中絶方法について
皆さんこんにちは
産婦人科医の内田美穂です。
皆さんの疑問に思っていることにお答えしていきながら、産婦人科を身近に感じていただくことでかかりつけの婦人科を探す際のご参考にお役に立てればと思っています。
今回は、「中絶方法」についてお話したいと思います。
人工妊娠中絶手術には、「掻爬(ソウハ)法」と「吸引法」の2種類あります。
しかし、その安全性やリスクには大きな違いがあります。
「掻爬(ソウハ)法」とは?
掻爬法は、キュレットという器具で子宮内腔を掻き出す手術方法です。
比較される手術方法として吸引法があげられます。
掻爬法は厚生労働省、WHOなど世界的に推奨されていない手術方法です。
「掻爬法」の痛みやリスクについて
掻爬法の代表的なリスクについて説明します。
吸引法と比べ、3つのリスクがあると言われています。
子宮に穴が開いてしまう可能性が高い(子宮穿孔)
術後、子宮内の癒着が生じて不妊症になる可能性が高い(不妊症)
術後、組織の残りが生じやすく再手術になることが多い(遺残)
「吸引法」とは?
吸引法は、①電動吸引法と②MVA(手動真空吸引法)があげられます。
どちらも、掻爬法より安全で厚生労働省も推奨しています。
① 電動吸引法
洗浄、滅菌された金属の棒を子宮内へ挿入します。
電動の吸引器で子宮の中の組織を吸引します。
② MVA(手動真空吸引法)
プラスチックの使い捨てキット(柔らかいプラスチックの棒)を子宮内へ挿入します。
手動の吸引器で子宮の中の組織を吸引します。
「電動吸引法」と「MVA(手動真空吸引法)」の違いと選び方
電動吸引法とMVAでは、“手術料金”と“合併症の頻度”に少し違いがあります。
<手術料金>
使い捨てのキットを使用するため、MVAの方が料金は高くなります
<合併症の頻度>
MVA方が、手術後の子宮内腔の癒着が少ないといわれています
どちらも掻爬法より安全なので、金額を重視したいから「電動吸引法」、少しでも合併症の頻度を減らしたいから「MVA」と選択することが可能です。
中絶手術の際、掻爬法と吸引法で迷われることがあるかと思います。
将来のリスクを減らすためにも、世界標準のより安全な「吸引法」を選びましょう。
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