マガジンのカバー画像

夜雨の名画座

21
鑑賞した映画の記録。旧作多め。
運営しているクリエイター

#映画が好き

夜雨の名画座一覧

ご紹介をした映画の一覧を作ってみた。 公開年代(たぶん)順。映画史的なところから何かが見えてくると面白いかな。 2024/06/09 現在 20本 1952/昭和27年 ◯ 次郎長三国志/次郎長売出す … 🎬マキノ雅弘 1955/昭和30年 ◯ 泥棒成金 … 🎬アルフレッド・ヒッチコック 1956/昭和31年 ◯ 赤線地帯 … 🎬溝口健二 ◯ 洲崎パラダイス/赤信号 ... 🎬川島雄三 ◯ 流れる … 🎬成瀬巳喜男 ◯ 日本橋 … 🎬市川崑 1957/昭和32

映画『次郎長三國志/次郎長賣出す』(1952)

こんばんわ、唐崎夜雨です 今宵ご紹介する映画『次郎長三國志/次郎長賣出す』(1952)は、マキノ雅弘監督が東宝で撮った『次郎長三国志』シリーズの1作目です。 『次郎長三国志』は村上元三の小説で、幕末の侠客・清水の次郎長とその子分たちの物語。 小説の雑誌連載スタートが1952年の5月か6月で、映画公開が同年12月というハイスピード。 第一部では、清水の次郎長はまだ一家を構えていません。始まりは次郎長もカタギでした。 それが渡世人となり、次第に彼を慕うように仲間が増えていく

映画『名探偵登場』(1976)5人の名探偵がそろい踏み⁉

こんばんわ、唐崎夜雨です。 今夜ご紹介の映画は『名探偵登場』(1976)。原題は『Murder by Death』。 監督はロバート・ムーア。彼は映画監督としては3本だけで、舞台やテレビの演出家として知られている。 脚本はニール・サイモン。 あらすじ 霧につつまれた大富豪トゥエインの邸宅。招かれた五人の名探偵。大富豪は彼らに、真夜中に起こる殺人事件の謎解きをきそわせ、100万ドルの懸賞をかけた。 深夜12時、トゥエイン氏の予告通りに殺人事件が起こる。なんと、殺されたのはト

映画『泥棒成金』(1955)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 日曜の夕べは映画です。 というわけで今夜ご紹介するのは『泥棒成金』(原題:To Catch a Thief)。 アルフレッド・ヒッチコック監督の1955年の作品。カラー映画。 ヒッチコックは「サスペンスの神さま」と称されるほどサスペンス映画を多く撮っていますが、『泥棒成金』はサスペンス色はやや控えめで、ヒッチ流のロマンティック・コメディといった趣を感じさせる楽しい作品です。 また『泥棒成金』は、グレース・ケリーと南フランスの美しい風景をとらえた

映画『赤線地帯』(1956)売春防止法成立直前の吉原を舞台にした溝口健二監督の遺作

日曜の夕べは映画のご紹介、 と考えていたのに昨日は投稿できず、月曜になってしまいました。 荻昌弘さん、こんにちわ。唐崎夜雨です。 さて今日の映画は、 1956(昭和31)年の溝口健二監督作品『赤線地帯』です。 以前に投稿した市川崑監督『日本橋』、成瀬巳喜男監督『流れる』や川島雄三監督『洲崎パラダイス 赤信号』と同じ年の作品です。 『洲崎パラダイス 赤信号』は題材が似ているけれど、あちらは遊郭の中を描いてはいない。『赤線地帯』は遊郭の中のおんなを描いている。 そして、本作は

映画『クリスタル殺人事件』(1980)鏡は横にひび割れて

こんばんわ、唐崎夜雨です。日曜の夕べは映画のご案内。 本日は1980年のガイ・ハミルトン監督作品 『クリスタル殺人事件〔原題:The Mirror Crack'd〕』です。 1974年『オリエント急行殺人事件』、1978年『ナイル殺人事件』に次いで製作されたのが『クリスタル殺人事件』で、監督ガイ・ハミルトンはこのあとの1982年『地中海殺人事件』も監督をしています。 『オリエント急行…』『ナイル…』に比べると、『クリスタル,,,』はスケールダウンは否めなく、豪華スターの

