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『怪物』の感想書こうと思って唸ってるうちに、『出会って4光年で合体』を読んでしまった

『怪物』観たんですよ。是枝監督の。
いやー、すごい映画だった。脳をパチーーーンって焼かれる映画だった。焼かれ具合では、『劇場版レヴュースタァライト』に匹敵するかもしれん。
しかし、『怪物』はマジで一切のネタバレなく、「これはなんの映画で、メインキャラはこの人とこの人です」という情報すら仕入れないまま、マジで何も知らないまま観てほしい映画なので、何をどう書けばいいかわかんないよ、いっそネタバレ有り有料記事にするか? と、悩んで幾日、TLに流れて来た『出会って4光年で合体』がすごすぎた。
なので、そっちの話をする。

DLsiteとFANZA合わせても、6/22午前の時点で6000部ちょっとしか売れてないのが信じられない。10倍くらいバズっていい。
「創作エロ同人ってここまでやっていいんだ! こういうことしていいんだ!!」と、魂に火をつける怪作。

主人公とヒロインだけに絞れば王道のセカイ系ボーイミーツガールだけど、その周辺を、伝奇、ハードSF、陰謀論、異種婚姻譚といくつもの物語が取り囲み最終的に銀河レベルまで吹っ飛んで、やっぱり純愛ボーイミーツガールに帰結するという、脳の振り回され感がすごく気持ちいい。ワイドスクリーンバロックじゃん、これ。
そういう物語を、アヴァンギャルドでゴリッゴリに尖った絵で描いているのもいい。

400P近い物量だけど、多分カットされたエピソードはめちゃくちゃ多そう。ざっと考えただけでもC姉さんと空海とか、長曽我部家とくえんの話とか、他のクラスメイトたちとか、スピンオフや別視点のストーリーはいくらでもありそう。
そういうのをカットして、主人公二人に絞って400P。凄まじい。

DL同人漫画は近年だいぶ独自の発展をしていて面白いな、と思っていたんだけど、その表現方法の一つの到達点でもあると思う。
既存の「ページ数」「コマ割り」という概念からだいぶ自由になり、かつ、スマートフォンなどで読むゆえに「1ページ1コマ」でも全然成立してしまうという特性を、情報量の圧縮拡大として完全に使いこなしている。
バッチバチに画面デザインが決まっててかっこいい。
二周目は見開き版で読もうかな。

主人公はいわゆる「ブサイクな弱者男性」として描かれ、性欲の発露も描写としては醜悪なのに、ひとつひとつの描写やエピソードで「彼は誠実で心優しい男であり、彼は愛されている」が積み上げられているのがすごい丁寧。
彼の不幸の始まりだった出生ですら、「それでもあなたは愛されていた」に帰結していくの、なんというかこう、「人の魂」を信じてないと描けないな、と。
何があっても、人はその魂の善性を捨てられないことを信じてるんだな、と。
そういうところもすげえいい。

ということで、ともかくメチャクチャに良かったので読んでください。
もっと語りたいシーンあるけど、みんなが読んでから語りたいし。
読もう!『出会って4光年で合体』!

https://twitter.com/amifiance/status/1671540516130013185

本日はここまで。


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