見出し画像

映画が好きな人たちへ、お願いだから『恋は光』を観てくれないか

言いたいことはタイトルに書いたが、もう一度書いておこう。

映画が好きな人たちよ、『恋は光』を観てください。いま劇場でやってるんで、観にいってください。お願いします。

さて、言いたいことは言った。
以下では、なぜわたしが『恋は光』を激烈に推薦したいのか書いていく。

この映画は、簡単にいえば恋愛映画であり、ラブコメである。
それを知った時点で多くの「映画好き」の大人たちはこう思うだろう。

「わたしが観たいタイプの作品じゃなさそうだな」

わかる! わかるよ! そうだよね、ラブコメ映画をわざわざ映画館に観に行く必要を感じないよね。そういうのは高校生とか大学生とかがデートで観に行くものだと思うよね。

しかも主演は「イケメン俳優」と「元・乃木坂46」ときたもんだ。どうせ記憶がなくなったり余命がわずかだったりするんでしょ。ラブコメだからそんな重くないか、じゃああれか、壁ドンとか顎クイとかだ。そんなものを観ていたら健康を害する恐れがあるわ、ラブコメなんか観ないよ。そう思うよね。

違うのです。『恋は光』はそういう映画ではないのです。

この作品は、「恋する女性が光って見える」という特異体質を持つ男子大学生が、その幼なじみや、世間ずれした文学少女や、他人の恋人を奪うことしか興味のない女子が「恋とはなんだ?」を思索していくというもので……、

いや、待ってくれ、待って、焦らないでほしいんだ。マンガじゃんと思っただろう、そんな設定はアニメなら面白いかもしれないけど日本人が実写でやっても恥ずかしくなっちゃうやつだろと思っただろう、わかる、その懸念はよくわかる。

大丈夫だから。たしかに、セリフ回しは完全にマンガだし、編集手法もかなりマンガっぽい。でもぜんぜん大丈夫。なんでなんだろうな、2回めを観てわかったら説明します。でもとにかく「大丈夫」なんで。

このところ、映画館に行くたびに、コスプレのような見た目の主人公とロボット的な弟がなにか錬金してたり、壮大なミスチルの主題歌とともに無駄に命がけで仇討ちしようとしてたり、島に謎の病気が蔓延するけど放射線技師がいなかったり、世界から猫が消えたり記憶が消えたりしていて、わりと辟易しているじゃないですか。そういう映画もいいんですけど、わたしは別に観ないなあ、わたし向けじゃないよなあと思ってるんですよ、わたしも。

だから、みなさんが『恋は光』をぜんぜん自分向けじゃなさそうだなあと感じるのはわかるんです。

それに、いまこの2022年6月末、観ておきたい映画がなんかやけに多い。

『メタモルフォーゼの縁側』は決して完全ではない高校生の細かな機微をあまりに見事に芦田愛菜が演じていて本当に素晴らしい映画化だ(なにわ男子の子も映画に調和していてとてもよかったし、雪さんがコメダ先生に伝えるあのセリフはわかっていてもボロボロに泣いてしまう)し、まだ上映が続いている『犬王』はどうしたって「今年」映画館で観ておきたい作品だし、『シン・ウルトラマン』も押さえておきたいというか普通にわたしは特撮好きとしてめちゃくちゃ楽しみましたし、『マイスモールランド』は極めて重たいテーマながら「映画」としての内容も素晴らしくて映画ってすげえなあとあらためて考えたし、同じ文脈で『FLEE』は観ておきたいし、なんか『PLAN75』も評判よさそうだし、是枝監督作品ぜんぜん観てなくて韓国の俳優もぜんぜん知らないんだけど『ベイビー・ブローカー』は気になるし、予告編で一度観ただけなのにムロツヨシの存在感がすごくて『神は見返りを求める』がめちゃくちゃ気になっているし、ミュージカル映画好きとしては『エルヴィス』だって気になっているし、なんでこんなに映画あるの?

もちろん、観たい映画を観ていただければよいのです。せっかくこんなにいろいろ映画があるので。

ただ、これだけいろいろ映画があるなかで、お金も時間もべつにそこまで余裕があるわけではないなかで、わたしは明日もう一度『恋は光』を観てきます。

わたしはね、『ハケンアニメ!』を公開直後に観に行かなかったことをものすごく後悔しているんですよ。めちゃくちゃいい映画なのに、ほとんど話題にならないまま上映機会がどんどん減ってしまった『ハケンアニメ!』。もっと早く観に行っていれば、わたしのクチコミ活動であともう何十人かでも余分に動員できたんじゃないか。その積み重なりによって、もっと正当に話題になってロングヒットになったんじゃないか。悔しいんですよ。とても素晴らしい映画なのに、ちゃんと届かなかったことが。届ける力になれなかったことが。

だから、わたしは『恋は光』を観てほしいと言うのです。この作品もとても面白いのに、このままでは上映が終わってしまいます。

作品はコメディタッチで、マンガっぽいしコントっぽい演出ではあるので、そういうノリが完全に無理ならば無理かもしれませんが、最低限の心のゆとりがあれば大丈夫なはず。ギャグではなくスタイリッシュだし、それよりなにより絵がとても綺麗。岡山や倉敷で撮影された町並み、開放的な大学キャンパス、歴史を感じる建物の縁側。

そしてとにかく、女優たちが魅力的。『映画大好きポンポさん』には「映画って女優を魅力的に撮れればそれでOKでしょ」というセリフがあるわけですが、本当にそのとおりだなと思わされる。あのねえ、こんなにかわいい女優さんを映画館の大スクリーンで観る機会を逸するなんてねえ、あまりに愚かなことですよ、ほんとうに。

観てほしいなあ。そして「えっ、めっちゃ面白いじゃん、なにこれ」って思ってほしいなあ。ぜんぜん期待せずに、なんか妙に激推ししてたnoteがあったから血迷って来てみたけどどうかなーとか思いながら観て、打ちのめされてほしいなあ。

よろしくお願いします。トップガンなら夏休みまでやってるから、さきにこっち観てくれ。頼むよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?