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この窮屈な世界に見えた一筋の光 〜HYDE LIVE 2020 Jekyll&Hyde〜

大げさなタイトルをつけてしまいましたが、この世界でしかできないもの、この世界でなければ生まれ得なかったものの誕生の場に立ち会った、と言っても過言ではないでしょう。HYDE LIVE 2020 Jekyll & Hyde、配信と現地で5公演じっくり堪能させてもらいました。
キャパ50%の有観客ライブ、配信はついで、なんてとんでもない。現場>配信をひっくり返すステージを魅せつけられるなんて始まるまで思いもしませんでした。

★ACOUSTIC DAY★
9/5、9/6は配信でお茶の間鑑賞。
9/7はありがたくもチケットをご用意いただいたので現地へ。
Zepp Hanedaは意地でもヒトーヒト感染を出さないよう、神経質なくらいの感染防止対策の徹底ぶり。ライブ会場の中に入るまで何人のスタッフにご対応いただいたかわかりません(逆に接触人数多すぎてそれはそれでリスク高いのでは?という疑問もあるのですが、みんなフェイスシールド+マスク+手袋着用だったから許容範囲、かな)。
いつもぐちゃぐちゃになっているフロアは座席で埋め尽くされていて見慣れなくて落ち着かない。
2日間配信でみてるから、予習ばっちり何をやるかわかっているのがかえって緊張を煽る。
そして、いつもの666のお時間です。

配信と現地の差を歴然と感じたのは3曲目のUNDERWORLDから。この曲エレキじゃなきゃ表現しえないだろうという素人考えを覆すアコースティックなのに響く音圧と迫力、リズム感。身体に浴びる音すべてが気持ちいい。
大サビ前の、ハンドクラップしながらCome on and let me take you to the underworldのところ、2017年は語り掛けるように色々遊びながら歌ってくれていたのですけど、最近の通常ライブでは(というか、ソロ再始動後)全然やってくれなくてそれがテンション下がる原因にもなっていたのですけど(笑)、それが今回3年前の引き出し以上の遊びっぷり!なんだ覚えてるじゃん!!!(笑)
地を這うような低音の響かせ方、underworld?と手招きするような語尾の上げ方。サビに入るときに張り上げるハイトーン。何をとっても大好きです。

私的この日の優勝MAD QUALIA。
ハンドクラップしながらの笑顔が印象的でした。会場の演奏(ハンドクラップ)に耳を傾けてくれていたのもあると思いますが、純粋に、歌うの楽しい!!!を表に出すことを遠慮しない笑顔。その笑顔が観れて良かった。
comes apartの’a’の伸びのクリアなこと。私はいどさんの一番好きな音母音が’a’の音なんですね。’a’の時が一番綺麗で一番突き抜けてて大好き。次のフレーズぎりっぎりまで伸ばして、Falling息継ぎ一瞬Togetherってブレずに決めてくるところさすが!!!
特筆すべきはアウトロのフェイク。ラルクアンシエルかな????というほどのラウド中心のソロではなかなか聞かない綺麗なはいどさん特有の音色運び。好きです!!!!!

ACOUSTIC DAYイチ度肝抜いてきたアレンジANOTHER MOMENT。
歌詞が持つ世界をアレンジに落とし込んできた手腕に脱帽。
耳元で囁くような、ふんわりした歌い方(でも声量落ちてない!!!)がすごく官能的で、大変えっちな気分に(笑)
その水に消えそうな雰囲気に、荻原浩さんの金魚姫を思い出しました。

SET IN STONEは日を追うごとに呪術感増していましたね。どんどんどんどんはいどさんがのめり込んでいくのが目に見えてわかる。
配信の時は、はいどさんしか見えてなかったのですが、現地に行ったらひこさんが超多忙すぎて目が離せない(笑)
イントロはピアニカ。かと思ったら鉄琴叩きながらキーボード弾いてる。仕舞いには片手でピアニカの鍵盤おさえながら吹いて、右手であっちとこっちのキーボード縦横無尽に行き来する。間奏はかなり手数が多いピアノソロ。仕事任せすぎでは!?
オリジナルよりテンポ落としてるのに、オリジナルより忙しそうなひこさんに拍手。素晴らしい演奏でした。

飛ばします。死のコーナーI'm so happy。
配信で聞いていた2日間のI'm so happyがどちらも苦しくて苦しくて痛くてたまらない歌だったのですが。3日目に突然すべてを悟ったような柔らかい歌に生まれ変わっていたのでびっくりしました。当事者が、見守る者になったように。この変化を目の当たりにできたのは3日間全部聴けて良かった、配信してくれて良かった。
去年黑ミサで演奏しなかったのが不思議だったんですけど。バンドスタイルにこだわりたかったのかもしれない。

EVANESCENT。
つらい。初日にずっと目を伏せて感情を出さないように歌っていたのが、3日目は振り切れたように立ち上がって感情を隠そうともせず絶唱していました。つらい(2回目)。
はいどさんが、VAMPSをなかったことにしないでくれて良かったなとこの日初めて思いました。はいどさんが今でも歌い続けてくれることで、苦しくても忘れないでいられる。容易に忘れるようなものではないけど、仕舞い込むにはもったいない素晴らしい楽曲ばかりだな、と。もう気にせずなんでも歌ってしまえ!

