雪代のオショロコマ釣行
雪解けとともに
2023年、北海道の雪解けは早かった。
深い雪に包まれていた渓谷にも雪解けの季節がやってきた頃、私はとある河川へと車を走らせた。
雪解けが進むと河川には雪解け水が流れ込む。
釣り人は雪解け水による増水と濁りを「雪代(ゆきしろ)」と呼ぶ。
雪代の季節には、河川の水温が下がり、水位が上昇する。
そのどちらも、釣り人にとっては不利な条件である。
雪解けの季節の釣りは、この雪代を如何に攻略するかが鍵なのだ。
私の基本的戦略は2つ。
1、通常時の水量が少ない川を狙う
2、まだ雪解けが進んでいない標高の高い川を狙う
私は低水温期の釣りが少しだけ得意なので、釣りがしやすい川に入ることが最優先事項だと考えている。
この辺りの考え方は、個人の釣りスタイルに依存しているだろう。
人によっては雪代の季節は釣りを避けるという判断もあり得る。
今回私が選んだのはセオリー通り、標高の高い小規模河川である。
そこは私が愛するトラウト、オショロコマの生息域でもあった。
どうやって釣るの?
今回の同行者は、エサ釣りで2回ほど魚を釣ったことがあるらしい初心者。
オショロコマの存在も知らなかった。
そんな彼にルアーの使い方を教えながら遡行していく。
初心者にとって最も難関なのはキャスティング。
次いでルアーアクションだろうか?
魚が反応するポイントが極端に狭い渓流の釣りにおいて、ルアーが落ちる箇所は最重要であるが、慣れないと思った方向に投げることすら難しい。
私は同行者にキャスティングのコツをアドバイスしながらも、難しいキャスティングを必要としないアプローチを教えていく。
要は自分の場所を変えることで容易にアプローチできるようにしよう、という考え方である。
これが初心者には効果覿面。
大物やスレ切った魚狙いのアプローチは後からで良い。
とにかく、魚を釣ってもらうことが重要なのだ。
魚を確認
同行者の面倒を見ながらも、抑えられない気持ち。
「釣りたい」
素直に認めましょう。
私は釣りバカ。
大場所や一級ポイントを譲りながらも、しっかり探れば魚の反応が得られた。
オショロコマに出会った瞬間の高揚感。
なんとも形容し難い感情である。
テレビでしか見たことのない芸能人に、リアルで出会ったくらいのものだと思う。
この日は水位はそこまで高くないとはいえ、水温は冷たかった。
当然、変温動物である魚の活性も低めの様子。
流れの中からはでてこず、流れの淀みでしつこくアクションすることが必要だった。
個人的には得意な釣り。
満足の一匹である。
まさかの高活性??
しばらく釣り上がっていると、先行している同行者の声が響く。
「釣れた〜〜〜〜!!!」
走って見にいくと、そこには良型のオショロコマを釣り上げた同行者の姿が。
ホッと胸を撫で下ろすとは、このことである。
話を聞くと、反転流にルアーを落としてチョンチョンしていたらしい。
そんな技、教えてないのに!!
いつの間にか見て盗まれていたらしい。
その後、同行者には続かなかったが、私には何本か魚が出た。
どうやら活性が上がっているようであった。
やはり、この時期は川に入ってから少し経ってから。
具体的には10:30-13:00頃が美味しい時間のようだ。
同行者に引かれる
ところで、私は魚愛が過ぎることがある。
オショロコマに出会った時は、特にその傾向が強い。
魚との会話を始めるからである。
「ありがとう!」とか「今針外すから暴れないで〜〜」とか、コミュニケーションを図る。
魚に出会えた喜びと感謝の気持ちがつい、口から出てしまう。
今回の同行者は初心者ということもあり、若干、いや、かなり引いていた。
なんだかこちらも恥ずかしくなってきた。
私の中の羞恥心が肥大化してきたところで、雨が降り始めて脱渓となった。
使用タックル
ロッド:TenRyu Rayz RZ542S-L
リール:AbuGarcia Cardinal3
ライン:PE0.8
リーダー:ナイロン5lb
ルアー:ルアースタジオヤマト Yuiro 50S
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