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現場仕事をDXする遠隔ツール「SynQ Remote」を展開、株式会社クアンド/第93回Growth Pitchレポート

建設業界は、人手不足や生産性向上、コスト高騰など多くの課題に直面しています。統計によると、建設投資額はピーク時と比べて20〜30%減少し、従事者数も30%ほど減少しているそうです。

60歳以上の従事者が4分の1を占める一方、29歳以下は1割程度にとどまっており、次世代の人材確保・育成が急務となっています。

また、建設資材の価格高騰も課題となっており、一部の資材では10〜20%の上昇率を示しています。

多数の課題を背景に、建設DX市場は今後大きく拡大するとの見方も。スタートアップにも注目が集まる建設DX市場において、各企業の取り組みは必見です。

2024年9月12日、福岡市の官民共働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」は、「Growth Pitch 〜建設DX特集〜」を現地・オンラインのハイブリッドで開催。

さまざまな角度から建設業をDXする4社がサービスや協業ニーズについてピッチしました。本記事では、株式会社クアンドを紹介します。

株式会社クアンド
https://www.quando.jp/

“ものづくりの街”北九州発、現場特化型の遠隔支援ツールを開発

クアンドは、現場に特化した遠隔支援ツールで生産性向上と働き方改革を実現することをミッションに、スマートフォンやタブレットを使用した遠隔ビデオ通話サービス「SynQ Remote(シンクリモート)」を提供しています。

2017年に北九州で創業後、現場のニーズに即したシステムとして高い評価を受け、経済産業省認定のJ-Startupにも選ばれています。「シンクリモート」のコア技術は、現場特有の課題に対応した遠隔支援システムです。この技術には3つの主な特徴があります。

まずアプリのダウンロードが不要で、QRコードを読み取るだけで簡単に使用できることです。これにより、デジタル機器に不慣れな現場の技術者でも容易に導入できます。

次に、高画質映像を低遅延で通信できる技術を採用していることです。さらに、画面上に名前付きポインターを表示できる機能により、遠隔地からの的確な指示が可能となり、コミュニケーションの質を向上させています。

現場の生産性向上を独自の遠隔支援技術でサポート

地方大手サブコンの導入事例では、1人あたり年間約240時間の移動時間削減、部署全体で年間約1,200時間(4500万円相当)のコスト削減を実現しています。

また、ある大手ハウスメーカーでは安全・作業指示、検査、進捗確認などの現場巡回が必須で、現場移動に1日3時間を要していました。「シンクリモート」導入後は、現場管理を遠隔で行うことで移動時間を大幅に削減しています。

実際に、一人当たり3.9棟が限界だった管理物件数を、5.0棟まで増加。売上増加を支えるための人件費および、採用・育成費用での試算は12億円/年でしたが、一人当たりの管理棟数を増やすことで対応し、8.5億円/年まで抑えられました。遠隔での現場管理により、年間3.5億円の採用コスト削減と受注高増加を同時に達成しています。

海外でも、日系企業の海外拠点における材料検査や従業員教育などで活用されており、グローバルな展開も進んでいます。また、ウェアラブルカメラとの連携も一部しており、より安全で効率的な現場管理の実現を目指しています。

今後の展望として、クアンドの井手氏は「現場に寄り添った形でツールを提供し、導入時のサポートを強化することで、さらなる普及を目指したい」と述べました。

文・写真/株式会社ECHO


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「Growth Pitch」では、福岡市の官民共働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」が、毎月異なるテーマのスタートアップを招集し、投資家や地域企業に向けてピッチを披露する機会を設けています。

次回は11月14日に第95回Growth Pitch「店舗DX特集」を開催します。無料で現地・オンライン共に参加可能です。みなさまのご参加をお待ちしております。

▽次回の開催概要はこちら
https://growth-next.com/events/growthpitch95