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パラレルボトルシップ 第一章

パラレルボトルシップ / 第一章 非現実の幕開き

制作チーム : 公式スタジオ
次回 : 第二章 ヘルプミー


ここは、三栖彩学園の中学棟。俺か?田中よしあきだよ。テストは毎回赤点だ、すごいだろ?今、数学の授業だ。方程式で苦戦してる。けど、心配することはない、「はちみつ」ことひろみちが教えてくれるからな。ビニールが落ちてる。邪魔だから、ポケットに入れた。

授業が終わり、よしあきが教室に戻った瞬間、そこが教室では無い事が一目で分かった。自分の席が見当たらない、それどころか何も無い。後ろを振り向いた瞬間、何故か意識が無くなった。目を覚ますと、友達のひろみち、いつも2人でいる鈴木と川田がいた。そして、周りは海、360°海。そして、自分らは見慣れない木造船の甲板の上に居た。ひろみちは不安で口が開かず、女子2人は、ただただ海を眺めることしかできなくなっていた。そもそも、他のクラスメイトは?自分が数学から帰ってきた事が嘘だったように思える。教科書を置きにきただけなのに。

止まっていても何にもならないと思い、アクションを起こしてみる。まず、近くにオールがあったため漕いでみる。すると、静止していた船が突如に前方へ進み始めた。冷静に、冷静に、すると、ひろみちも手伝ってくれた。無言で。女子2人も、舵を取ってくれた。すると、島が見えた。奇跡というものをリアルタイムで実感したのである。

砂浜に飛び降り、やっと声を開いたのは、川田だった。「どこ?」誰も答えなかった。というより、答えられなかった。川田もそれを理解したようで、唾を呑んで頷いた。冷静派のひろみちは船の中を探索し、使える道具はないか確認しに行った。鈴木は、大声で「誰か居ませんかー」と叫んだ。が、無駄骨だった様だった。仕方なく、鈴木は砂浜を探索することにしたようだ。その数分後、ひろみちは手のひらに、コンパスと白紙の地図と羽ペン、インクに絹の布、マッチにバケツを持って砂浜に戻ってきた。ひろみちはがっかりして砂浜に胡坐をかいて座った。川田はまだ絶望している。

鈴木は手に木の棒4本を抱えて、戻って来た。切り替えがいいのだろうか、能天気なだけだろうか。どちらにしろ、ここは鈴木に従った方がよさそうだ。一人ずつに差出し、最後に残った微妙に長いものを自分のものとした。川田は、こう言った。「立ち止まっても何も変わらない!とりあえず何も変わんなくてもいいから森を探索してみようよ!」これには俺も同意だった。ただ、闇雲に行っても面倒くさくなることを知っていた。さっきまで1時だったから、「太陽の方角を覚えろ。そして夕方までに砂浜に戻れ。」と言った。全員がうなずいた。ちょっと嬉しかった。

中学生を馬鹿にするなよ、成人の三分の二にもなるんだぞ。宝島の冒険が始まったと思って先ほどまで気分が高揚していたが途中で足跡を見つけた。少しガッカリした。人が歩いた形跡なので、辿って行った。すると、俺にとって見慣れた顔が見えた。クラスメイトの一人、瑞野だ。俺は尋ねようとした。「なにしてr」突然、彼は「お前が、お前が奪った、お前が奪ったあああああ」と言った。そして、右手に持つ巨大な剣を振り下ろしてきた。唐突な展開に驚きながらも棒を投げたが、少し待機時間を発生させただけだった。この人生、そしてちょうど数時間前に始まったこの冒険も一瞬で終わると思った。「いやだあああああ」すると右から高速で棒が飛んできた。それは昔、瑞野だったもの、、、いや、モンスターに向かって投げた棒だった。間一髪、鈴木のおかげで助かった。情けないなんて言うな。これでも俺、頑張った方だぞ。「大丈夫?」「ありがとう、お陰様で。」

日が沈んできた。砂浜に向かって急いで2人で走った。何とか4人全員集合を達成することができた。生きていることが夢のように思えた。そして、さっきの、あの瑞野の姿、、、服は破れ目が死んでいてそして、あの意味不明な発言。お前が奪った?、、、いや、思い出さない方がいい。悲しみに浸るよりは。船に全員乗り込み。船の小さな小部屋に入った。

「大変だったよ。俺が死にそうになったんだけど、鈴木が助けてくれた。」ひろみちはその話を聞いてゲラゲラ笑っていた。はちみつ野郎が。そして、鈴木は得意げそうな顔、川田は青ざめた顔で話を聞いていた。「俺と鈴木は何も見つかんなかったぜ。そっちは?」「僕は特に、、、棒ぐらい。」「私も何も見つけられなかった。ごめんなさい!」「あたしも見つけられなかったから気にすることないよ!」「ねえ、鈴木のこと、はるみって呼んでいい?」「はるみはだめ!みーちゃんて呼びなさい!!!」「僕は、ひろみちって呼んで」「、、、私はひなって呼んで!」そして、ひろみちが冒険の1日目を締めくくった。「もう寝ようよ。」少し、4人の絆が深まった気がする。


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