後も考察していく予定なのでこの記事では伏せておきます。

ただそれ以外に対しては、ギミック構築として十分制圧力が高いです。原案段階で7割弱の勝率があり、予選前日に今回伏せたポケモンを採用してからは一気に連勝できました。

というわけでこれが完成版です。
予選ではイーユイとカシラの枠を別のポケモンにしていました。ちなみに予選は1584止まりでした。急遽突っ込んだポケモンの考察が甘かったです。

この構築を「ポケモン実況者界の壺職人」こと喰い断さんに送り付けたところ、動画で紹介されたうえにファンアートを書いてくださった人がいたようでとてもうれしかったです。

僕は「猫猫で『薬屋のひとりごと』だ~」とか言ってたんですが、この2体はカップリング的にも人気がありそうですね。


5-5. 戦い方

バシャバナに続き、こっちも結構戦えるので遊んでみたい方はぜひ。

基本選出
先発 ガエン+マスカ
後発 イエッサン+ガチグマ

ほぼこれ。
猫トリルから誓い。マスカが倒れたらクマを出してテラスハイボ連打。ガエンは150やけっぱちや鉄球投げつけで削ります。
ゴリラガエンのように遅延してきそうな相手の場合は、トリル解除後のスイーパーとしてイーユイをイエッサンの代わりに出します。

例外① トリルミラー
先発 ガチグマ+イエッサン
後発 イーユイ+ガエン(マスカーニャ)

こちらのガチグマが最遅ではないので、ガチグマミラーやコータス相手にはトリルせず戦いたいです。ガチグマでハイボを連打しながら、2ターン目にトリル返ししてイーユイガエンで〆ます。
あとライコ入りもこれで出すことが多いです。

例外② イエカシラ
先発 イーユイ+カシラ
後発 イエッサン+ガエン

にらみ合い。

例外③ カミユイ系
先発 イーユイ+イエッサン
後発 ガチグマ+ガエン

範囲技2枚が相手だとマスカが動けないので、イエッサンでトリル起動します。

例外④ 寿司
取り巻きを確認して、上記4種の選出パターンのどこかにマスカを組み込みます。できれば後発で。
マスカを見るとだいたい寿司はテラスを切ってくるので、嘘泣き+イーユイで倒します。

苦手な相手
・カミガエンみたいな選出
トリルできずにマスカが落ちるとかなりきつい。ゴーストテラスにすればよかったんですが、カミユイの前でトリルしたい場面だと炎が生きるので…


6.おわりに

意味の分からん仕様の発見に始まり、2か月ほどランクマを燃やしてきました。誓いとやけっぱちという、ギリギリ環境で戦えるラインの技をどうにか使おうという試みは非常に楽しかったです。
ポケモンwikiを読み込むと、たまにこういう謎仕様が見つかるのでオススメです。

3月予選が1つの到達目標だったため、僕はそろそろ違う構築を使おうと思っています。ただ「誓い+やけっぱち(地団太)」のコンボは他にも可能性を感じる組み合わせがあるので、最近はそちらを考察しています。

あとは予選で使ったとあるポケモンも可能性を感じます。上手くまとまったらまた記事にしようと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?