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#019 愛用の辞典 三省堂GEM

 三省堂の国語辞典GEM。この辞典との付き合いは、もう30年になる。縦11センチ、横6.5センチ。手のひらに収まる感覚が気持ちいい。手に取らない日はない。鮮やかな赤色だった革の表紙はくすんだ薄茶色になっている。小口の金色の塗りも、指が当たる箇所は色が薄くなり取れてしまった。
 教員をやっていたときに書いた学級通信や組合のニュースのことを思い出す。生徒たちに伝えたい思い、職場の問題点とそれを改善するための取り組み。それらを、このGEM片手に書いた。手書きだった。一文字、一文字と、書くことで自分の考えを整理していった。書くことの意義を日々感じたものだった。

 その後、『鞄談義』『鞄談義2』『鞄談義3』『万年筆談義』を一緒に作ってきた。いまも困ったときには、まずGEMを手にする。GEMで解決できないときは別の辞典を使うが、ほとんどGEMで解決することができる。心強い相談役であり相棒でもある。
 最近、GEMを手に取る機会が増した。漢字が書けない。老化は順調に進んでいることが、そのことからも分かる。しかし、お互い、ヨボヨボ・ヨレヨレになるまで走り続けるつもりだ。
 今後『万年筆談義2』と『鞄談義4』に取り掛かる予定だが、GEMは力強い相棒となってくれることだろう。



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