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ゼレンスキー大統領の米国議会オンライン演説を受けて~真珠湾攻撃の正当性~

ウクライナ情勢は混迷を極めている。
ロシアがウクライナへ侵攻を開始して約1か月が経った。22日時点で難民は350万人を超え、民間施設などにも容赦なく爆撃を行うなど暴挙を続けるプーチンは一気に世界の嫌われ者になった。西側諸国はロシアに対して開戦前の予測よりも強い経済制裁を加えたり武器支援などで協調しているが、直接的な参戦は行わない方針を頑なに維持している。

この対応に、侵略を受け続け命を狙われているウクライナのゼレンスキー大統領は西側各国に感謝しつつも苛立ちを隠せない様子である。特にNATOに対して強く望んでいるのがウクライナの「飛行禁止区域の設定」である。
しかし、これを受け入れるということは参戦に等しいのでNATOから満足できる回答は得られていない。このことがゼレンスキーを苛立たせているようだ。大方の予想よりウクライナは抵抗を続けているが、やはりロシアの圧倒的な軍事力の前にはNATOなどが参戦しない限り勝ち目はなく、ロシア有利な戦況は変わらない。

このままではマズイと思ったゼレンスキーは、西側各国の国会に向けてオンライン演説を始めた。日本でも明日23日18:00~衆院議員会館で行われる予定ではあるが、既に米国や英国やカナダやドイツに向けては行われている。
そのようなさなか日本で話題になってるのが、米国に向けてゼレンスキーが話した内容である。ロシアによる今回の侵略を米国にわかりやすく感じてもらう為の同等の例えとして日本軍の真珠湾攻撃をあげたことだ。

何が受け入れがたいというのだろうか。
太平洋戦争の開戦はこの日本の奇襲攻撃から始まったことは誰にも否定できない。ハル・ノート云々を言い訳にしたり軍事施設を標的にしたという理由でこの奇襲攻撃を正当化したい人々は、どうも今回の論点を見失っているように思える。今回のロシアのウクライナ侵攻が真珠湾攻撃と同類として分類されるのかどうかは議論の余地はあるだろう。しかし、真珠湾攻撃は追い詰められた大日本帝国の正当な奇襲攻撃だったという視点でゼレンスキーの演説を批判するのは、あまりにも自己中心的な考えではないだろうか。

真珠湾攻撃の話になると必ずと言って良い程に「米国は日本の暗号を解読し、奇襲されることは織り込み済みで真珠湾には古い戦艦しかなかったんだ。」とかの陰謀論などを仰る方もいるが、そんなことは関係ない。奇襲したのかどうかであり、そしてその結果、米国の軍人そして民間人も多く亡くなっているということだ。都合の悪いことは自虐史観だとして受け入れずにいたら、その国は世界から孤立していくであろう。

他が行うと批判していたのに、自らが行っていると指摘されれば「性質が違う」とか「致し方なかった」だとかで受け入れようとしないこのスタンスは見ていて哀れだ。今回の演説を受けて手のひら返しでゼレンスキー批判をしている方々と今、プーチン大統領を熱心に支援しているロシア国民の方々に似た何かを感じたのは私だけであろうか。

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