映画『ゴスフォード・パーク』(2001)紅茶とディナーと殺人事件

こんばんわ、 柏餅は味噌餡に惹かれる唐崎夜雨です。 今夜ご紹介する映画はロバート・アルトマン監督の 『ゴスフォード・パーク』(Gosford Park)です。 イギリスのカントリー・ハウスを舞台にした群像劇で、この年のアカデミー賞では脚本賞を受賞しています。 アガサ・クリスティ風のミステリーに仕上がっています。 もともとロバート・アルトマン監督はクリスティ作品の映画化を望んだのですが、手垢の付いていない作品が無いので、そんなら創っちゃえということになったそうです。 しかし

映画『流れる』(1956)豪華な女優たちで描く花柳界の舞台裏

こんにちわ、唐崎夜雨です。 日曜の夕べは映画のご紹介。今回は昭和31年(1956)の成瀬巳喜男監督作品『流れる』。 原作は幸田 文。幸田文は文豪幸田露伴の娘さん。 幸田文は父露伴の死後、父の思い出を書いて文筆家となりますが、一時期、身分を隠して柳橋の芸者屋に住み込み女中として働きます。 どうしてそうなさったのか存じませんが、小説『流れる』はこのときの実体験から生まれた作品です。 しかしながら昭和30年代はもう芸者の時代ではないようです。銀座のホステスを描いた映画『夜の蝶』

映画『情婦』(1957)アガサ・クリスティの傑作戯曲「検察側の証人」の映画化

こんばんわ、唐崎夜雨です。日曜の夕べは映画のご案内。 このところアガサ・クリスティ原作ものの映画を続けてみているので、今夜もクリスティのミステリーをご案内。 数あるアガサ・クリスティ原作の映画化作品のなかでも、いちばん好きな作品『情婦』です。ミステリーとしても充分堪能できるし、映画としても見ごたえがある。 映画『情婦』は、アガサ・クリスティの戯曲『検察側の証人(原題:Witness for the Prosecution)』が原作。 オリジナルのタイトルも戯曲と同じ『検察

映画『地中海殺人事件』(1982)紺碧の海をコール・ポーターで

こんばんわ、唐崎夜雨です。 これまで夜雨の名画座では、アガサ・クリスティのミステリーを映画化した『オリエント急行殺人事件』(1974)、『ナイル殺人事件』(1978)をみてきましたが、今回はそれに続く作品『地中海殺人事件』(1982)です。謎を解きあかすのはもちろん名探偵エルキュール・ポワロ。 『ナイル殺人事件』と『地中海殺人事件』の間に、アガサ・クリスティーが生んだもうひとりの名探偵ミス・マープルが登場する『鏡は横にひび割れて』が同じプロデューサーによって映画化(邦題『ク

映画『洲崎パラダイス 赤信号』(1956)

日曜の夕べは夜雨の名画座。こんばんわ、このところお休みの日に天気がすぐれない唐崎夜雨です。夜雨の名が悪かったかしら。ということで今日は雨の降る映画をご紹介。 1956(昭和31)年のモノクロ映画『洲崎パラダイス 赤信号』を見る。監督は川島雄三。 上映時間は81分。これくらいの尺は手軽に見られて理想的。 離れられないずるずるべったりな関係の男と女の物語は、長いと重っ苦しくなる。 それと、これくらいの時間だと冗長的なシーンがない。 橋から始まり橋で終わる物語 映画は隅田川

映画『ダンケルク』(2017)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 今年のアカデミー賞でクリストファー・ノーランが『オッペンハイマー』で監督賞を受賞。今夜は祝!というわけではなく、クリストファー・ノーラン監督作品の『ダンケルク』(原題:Dunkirk)を見る。 『ダンケルク』は、最近見ていた『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』、『空軍大戦略』、『鷲は舞いおりた』と同じく、英国チャーチル首相時代が舞台の作品です。 とりわけ、同じ2017年の映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救っ

映画『ナイル殺人事件』(1978)

こんばんわ、唐崎夜雨です。 毎週日曜日は映画の随想を投稿することに決めて、今日が最初の日です。 先日アガサ・クリスティ原作の映画『オリエント急行殺人事件』(1974)を投稿したので、今日は同じくクリスティ原作の『ナイル殺人事件』(1978)です。 ミステリーですので、未読および未見の方のためにネタバレはちょっと控えます。 小説および映画の原題は『ナイルに死す(Death on the Nile)』です。シリーズの統一感を出すために邦題を「死す」から「殺人事件」にしたので