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月経困難症について

皆さんこんにちは

産婦人科医の内田美穂です。

皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。

今回は、「月経困難症」についてお話したいと思います。



月経困難症とは?


月経困難症とは、生理に伴って本人が困るような症状が出ることを言います。

例えば、腹痛、腰痛、頭痛、吐き気、下痢、抑うつなどがあげられます。

日本では若い女性の70~80%に月経困難症の症状があり、その1/3以上が、薬が必要な状況であると言われています。

「月経困難症」は、2つに分類されます。

1.  器質性月経困難症 … 症状の原因となる病気がある
2. 機能性月経困難症 … 原因となる病気がない

若い女性の場合は原因のない「機能性月経困難症」が多いと言われています。

では、原因となる病気がある生理痛、つまり「器質性月経困難症」にはどのような病気があるのでしょうか?


器質性月経困難症について


「器質性月経困難症」は、主に3つの病気があげられます。

  1. 子宮筋腫

  2. 子宮内膜症

  3. 子宮腺筋症

これらの病気の中には不妊症になってしまうものもあるため、生理痛がある場合は放置せずに婦人科を受診してください。


治療について


生理痛で使用されるお薬は、①ピル、②ジェノゲスト、③ミレーナなどがあります。
これ以外にも漢方など他の薬剤もありますが、今回は①~③について説明します。

① ピル

避妊で使用されるピルとは別に、月経困難症の方のための保険適応のピルもあります。
両方とも作用機序は同じなので、生理痛にも効きますし、避妊にもなります。
▼詳しくはこちらで紹介しています!


② ジェノゲスト

ジェノゲストというホルモン剤もよく使用されます。
ピルの副作用として血栓症という病気が有名ですが、ジェノゲストにはそのような副作用は少ないため、ピルが飲めない方でも安心して使用できます。

具体的には、肥満、喫煙、高血圧、40歳以上、前兆を伴う片頭痛など血栓が生じやすい方におすすめです。

では副作用は何があるかというと、“不正出血が多い”ということです。

はじめのうちは不正出血が多く不快に感じることもあるかもしれませんが、長く飲んでいるとだんだん出血は減ってきます。
また、飲み方を工夫することでもある程度出血をコントロールすることができます。

③ ミレーナ

次に使用される薬として、ミレーナがあげられます。
ミレーナは子宮の中に入れる避妊具ですが、ミレーナに含まれるホルモン剤が生理痛にも効果があるため、2014年から月経困難症の診断に対して保険で入れることができるようになりました。

ミレーナは子宮の中に入れる器具になるため、医療機関で医師が挿入する必要があります。一度ミレーナをいれると5年間効果が持続し、毎日お薬を飲む手間が省けます。

これらの治療以外には、漢方やその他のホルモン剤などがあります。

体の状況やライフスタイルによってどれが適切な治療かが変わってくるので、医師と相談しながら決めていってください。


生理痛を我慢していませんか?


最後になりますが、生理痛がある方のなかには、市販の痛み止めで我慢されている方も多いのではないでしょうか?

しかし、先ほど申し上げたように生理痛のなかには手術が必要な病気が潜んでいる可能性もありますし、将来の不妊症につながることもあります。

薬の副作用を心配されていると思いますが、副作用は市販のお薬でも出ることがあります。

大切なのは、副作用が出たときに適切に対応してくれる医療機関で薬を処方してもらうことだと思います。

将来の妊娠のため、また日々の生活に支障をきたさないためにも放置しないでかかりつけの婦人科をみつけて、相談してください。


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