ACOUSTIC DAYはOrdinary Worldで最後。この2,3年常に普通の世界を願っている気がする。普通の世界、普通の日常、とは。

MCでも言ってましたが、アコースティックは特に方向性を決めずにメンバーみんなでアレンジしたそうで。その作り上げられた世界のなんと素晴らしいこと。この素晴らしいステージが、音楽が、この状況にならないと生まれ得なかったものであるなら、この世界をもう少し愛することができるかもしれないと思いました。

★ROCK DAY★
本筋はここからです。アコースティックが前置きというわけではないのですが、ここまでが長い(笑)。
ROCK DAYは2日とも配信で鑑賞。2日目は本当は仕事で観れない予定でしたが、再放送してくれたおかげで観れました。ありがとうありがとう。

6:60のカウントから配信スタート。これはオリジナルデータだ?ACOUSTIC DAYではカメラで現場のカーテンに映るカウントダウン時計を映していたのに、これはデジタルデータだ。この時点でかなり不穏。嫌な予感がする。

1曲目SET IN STONE始まった瞬間からお茶の間最前ロックオン。最初からこんな刺激的な映像が始まってしまうのですか。1階フロアにお客さんを入れないからこそできる空間の使い方。ステージの上だけで完結しない、完結させる必要がない。これは、はいどさんにとんでもない武器を与えてしまったのでは?アコースティックアレンジのSET IN STONEがかなり好きだったので、これはもうオリジナル楽しめないかなーなんて浅はかな4日前の私よそこに跪け。

前々から、はいどさんの過剰なまでのカメラ遊びは他に類を見ないなと思っていたのですが、これはRIJ2018に参加した時の感想。

これを究極に突き詰めてきたのが今回のROCK DAYだったと思い知らされることになるのですが、さあこれをやれと言われても容易にできるものでもない。今までの経験あればこそのカメラ目線。「お客さんはカメラ(の向こう)」という感覚。ここに来てドームクラスのモンスターバンドのフロントマンとしての能力を遺憾なく発揮。これは、勝てない。


他の配信系はEGO-WRAPPIN'の観客あり野音ライブしかみてないので、無観客で他がどうやってるのか知らないのですけど、このEGO-WRAPPIN'のライブ、どうしようもなく現場が恋しくなったのですね。次は絶対行く!!!と心に誓いました。今回はこのJekyll&Hydeと日程がもろかぶりで、はいどさんの配信がアーカイブなかったのでエゴラッピンは見送りました。絶賛後悔中です(笑)。
しかし、逆にはいどさんに対しては配信でもいい、むしろ配信の方がいいとさえ思ったのです。
この違いは、ターゲットが現地か、画面の向こうか。
ターゲットを現地にされてしまうと、配信は基本的に置いてけぼり。もちろん画面の向こうに配慮がないわけではないけど。
はいどさんはターゲットを画面の向こうにロックオンし、映像で観るからこそ楽しめる映像エンターテイメントを作り上げてしまった。現場にお客さんがいるにも関わらず、あくまでメインターゲットは画面の向こう。

私は現場に行くと、目より耳を楽しませたい派なので、物理的距離はそうそう気にしないタイプだし、もちろんあの顔は世界で一番好きだけど(笑)、そこまで優先順位が高くない。だからこそ、現場で圧倒的な音の洪水、声の拡がり方を感じたい。その私が、配信の方を取るなんて。現場>配信がひっくり返った瞬間でした。これは目で観て楽しむ音楽だ。

ACOUSTIC DAYは耳で楽しむ音楽、ROCK DAYは目で楽しむ音楽。そのふたつを同時進行で準備し、成し遂げてしまったHYDEというアーティストは日本どころか世界一のエンターテイナーであると世界中に自慢したい。

今年、東京オリンピック&パラリンピックが難なく開催されていた世界線であれば良かったと何度も何度も思っては、そうではないのだから仕方ない、でも、と中々思いきることができない半年間でした。ライブという現場がないのが何より辛かった。
私が悩んでいる間に、はいどさんは2歩も3歩も先を考えていて、こんな素晴らしい作品を世に送り出してくれて私たちを楽しませてくれる。この作品は、この世界でなければ、配信というツールを使わざるを得なかった世界がなければ生まれなかったもの。窮屈な制約のある世界の可能性を広げる一筋の光が見えたような気分です。
次の、オドロキを楽しみにしています。

最後に、今日公開されたはいどさんのインタビューを。



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