#5 架空地図のミクロとマクロ

架空地図を作る流派に、ミクロとマクロがあると思っています。

ミクロな流派は、駅を核とした周辺の地図。国道はあるものの路地を張り巡らせたり、架空のチェーン店を展開させたりするものとします。

マクロな流派は、広いものでは架空の世界地図、架空国家、架空の県などとします(しかしこれは、のちの記事で覆ることになります)。

私は他の方の作品はあまり見ないのですが、ざっとXのタイムラインを流し見した感じの印象です。

私の場合は架空国家と、首都圏の細かな地図を両方描いていますが、最近は比較的マクロな県と自治体の区分を描くことに注力しており、都市地図は長らく更新しておりません。理由としては架空地図をベースにした広域の架空鉄道のダイヤを作る上で路線の距離の算出が不可欠であり、そのためにマクロな地図を作らざるを得ないというものがあります。
とはいえ都市地図、ミクロな架空地図も好きで、最近ではそちらのブームが再燃しているのでそろそろ描きたいと思ってはいるのですが…


マクロとミクロ、どちらを描くかという選択は、興味の問題だけでなく、妥協の問題でもあるのかと思います。
精密な都市地図を描く。もしくは広範な架空国家を想像する。そのどちらを選択するかということはもちろんのこと、架空国家を描きながらも、その中の全自治体の全駅前を描きたいという欲望に駆られるのは私だけではないはずです。

なぜなら、マクロな地図の解像度を上げていけば、必ずミクロな要素があるからです。(国の中には自治体があり、その中に無数の町名、チェーン店、学校、市道などがあるはずです)。

マクロな感覚で聞いたことがある駅名でも、歩くとミクロな要素を発見できました。

例えば日本という国に東京都という首都がある、ここまではマクロとします。その都庁がある新宿区には、歌舞伎町という国内最大の歓楽街があり、私立大学最難関医学部でもある慶應義塾大学病院があり、払方町や南榎町、赤城下町という住居表示未実施の昔ながらの町名を持つ住宅街があるというミクロの物語があります(住居表示実施済の神楽河岸は人口0人という物語も…)。

しかしそれらを全て描こうとするのは大変な労力です。そのため、妥協の結果として描くものが決められるということもあるのかなと感じました。
これは、『#3地名という物語』で書いた物語の概念に通じるものがあります。マクロな架空地図の物語として、ミクロな架空地図があるということです。


あくまで興味の問題でもありますが、ここまで記述すれば、どれだけ面白い架空地図が生まれるのだろうかと考えております。

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