駆け足で遡れ風翳(2019.04記録)
2019年4月の投稿(「兎 or 卯」)
・にゃんしー / 都々逸
うさぎみたいに生きてはきたがころり転げて木の根っこ
あの空をずっと眺めていたよ飛べないうさぎの青い空
さみしいうさぎは死んじゃうだろうもしも死んだら会えるから
耳が長くて赤い目をした白いあの子のためらい傷
青いうさぎはどこにもいない歌のなかでだけ生きている
・小祝愛 / 川柳
葬列をなすうさぎたちから逃す
・泉由良 / 俳句
クレヨンで卯月黄色に塗り潰す
・牟礼鯨 / 俳句
木蓮や兎の骨の折るる音
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2019年4月自由詠
・小祝愛 / 川柳
「市民生活」
パンケーキ遺跡に住んでみたいかも
古文書と古文書のあいだの呼吸
二等辺三角で壁になるおでん
スプーンよ曲がれ死んでよ叶え恋
・牟礼鯨 / 雑詠
囀の静岡県となりにけり
野は春にバドミントンの羽根落ちて
カルピスの牛乳割や辞典買ふ
蓬摘む孕み子の指差す方へ
はなみづき金管の鳴る打出浜
新緑や革のキーホルダをもらふ
くひちがふ電話をのばす目借り時
著莪の花古い香港映画かな
青枇杷のもと仮免の人が立つ
トンネルの上にトンネル椎の花
・泉由良 / 雑詠
花の夜カップヌードルお湯のあじ
糖衣錠甘し卯月の夜は更けぬ
おにぎりに握力込めてここに春
ふりかけの「旅行の友」と土筆天
花のなか小鳥の裾に坐りをり
自販機の取り出し口に青蛙
2019年4月の題は卯月の「卯」、干支の「卯」とかけて、
「兎、または卯」で詠みました。(y)
短詩会風翳の詩誌を発行する為に使わせていただきます。 ありがとうございます。